日常生活の中でより多くのバリエーションを提供。マツダとプジョーのこの2台のコンパクトカーは、センスの良いガソリンエンジンを搭載した日常の相棒だが、どちらも決して退屈なモデルではない。そして意外なことに、両車はまったく異なるタイプのドライバーに対応する設計だ。日仏コンパクトカーを比較してみた。
全長4.40メートルとなると、もはやコンパクトとは呼べない。良い点: マツダ3、プジョー308の両モデルとも表情豊かに描かれている。どちらも、日常生活の制約に従属しながらも、目立たなくなることに抵抗する個性の強い人々を連想させる。
308の3気筒は冷間時にうなり声を上げる
小さなステアリングホイールの上にあるプジョーの特徴的な「i-cockpit」は、「308」にヘッドアップディスプレイのような効果をもたらすことを意味している。しかし、1.90mを超えるドライバーからは、脚がハンドルに接触することへの不満の声が上がる。特にコックピットのディスプレイはかなり小さいので、ヘッドアップディスプレイの代わりにはなり得ない。ステアリングは、若干慌ただしさを感じるが、ロックtoロックは約2.75で、マツダのようにダイレクトなものではない。
さらに「308」の少しそわそわする印象は、ミニステアリングホイールとローエフォートとの組み合わせからくるものだ。短いバンプでは張りのあるベースノートでエッジの効いた脆いロールオフをする。しかし、本当にひどい悪路では、フランス車に期待されるように巧みに回避することができる。3気筒はまだ温まっていない時や加速時には唸り声を上げるが、高速道路ではロングギアと良好な断熱材のおかげで、ほとんど無音で作動する。
マツダ: きれいなギアスティック、硬質プラスチックがほとんどないこと、自然吸気エンジンであること
内側に硬質プラスチックをほとんど使わない、しっかりとした作りのマツダ3はステアリングも、より自然で、より有機的な印象を受ける。十分な排気量を持つ自然吸気ガソリンエンジンに、シフト操作の短い滑らかな6速マニュアル変速機を組み合わせている。
3,000回転以下ではあまり動きがなく、トラックを追い越すときはギアを2段ほど下げなければならないが、このギアボックスに関してペナルティはない。ショートストロークのサスペンションは、通常の走行状態ではすべてをうまくかわすが、オーバードライブすると突然リアを投げ出す。ESPを解除すると、コントロールしやすくなる。
マツダのインフォテインメントは、できることは少ないが(ケーブル経由でApple CarPlayは使用できる)、高速で、回転式プッシュボタンでブラインド操作ができる。プジョーは、マツダの良いシートよりも、さらに良いシートを搭載している。エンジンコンセプトが異なるにもかかわらず、テスト時の平均燃費の数値はほぼ同じだった。総合的なコストは、「マツダ3」の方が明らかに安い。
コンパクト比較: プジョー308対マツダ3 – すべての写真と技術データ
2位 800点満点中514点: プジョー308 PureTech 130
キビキビとした走り。現代的な接続性、スマホ上級者だけの操作性、高価。
価格:26,850ユーロ(約354万円)より
1位 800点満点中527点: マツダ3 e-SKYACTIVE-G 2.0 Mハイブリッド
有利な購入価格、素晴らしいマニュアルギアスティックと操作。確かな出来映え。
価格:23,990ユーロ(約316万円)より
結論:
コンパクトクラスは、驚くほどエモーショナルで表情豊かなクルマと、この2台のような美しく個性的なクルマを生み出してきた。プジョーはタッチスクリーンとワイヤレス接続のファンにアピールし、一方マツダは元来の自動車らしさと抑制されたコストで最終的には勝利した。
【ABJのコメント】
「マツダ3」と「プジョー308」、個人的に今気になっているクルマ2台である。見ての通り、大きさ的には近い2台ではあるが、フォルクスワーゲン ゴルフを交えて、ガチな勝負を繰りひろげる激戦区のセグメントであることは間違いない。そしてこうして比較してみると特に今回の2台はかなりその内容もコンセプトも異なることがわかる。
今やスペース効率よりもスタイリッシュさを重要視したのはマツダのほうで、「プジョー308」のほうが広く実用的である。その一方で操作性やメーターパネルなどで保守的かつ元来の自動車らしさを強調したのはマツダの方で、そういう意味ではかなりのコントラストを様々な部分ではっきりと表している。もちろんどちらも走行性も十分以上なものを持っているし、今回のテストも僅差であったことは言うまでもない。個人的には「プジョー308」の乗り味が気になるけれど、「マツダ3」のハンドリングや価格を見る限り、今回の結果は順当であったとも思える。ただし「マツダ3」のリアスペースの閉塞感はかなりのものなので、リアスペースにはあまり人を乗せない人向けだとは思う。(KO)
Text: Rolf Klein and Berend Sanders
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de