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ロシアとウクライナの停戦交渉が29日、トルコの仲介で行われた。停戦交渉後、ロシア国防省がキエフ周辺などでの軍事活動を縮小を発表。「撤退ではなく再配置」(米国防総省)との分析があるものの、「侵略が2月24日に始まって以来、前進へ初めての兆し」(BBCニュース)との希望的な見方が少しずつ広がっている。

もうお金がなくなってきた!(画像はロシア大統領府撮影)

ロシア側の譲歩の大きな要因の一つとして考えられるのが、戦費調達とそれを裏付ける財政力に限界が見えてきている点だ。すでに西側から冷戦終了後、最大級の経済制裁を受け、マクドナルドをはじめとする外資企業が続々と撤退。自国のエネルギー産業は健在で、中国やインドなどが制裁に参加していないものの、短期的な経済的ダメージは計り知れない。

その一方で、想定外の戦争長期化で、戦費は膨らむばかり。バルト諸国や東欧を拠点に展開する大手経営コンサルティング、シビータは今月1日、「最初の4日間の人命の損失だけで、最も控えめに見積もっても今後数年間で27億ドル以上のGDPの損失、兵站、人員、ロケット発射などを考えると、ロシアの1日の総戦争費用は200〜250億ドルを超える可能性がある」との見積もりを示した。この試算通りであれば、600億ドルのロシアの国防予算はの何倍もの戦費をすでに使ったことになる。

また、30日の読売新聞でも紹介されたように、ロシアの独立系メディア「インサイダー」が、開戦3日目の26日に発射した52発のミサイルが推計3億4000万ドルと報道。その際、高価な長距離精密誘導弾8発を使ったことにプーチン大統領が激怒したとも伝え、日本のツイッターでも話題になった。

経済評論家の藤巻健史氏は30日朝、ツイッターで読売報道を引用しながら連続投稿。巨額の戦費でロシアの国家財政を苦しめているとの報道について、「MMT教祖 & MMT信者殿 「なぜ『ルーブル建て国債を発行し、中央銀行にルーブル紙幣を刷ってもらい、その国債を買い取ってもらいなさい。そうすれば国家財政はたてなおり、武器調達など簡単ですよ』と、提言してあげないの?」「『その国債発行によって武器は山ほど買えますよ』と教えてあげないの?。貴重な教義を教えてあげてロシアが戦争継続をすることのないように配慮しているところは、えらい」などと皮肉っていた。

果たしてプーチン大統領は“禁断”のMMTに手を出すことがあるのだろうか。あさっては4月1日。万一、そんな事態がその日に報道されたなら誰も信じないかもしれないが。