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 衝撃のテロ事件から一夜明け、不安と疑念を表に出さずチームは勝利のためにレース続行を選択した。そして始まった予選は一筋縄ではいかない悲喜交交なドラマがおり混ざる展開となった。SNSから土曜の様子を振り返る。

●ラッセルがファンの質問にガチ返答

 今季からメルセデスの一員となったジョージ・ラッセルは、日々Instagramを更新している。投稿するたびに多くのファンがコメントを寄せてくれるため、今回は代表的なコメントに返答してくれた。

 例えば首を鍛えるトレーニングで強張った表情をしている写真を投稿しているが「実際のドライビング中でもこのような顔をしているのか?」という声が寄せられ、ラッセルは「実際、良い見た目ではないと思うよ」と苦笑いしながら答えている。

●安定感抜群、フェラーリのオンボードカメラ

 開幕戦で復活を印象付けたフェラーリは、ジェッダでも表彰台は堅い。シャルル・ルクレールのヘルメットに搭載された視点カメラから1周走行時の様子が公開されている。コーナーでの挙動は安定し、ストレート区間での縦振動も最小限に抑えられており完成度の高さがうかがえる。

●賛否両論の開催決行

 サーキットから16km離れたアラムコの施設でテロが発生するも、結果としてレース開催が続行されたサウジアラビアGP。最終的にチーム・ドライバーが納得の上で決行の判断が下されたというか、心中穏やかではない。誰もがF1を楽しめる世界の到来は、まだまだ時間がかかりそうだ。

 GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)は実に4時間以上の交渉を行ったと言われ、理事を務めるラッセルは特にタフな一日となった。GPDAから以下のような声明が発表されている。

「F1にとって昨日は困難な一日で、F1ドライバーにとってストレスフルな日だ。ジェッダの高速でチャレンジングなコースをF1で走行したことがない者にとって理解しがたいと思うが、煙が見えた時にレーシングドライバーとして全力で集中し、また人としての不安を払拭することは難しかった」

「チーム代表、このイベントを動かす要人とディスカッションを続けた。多くの議題が共有し議論され、F1のみならずサウジアラビアの政府からも最大レベルの安全対策を施すと説明を受け、フリー走行、予選、決勝レースを行う決議がされた」

「2022年のサウジアラビアGPが昨日起きた事件ではなく素晴らしいレースとして想起されることを願っている」

 ドライバー、家族、チームスタッフの不安は想像以上だ。それでも予選に備えてチームは気丈に振る舞いマシンを送り出す。

◾戦慄の大クラッシュ、歓喜の初ポール/土曜日の様子

●戦慄の大クラッシュ、歓喜の初ポール/土曜日の様子

「マシンのペースは良い」と開幕戦から語っていたアルファタウリのピエール・ガスリーだが、マシンの信頼性はまだ万全とは言えないようだ。フリー走行中にトラブルでストップし、マシンを手押しでピットに戻すことに。乱戦が予想される決勝レースでは、生き残れれば上位入賞のチャンスがあるため、トラブルはなんとか解消しておきたい。

 前夜の緊急会合で疲れが抜け切れてないであろうラッセルだが、そんな様子は一切見せずに予選へ挑む。

 予選は、やはり一筋縄ではいかない。Q1ではウイリアムズのニコラス・ラティフィが早速餌食に。

 なおこの時点でタイミングモニターはハースがワン・ツー。開幕戦から公式Twitterもノリノリだ。

 ハースの2台がQ2進出を決めた一方でメルセデスのルイス・ハミルトンがなんとQ1敗退に。ハミルトンのQ1脱落は2017年のブラジルGP以来とのことだ。

 波乱は続く。Q2ではハースのミック・シューマッハーが肝を冷やす大クラッシュ。マシンからギヤボックス以降が完全に分離してしまうほどで、各チームも心配する。幸いにもシューマッハーは無事との報道に一安心。

 アルファロメオのバルテリ・ボッタスは連続Q3進出記録を伸ばすことに成功。チームは鳥肌ものと答えている。

 好調フェラーリを0.025秒交わしてポールポジションを獲得したのはレッドブルのセルジオ・ペレス。キャリア初でメキシコ人ドライバーとしても初の1番時計だ。乱戦必至の決勝レースにおいて、最前列スタートの意味は大きい。