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 中型・大型免許の取得年齢引き下げを含めた道路交通法改正が成立し、2022年5月13日に施行される。

 この改正により普通免許等を取得し1年以上経過すれば中型・大型免許の受験資格が得られ、最短で19歳から大型車に乗ることが可能になる。

 改正に次ぐ改正でちょっと複雑になってきている免許制度。あらためて整理し解説していこう。

文・写真/フルロード編集部


現行免許制度のおさらい

 2017年3月12日施行の改正道交法によって準中型が新設されたのが現行免許制度である。

 改正前の普通免許で運転できる車両は車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満であったが、改正後は車両総重量3.5トン未満、最大積載量3.5トン未満、最大積載量2トン未満に。

 これによって普通免許では、車両総重量が3.5tを超えるため小型トラック(いわゆる2t車)すら運転ができなくなってしまった。

 現在、新普通免許で運転できるトラックは、軽量なガゾリンエンジンを搭載するごく一部のトラックに限定される。

 そのいっぽう、普通免許と同じ18歳から取得できる準中型免許は、車両総重量7.5トン未満、最大積載量は4.5トン未満となる。同免許ではコンビニ配送で主力となる3t積みトラック(2t車ベースの増トン車)などが運転可能だ。

小型トラックがベースの3t車。ボディ形状問わずほとんどの車種で車両総重量は7.5t未満に収まり準中型免許で運転ができる

 その上のクラス、いわゆる4t車以上を運転するには中型免許以上の取得が必要である。

 中型免許が設けられたのは2007年6月2日の改正道交法の施行からで、車両総重量11トン未満、最大積載量6.5トン未満がその範疇。取得条件は普通免許等を取得して2年以上となり、最短で20歳から取得可能である。

中型免許の実技教習の様子。教習車はダブルキャブが多く採用される

 なお、中型免許ができる以前に普通免許を取得していれば、「中型車は中型車(8t)に限る」と免許証に記載される。

 この「8t」とは車両総重量のことで、現在製造されている中型車は8t未満であることから、この普通免許を保有していれば4t車を運転できることになる。

 大型免許は普通免許等を取得して3年以上、つまり21歳以上から受験資格が与えられる。大型車とは車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上の車両をさし、8t車など4t車ベースの増トン車も大型車枠となる。

改正後の新免許制度のあらまし

 5月13日に改正される新免許制度では、中型・大型免許、二種免許の受験資格を、普通免許等を保有してから1年以上とし、19歳から取得が可能に。

 改正法案成立の背景として、運送業界で深刻化するドライバー不足があり、運送事業者にとっては歓迎すべき緩和策といえるだろう。

近年における免許制度の変遷

 いっぽう直近の2017年の改正道交法では、トラックの運転には準中型以上の「専用の免許が必要です」という引き締めを行なっただけに、逆行するような今回の免許制度の大幅な緩和はどこか否めない感が残る。

 中型・大型免許も19歳で取得することができるなら、中型をスキップして大型を受ける受験者も増えるはず。そうなると中型免許の存在意義もよくわからなくなってくる(取得費用は大型より安いが)。

 そうした反面、中・大型の教習で受けなければならない時限数は36時限以上に増大。また免許取得後、所定の期間(中型20歳、大型21歳)までに道路交通法違反を犯し規定の違反点数になった場合、若年運転者講習を受けなければならない規定も設定される。

 教習や講習が強化されるとはいえ、そうしたことで得られる運転経験・知識・意識は限定的だろう。

 やはりトラックを貸し与える側、つまり運送事業者の若年ドライバーへの教育が何より重要になっていくはずだ。

運転免許試験場の大型免許試験で用いられる試験車。中型免許新設前は4t車を増トンした8t車が使われることが多かった

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