ミシュランは2022年1月6日、アメリカ・ラスベガスで開催されたCESでラストマイル輸送用の「トゥイール」エアレスラジアルタイヤを発表した。
エアレスタイヤの最大のメリットは、パンクしないということで、トゥイールはこれまで重機やゴルフカート用などに展開されていた。プロトタイプとはいえ、それが物流用にも広がった形だ。
ちなみにミシュランは乗用車用のエアレスタイヤとしてトゥイールを発展させた「アプティス」を発表しており、GMとの共同開発により2024年中の実用化を目指している。
はたしてエアレス化は使用条件の厳しいトラック・バス用タイヤにも広がるのだろうか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/ミシュラン
Eカーゴ・トライク用のプロトタイプ
ミシュランは、2022年1月ラスベカスで開催されたコンシューマーエレクトロニクスショー(CES)において、Eカーゴ・トライク用エアレスラジアルタイヤ「MICHELIN X TWEEL(ミシュラン エックス トゥイール)」のプロトタイプを発表した。
都市部のモビリティとラストマイル配送の課題解決は、将来の持続可能なソリューションの鍵とされる。エアレスタイヤはパンクしないため、車両のダウンタイムを無くし、より多くの荷物を安全に運ぶことができる。
発表された MICHELIN X TWEEL のEカーゴ用プロトタイプは、アメリカのコースター・サイクルズ社の電動アシストカーゴ三輪に装着されている。
トゥイールのビジネスディレクター、Tony Marconiは次のように述べている。
「ミシュランは、複雑で要求の厳しい都市モビリティとラストマイル配送におけるイノベーション開発に取り組んでいます。物流で最もコストがかかるのは、ラストマイル配送です。トゥイールは、他のセグメントのパンクによる課題を解決してきました。ミシュランは、都市モビリティでも、車両の稼働時間を最大化しお客様の問題を最小化するため、最高のソリューションを提供します」
エアレスタイヤの主な特徴とメリット
エアレスタイヤの特徴とメリットについて、ミシュランは次のような点を挙げている。
- タイヤのパンクが無くなり、ダウンタイムを削減
- 安全性と安定性の向上。コーナーリングの安定性を高め、ラストマイル配送を迅速化
- 空気入りタイヤ以上の積載効率
- メンテナンス負荷低減、パンク修理が不要
- 装脱着が容易で、部品数低減によりトラブル減少
- 低転がり抵抗
- リサイクル率向上
- 長寿命
”MICHELIN X TWEEL”エアレスラジアルタイヤは、従来の組み付けに代わり、タイヤとホイールが一体化されている。
複雑な取り付け機器は必要なく、ボルトで一旦固定すれば、空気圧を維持する必要はない。
また、樹脂製スポーク内の独自のエネルギー伝達により、優れたハンドリング性能を提供しながら、空気入りタイヤに付きものの「はねあがり」を低減するという。
空気入りタイヤのように機能しながら、パンクによる不便やダウンタイムがなくなるように設計されている。
なお、今回発表されたE-カーゴ・トライク用エアレスラジアルタイヤはプロトタイプだが、スキッドステアローダー、ゴルフカート、芝刈り機用などの MICHELIN X TWEEL エアレスソリューションは、既に実用化されている。
カーゴ系以外で実用化されているエアレスタイヤ
エアレスタイヤが実用化されているスキッドステアローダーはホイールローダーの一種。操舵機構ではなく、左右輪の回転速度や回転方向を変化させることで進路を変えることができるのが特徴だ。
装輪式ながら履帯(クローラー)式車両のような動きが可能だが、タイヤと地面の摩擦が大きく、摩擦係数の大きい路面を苦手とする。
このため、スキッドステアローダーのエアレスタイヤ化は耐久性の向上に寄与する。
米国を中心にゴルフカートや芝刈り機用のタイヤとしてエアレスタイヤの採用が進んでいる理由はいくつかあるが、まず、いずれも道路外を走行するため、不整地でパンクしないというのは大きなメリットになる。
交換作業も空気入りタイヤより簡単だ。また、これらの車両ではタイヤ自体がサスペンションのように働き、乗り心地が向上するという利点もある。
物流現場の要求は、これらの車両とは相応に異なると思うが、プロトタイプを通じてどのようなフィードバックがあるのか注目したい。
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