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 WTCR世界ツーリングカー・カップにヒュンダイ・モータースポーツのトップカスタマーとして参戦するBRCレーシングは、引き続きエースを務める2019年王者ノルベルト・ミケリスと、新加入ミケル・アズコナがドライブする2022年仕様のヒュンダイ・エラントラN TCRを披露。2台の車両は伝統的なレッド、ネイビー、そしてパフォーマンスブルーのスキームをまとうものの、主要パートナーとして名を連ねたロシアの石油企業LUKOIL(ルクオイル)のブランドロゴは消滅することとなった。

 今季を前にエングストラー・モータースポーツがホンダ陣営へのスイッチを表明したことを受け、改めて2台体制に縮小してのWTCR参戦となったヒュンダイ陣営だが、その前線部隊たるBRCレーシングは、本拠地至近となるイタリアはピエモンテ州ケラスコに位置する中世の宮殿を活用したサルマトリス・パレスのホールにて、特別なライブイベントを実施。ここで2022年仕様ヒュンダイ・エラントラN TCRを初公開した。

「ケラスコでのライブイベントは、BRC、ノルベルト、ミケル、そしてエラントラが2022年のWTCRシーズンを正式に開始するための素晴らしい方法だった」と語るのは、ヒュンダイ・モータースポーツの副チームプリンシパルを務めるジュリアン・モンセ。

「BRCヒュンダイN スクアドラ・コルセは明らかに優れた素晴らしいラインアップを持ち、我々のカスタマーレーシング・サポートエンジニアと一緒に、彼らは過去数カ月でいくつかの非常に重要なテストを完了することができた」と続けたモンセ。

「これはレースが始まる際には非常に貴重で、WTCRのグリッドはいつも信じられないほど近く、勝利のマージンはとてもタイトだ。チームと両ドライバーが行った追加作業と、2021年以降のエラントラN TCRでの経験により、ヒュンダイがパックの最前線に立つことを願っている」

■「代替案を探しているが、それでも現状の予算は確保されている」とヒュンダイ・モータースポーツの副代表

2台の車両は伝統的なレッド、ネイビー、そしてパフォーマンスブルーのスキームをまとう
主要パートナーとして名を連ねたロシアの石油企業LUKOIL(ルクオイル)のブランドロゴは消滅した

 2019年にWTCRシーンに姿を現して以来、ルクオイルはチームの主要パートナーであり続けてきたが、モンセによればWTCRでのヒュンダイ・ブランドの将来は、2022年シーズンを前に「確実に確保されている」と説明した。

「スポンサーシップについてルクオイルと話し合ったが、まだ合意には至っていない」と、ツーリングカー専門サイトの『TouringCarTimes』に語った同氏。

「もちろん今季は代替案を探しているが、それでも現状の予算は確保されている。水晶玉を持った占い師ではないから、状況がどのように変化するかはわからない。しかし我々もさまざまなパートナーやスポンサーと話し合っているから、その推移を見守りたい」

「重要なのはスポンサー契約の不確実性とは関係なく、我々がプログラム、そしてドライバーとともに、ここにいるということだ」

 2月にロシアがウクライナに侵攻した後、多くのモータースポーツ・カテゴリーで同様の現象が起きたが、ロシア企業との取引を見直すという挫折にも関わらず、モンセはエラントラ初年度からの貴重な教訓を踏まえ、2022年はその学びを活かすときだと強調した。

「昨年はエラントラの最初のシーズンであるにも関わらず、このクルマはいくつかの良い可能性を示した。今年はすべてをよりよく理解していると確信している」と続けたモンセ。

「今季も勝てない理由は見当たらない。昨季からセットアップにも一生懸命に取り組んできたからね。確かに、4台体制からの縮小で大規模なチームよりもデータが少ない可能性はあるが、タイトルを争うためWTCRで最高のドライバーラインアップが揃っている」

「2台のクルマでより関連性の高いデータが得られる可能性もあるし、決定は軽視していないが、量よりも質に重点を置くこともでき、それは現時点で我々も満足できる選択だと考えている」

Engstler Motorsportがホンダ陣営へのスイッチを表明したことを受け、改めて2台体制に縮小してのWTCR参戦となったヒュンダイ陣営
「昨年はエラントラの最初のシーズンであるにも関わらず、このクルマはいくつかの良い可能性を示した」とジュリアン・モンセ