2022年F1シーズンの2戦が終了した段階で、新世代F1マシンでは先行車に近づくことが比較的容易になったといわれている。しかし、DRS(ドラッグ・リダクション・システム/後ろを走るマシンのリヤウイングが可変して直線速度がアップするシステム)を完全になくしてしまうことはできないと、ドライバーたちは考えている。
コース上のバトルを活性化するため、前を行くマシンに近づきやすくすることを狙って今季マシンのレギュレーションが定められた。その目的はある程度達成されたとみなされており、第2戦サウジアラビアGPでは、決勝終盤、フェラーリのシャルル・ルクレールとレッドブルのマックス・フェルスタッペンが激しい優勝争いを繰り広げた。
ただ、このバトルで大きな役割を果たしていたのはDRSだった。ジェッダ・サーキットには3カ所のDRSゾーンが設置された。接近戦を繰り広げるルクレールとフェルスタッペンは、最終コーナー手前のDRS検知ポイントで自身が後ろに位置してDRS使用権利を得て前に出ようと試み、ふたりがDRS検知ポイント前で減速してロックアップする場面もあった。最終的に優勝をつかんだフェルスタッペンは、「最終コーナーで賢いトリックを使うのは簡単なことではなかった」と語っている。
サウジアラビア決勝後のトップ3記者会見で、今後もF1はDRSを維持するべきだと思うかと聞かれたフェルスタッペンは、DRSがなければフェラーリを抜くことはできなかったと主張した。
「もし今日、DRSがなかったら、僕は絶対に追い越せなかっただろうね。まだその影響は大きい」
「もちろん、コースによっては追い越しが比較的簡単なところもある。でも、今日に関しては、もしDRSがなければ、僕は2位に終わっただろう」
ルクレールも「まだ僕たちにはDRSは必要だ」と述べた。また、3位のカルロス・サインツは「DRSがなければ、追い越しはかなり減るだろう。だから引き続きDRSがある方がいいと思う」と断言した。
「検討すべきなのは、DRSを使った時のスピード差だ。後ろを走るマシンが得るスピード面のアドバンテージが大きすぎるかもしれない。それでブレーキング前にオーバーテイクできてしまうこともある」
「それについては調べていく必要があるだろうけど、今もDRSは絶対に必要だ」