【全ドライバー独自採点/F1第2戦】ペレスがレッドブル移籍後ベストの走り。クラッシュとペース不足が心配なミック

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。

 2022年F1第2戦サウジアラビアGPでは、セルジオ・ペレス(レッドブル)がキャリア初のポールポジションからレースをリードしながら、セーフティカー出動のタイミングが不利に働き、表彰台すらも逃がす不運な展開に。結果的に、チームメイトのマックス・フェルスタッペンが勝利を収めた。予選では、ミック・シューマッハー(ハース)による大アクシデントが発生。幸いシューマッハーにけがはなかった。サウジアラビアでのそれぞれのドライバーたちの戦いぶりを、バスコンセロス氏が振り返る。

メルセデスF1、サウジアラビアGPではセットアップ改善作業に失敗。予選ではリヤグリップ不足がハミルトンに影響

 メルセデスは、F1第2戦サウジアラビアGPの予選でルイス・ハミルトンが早々に敗退したのは、W13のセットアップが“少し行き過ぎていた”ためだと弁明した。

 ハミルトンはジェッダにおいて、この5年間でも最悪の予選に苦しんだ。7度のF1世界チャンピオンである彼が予選Q1で敗退したのだ。ハミルトンはメルセデスチームに謝罪したが、トラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、チームがマシンセットアップの限界を押し上げる試みに失敗したことが原因だと認めた。

ラッセル、ジェッダではレッドブルとフェラーリに対して1周あたり1秒の遅れがあったと語る。ダウンフォース不足も指摘

 メルセデスのジョージ・ラッセルは、F1第2戦サウジアラビアGPでの自身の結果を元にすると、現在メルセデスはライバルのレッドブルとフェラーリに1周あたり1秒遅れをとっていると考えている。

 メルセデスは、2022年型マシン『W13』のペースを落とすことに繋がるポーパシングの頻発とダウンフォース不足の問題に今も悩まされている。マシンに内在する問題の生でチームは劣勢にあり、相対的なパフォーマンスの点でレッドブルとフェラーリからかなり離されている。

フェラーリ&サインツ「レースディレクターの判断の遅れが不公平を生んだ」ペレスとの順位入れ替えのタイミングを問題視

 フェラーリのチーム代表マッティア・ビノットとカルロス・サインツは、F1第2戦サウジアラビアGP決勝中、セーフティカー導入時にレースディレクターの判断が遅れたことで、より上位を狙うチャンスを失ったとして、大きな不満を抱いている。

 セーフティカー出動中、ピットアウトしてきたサインツがわずかにレッドブルのセルジオ・ペレスより前でコースに戻ったが、ペレスはサインツを追い越し、前の位置を維持した。ペレスがサインツにポジションを戻したのは、セーフティカー後のリスタートの時だった。そのため、サインツはリスタート時に、前にいたマックス・フェルスタッペンにチャレンジするチャンスを得られなかった。

レッドブルF1代表、DRS検出ラインの変更を検討すべきと示唆。ジェッダでのような駆け引きは「絶対に避けたい」

 レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、F1第2戦サウジアラビアGPで見られたような“駆け引き”を防ぐために、F1はDRSの検出ラインを変更すべきだと提案している。

 サウジアラビアGPの勝者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と2位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、ジェッダでのレース終盤にスリリングなバトルを繰り広げた。アドバンテージを得るために両ドライバーはDRSを戦略的に何度か活用したが、最後にはフェルスタッペンに軍配が上がった。

大破したシューマッハー車のコストは約1億2000万円に及ぶ可能性も。PUとシャシーは影響を免れたことが明らかに

 ハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表によると、F1第2戦サウジアラビアGPの予選におけるミック・シューマッハーのクラッシュによって、チームに100万ドル(約1億2000万円)もの費用がかかる可能性があるという。

 シューマッハーはジェッダでの予選Q2の終盤にターン10でワイドになって縁石に乗り上げ、ほぼフルスピードでバリヤにマシン側面から衝突した。シューマッハーは体をひどく打ったが、比較的無傷でマシンから脱出した。

F1チーム代表、ジェッダへのミサイル攻撃を受け、サウジアラビアGPの将来について協議を求める

 F1サウジアラビアGPの金曜にジェッダ・サーキット近隣の石油施設がミサイル攻撃を受けたことを受け、F1チーム代表の何人かが、将来の同グランプリの開催について改めて検討を行うべきであると発言した。

 金曜夜、レースウイークエンドのスケジュールを続行すべきかどうか疑問が呈されるなか、FIA、F1、各チームは協議を行った。サウジアラビアの高官や情報機関によって安全性が保証されたことで、最終的にサウジアラビアGPが予定どおり開催されることが決まった。

「ポーパシングを解決できれば、問題の99パーセントが解消する」とメルセデスF1のラッセル

 ジョージ・ラッセルは、W13に影響を与えている慢性的なポーパシング(高速時にマシンが上下に激しく振動する現象)に対処できれば、メルセデスは今の問題の99パーセントを解決できると語っている。

 開幕戦バーレーンに続き第2戦サウジアラビアGPでも、メルセデスのドライバーたちはW13のパフォーマンス不足に苦労し、ルイス・ハミルトンは予選においてQ1で敗退するという衝撃の結果に終わった。

【SNS特集】F1サウジアラビアGP:「お先にどうぞ!」譲り合いのトップ争い。角田裕毅のイジられシューズ

 F1第2戦サウジアラビアGPでは、マシントラブルに見舞われたアルファタウリF1角田裕毅が決勝出走を断念。レース展開を味方につけたディフェンディングチャンピオン、レッドブルF1マックス・フェルスタッペンが、開幕戦から引き続き好調のフェラーリ勢を下し、今季初勝利を飾った。サーキット近郊の石油施設が隣国イエメンの反政府武装組織フーシ派の攻撃を受け、緊迫した空気のなかでの開催となったジェッダ・ストリート・サーキットの週末をドライバー、関係者のSNSで振り返る。

「新世代F1マシンでもDRSは必要」とドライバーたち。オーバーテイクは依然困難と主張

 2022年F1シーズンの2戦が終了した段階で、新世代F1マシンでは先行車に近づくことが比較的容易になったといわれている。しかし、DRS(ドラッグ・リダクション・システム/後ろを走るマシンのリヤウイングが可変して直線速度がアップするシステム)を完全になくしてしまうことはできないと、ドライバーたちは考えている。

 コース上のバトルを活性化するため、前を行くマシンに近づきやすくすることを狙って今季マシンのレギュレーションが定められた。その目的はある程度達成されたとみなされており、第2戦サウジアラビアGPでは、決勝終盤、フェラーリのシャルル・ルクレールとレッドブルのマックス・フェルスタッペンが激しい優勝争いを繰り広げた。