サウジアラビアのジェッダ国際空港付近にある石油関連施設が、金曜1回目のフリー走行中に爆発されたのに伴い、F1は2回目のフリー走行の前にドライバー及びチーム代表者を招集しての緊急会合を行い、フリー走行2回目は15分遅れでセッションが開始された。2回目のセッション後に再び緊急会合が開かれ、話し合いの結果、サウジアラビアGPは予定通り、残りのイベントを続行することで参加者全員が一致した。
会合後、ステファノ・ドメニカリとモハメド・ベン・スレイエムがメディアの前に現れ、次のように声明を発表した。
ステファノ・ドメニカリ(F1 CEO)
「サウジアラビアの最高権威であるスポーツ大臣のアブドゥルアジズ王子とASF会長のハリド王子、そしてもちろんFIA会長のモハメド・ビン・スレイエムとジェッダ政府とともに、ドライバーとチーム代表者とのミーティングを行った」
「我々は安全を第一に考えている。どんな状況であっても、安全は保証されなければならない。その結果、当局からは予定通りイベントを継続できると確認された。彼ら(サウジアラビア当局)は家族とともにここにいて、実際にサーキットにいて、この地域や街を守るためのすべてのシステムを備えている。だから、私たちはグランプリ開催に関して自信を持っているし、地元当局を信頼し、イベントを続行する。もちろん、今後も当局や全チームと緊密に連絡を取り合い、状況を注視していく」
モハメド・ベン・スレイエム(FIA会長)
「チーム代表者全員と全ドライバーとともにハイレベルなセキュリティとミーティングを行った。重要なことは、彼ら(攻撃者)は誰をターゲットにしているのかだ。現時点では少なくとも民間人ではなく、経済的なインフラをターゲットにしている。もちろん、我々は彼らの行動を注視しなければならないが、これまでのところサーキットは安全な場所であり、今後もレースを続けるための最高レベルの保証を得ている。ここにはグランプリ関係者と観客の家族がいる。何も起こらないことを確信している」
しかし、緊急会合が終了した後、再び全ドライバーが集まり、ドメニカリとミーティングを開始した。現地時間3月26日の0時30分を過ぎても、なお、話し合いは続いており、グランプリを継続できるかどうかは予断を許さない状況となっていた。
■グランプリ続行が決まった後も深夜2時過ぎまで続いた会合
グランプリ続行宣言後も、ドライバーたちはFOMのホスピタリティハウスに残ってミーティングを行っていた。そのため、ドメニカリとロス・ブラウン(F1のマネージングディレクター)が再びFOMのホスピタリティハウスに戻って、ドライバーたちの説得にあたった。
ドメニカリの説得は、日付が変わって3月26日(土)の午前1時すぎまで続き、ドメニカリとブラウンは一旦、FOMのホスピタリティハウスを出て、FOMのオフィスがあるピットビルへ戻った。しかし、ドライバーたちのミーティングはその後も続き、ドメニカリが会見を開いて続行を宣言した後、チームのホスピタリティハウスに戻っていた各チーム代表がFOMのホスピタリティハウスに再び集合。ドメニカリがオフィスに帰ったことを知ると、チーム代表たちは全員オフィスへ移動した。
その後、マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表だけがFOMのオフィスからドライバーたちがミーティングしているFOMのホスピタリティハウスに戻ってきて、ドライバーに何か説明していた。
それを終えると、今度はジョージ・ラッセル(メルセデス/GPDAディレクター)がザイドルとともにFOMのオフィスへ向かった。
その直後の午前2時20分にFOMのホスピタリティハウスのドアが開いて、ドライバーたちが出てきて、緊急会合は閉幕となった。ただし、ドライバーたちは口を閉ざしたままで、表情も硬いことから、25日の午後10時40分に発表したとおり、26日(土)以降も予定通りグランプリが開催されるかどうかは極めて不透明な状況だ。
ミーティングを終えたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)はこう語った。
「何事においても安全を最優先に考えなければならない。週末レースを行うのであれば、安全が完全に担保されなければならない。僕たちはF1とFIAそして主催者を信じている。ただし、人それぞれいろんな考えがある。でも、心配はしていない。予定通りグランプリが開催されるだろう」
アルファタウリのフランツ・トスト代表も問題はないという。
「どんかなときでも、なんらかの問題というものが起きるものだ。心配はしていない」