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 F1サウジアラビアGPの金曜にジェッダ・サーキット近隣の石油施設がミサイル攻撃を受けたことを受け、F1チーム代表の何人かが、将来の同グランプリの開催について改めて検討を行うべきであると発言した。

 金曜夜、レースウイークエンドのスケジュールを続行すべきかどうか疑問が呈されるなか、FIA、F1、各チームは協議を行った。サウジアラビアの高官や情報機関によって安全性が保証されたことで、最終的にサウジアラビアGPが予定どおり開催されることが決まった。

 しかしサウジアラビアがF1と10年以上にわたる契約を結んでいるとはいえ、チーム代表の一部は、今回の出来事で生じた不安感とリスクを考えれば、将来同国でレースを開催するメリットについて協議を行う正当な理由はあると考えている。

「我々はカレンダーの担当者ではないが、ここでの状況は何年も続いている」とウイリアムズのCEOを務めるヨースト・カピートは語った。

「昨年初め、フォーミュラEのレース中にミサイル攻撃があったと思う。昨年の終わりにはここに来ることに懸念はなかった。だが、今週末の状況はまったく変わっていない」

「以前から話し合いをしておくべきだったと思う。話し合いはグランプリ中ではなく、グランプリ後になるだろう」

「安全が保証される限り、我々は安全だ」

F1サウジアラビアGP土曜 チーム代表記者会見(左からギュンター・シュタイナー、ヨースト・カピート、マイク・クラック)
F1サウジアラビアGP土曜 チーム代表記者会見(左からギュンター・シュタイナー、ヨースト・カピート、マイク・クラック)

 ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、このレースの将来について話し合いをする必要があるというカピートに賛成している。

「今は、ここにいるのが正しいのか間違いなのかを議論すべき時ではない」とシュタイナーは語った。

「議論は今後行われることになるだろう。FIAとFOMがこの件を検討し、何がなされるか決定されることになる」

「だが今の時点では、今週末のイベントに集中し、最後までやり遂げる必要がある。そうして再び新しいスタートを切るのだ」

 アストンマーティンF1チーム代表のマイク・クラックは次のように付け加えた。

「このイベントの後で多くの議論が交わされることは確かだ。だが、繰り返しになるが、カレンダーを作るのはチームではないのだ」

「カレンダーを作るのはFIAとF1だ。もちろん我々は求められれば意見を言い、次へ進む」

 F1はサウジアラビアと10年以上におよぶ契約を締結したことで、激しい批判に直面し、F1はサウジアラビアのスポーツウォッシングの目論見に加担しているとの主張もなされた。スポーツウォッシングは国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによって広められた言葉で、抑圧的な政府がその体制を正当化し、人権侵害から目をそらすためにスポーツを利用することを指す。

 しかしマクラーレンF1チームの代表を務めるアンドレアス・ザイドルは、F1がサウジアラビアで開催することには意義があると主張した。

F1サウジアラビアGP土曜 チーム代表記者会見でのアンドレアス・ザイドル(マクラーレン)
F1サウジアラビアGP土曜 チーム代表記者会見でのアンドレアス・ザイドル(マクラーレン)

「グローバルスポーツとしてのF1の一員であること、チームのメンバーであること、訪れる国々、たとえば異なる文化が存在するような国々でポジティブな変化を成し遂げるための手助けをするチャンスがあることに、満足している」とザイドルは語った。

「私にとって、それがこの議論の争点になる。また、我々は批判を受けているからといってこれらの国々について尻込みしたり距離を置くべきではないと考えている」

「スポーツとして、F1への情熱を共有し、前向きな変化を促進するための独自のチャンスがあると思う。たとえば国の経済面だけでなく、社会に対するポジティブな変化の面でもだ」

「したがって、繰り返しになるが、F1がレースを行うという決断を下すことに、私は満足している」