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 ドイツ・SAFホランド社のカプラセンサーシステム「RECOSS(レコス)」は、3つの磁気センサーでカプラのロック状態を検知。目視確認と磁気センサーのダブルチェックで、セミトレーラ連結作業をサポートし、トラーラ脱落事故を未然に防止する装置。名前は「Remote Controlled Safety System」のイニシャルだ。

 トレーラ脱落事故とは、連結作業時の操作ミスや目視確認不足によりカプラのロックが外れ、キングピンが抜けてトレーラが脱落してしまう事故。主に物流センターの敷地内で発生しており、近年増加傾向にあるという。

 レコスは、過去にトレーラ脱落事故を起こしたことのあるユーザーの要望を受け国内初導入されたもの。一体どんな特徴があるのだろうか? 販売元の伸工貿易を取材した。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2019年9月10日発売「フルロード」第34号より


レコスはカプラのロック状態を監視し、異常を検知するとチェックランプを点灯してドライバーに注意喚起を行なうセミトレーラ用安全装置だ

 セミトレーラ連結車は、牽引車であるセミトラクタの連結装置「カプラ」に、被牽引車であるセミトレーラの連結装置「キングピン」を差し込んで連結する。カプラにはロック機構が備わり、正しく操作を行なえば絶対に外れることはない構造となっている。

 だが、連結作業時の操作ミスや目視確認不足など、何らかの原因でロックができていないと、走り出した途端や、少し走ったところでセミトレーラが外れてしまう。これがトレーラ脱落事故である。

 セミトレーラは車体前側の荷重をセミトラクタに支えてもらう構造。駐車時に用いるランディングギア(支持脚)を格納した状態で脱落事故を起こしてしまうと、支えを失った車体前側が地面に衝突し、車体はもちろん積み荷にも大きなダメージを与えてしまう。

 トレーラ脱落事故は、伸工貿易が把握しているだけでも月1件のペースで発生。一番の原因はドライバーの操作ミスと目視確認不足だが、最近は教習所で連結操作を習っていないドライバーも増えており、一概にドライバー個人の責任とは言い難い状況だ。

 カプラは構造上、3つのポイントを厳守していれば絶対にロックが外れないようになっているが、操作方法を間違えると外れてしまう。トレーラ脱落事故を防ぐためには、正しい操作で連結作業を行なうと同時に、目視確認を徹底することが重要だ。

 レコスは、目視確認で見えにくいところを磁気センサーによるチェックでサポート。目とセンサーのダブルチェックにより、トレーラ脱落事故を未然に防ぐ。欧州では広く普及しているが、日本導入は今回が初めてという。

 具体的には、キングピンがカプラの奥まで差し込まれているか、セーフティラッチが戻っているか(ロックがかかっているか)、トレーラプレートがカプラの上にあるか、の3点を磁気センサーでチェック。異常を検知すると運転席に備わるチェックランプを点灯させてドライバーに知らせる。

 日本に導入する理由は、過去にトレーラ脱落事故を起こしたことのあるユーザーから「初心者でも扱いやすくて、トレーラ脱落事故の防止に効果的な製品はないだろうか?」という声が増えてきたから。

 現在は一部のユーザーが試験導入している状況だが、今後は安全意識の高いトレーラユーザーを中心に積極展開を図っていく予定だ。

 なお、レコスはSAFホランド社製の軽量カプラ「SK-S」シリーズ専用。欧州車はチェックランプ用の配線があるが、国産車はないため、取り付ける際は確認が必要となる。

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