2022年の開幕戦バーレーンGPでは、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスのマシンにトラブルが発生し、レッドブルは大量得点を逃す結果となった。現場を訪れた元ホンダF1の山本雅史氏は、レッドブルが上位入賞を逃した結果は「痛い」と語る。一方で優勝を果たしたフェラーリは「圧巻」だったといい、8位に入賞した角田裕毅(アルファタウリ)については「金曜日からの流れからすれば十分」と評価した。
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──レッドブルにとっては残念なレースとなりました。
山本雅史氏(以下、山本):疲れました……。
──トラブルの原因は?
山本:(クリスチャン・)ホーナーが言っていたように、燃料系です。ガソリンが残っていましたから。
──ガソリンがうまくパワーユニットへ供給されずにパワーが落ちて……。
山本:同じような症状がチェコ(セルジオ・ペレス)にも出て、2台とも……。
──ただ、そのトラブルがなくても、今日はフェラーリには敵わなかった?
山本:フェラーリが圧巻でした。2台とも。速さでいうとシャルル・ルクレールの方が上だったと思います。マックス(・フェルスタッペン)もそれを感じていると思います。
──でも、フェラーリと戦える力があることはわかりました。
山本:そうですね、マックスは何もなければ2位。レッドブルとしては、2位、4位を逃したのは痛いです。
──フェラーリは圧巻でしたが、フェラーリのパワーユニットを搭載するハースとアルファロメオも素晴らしい走りでした。
山本:今年のパワーユニットはE10が入って、たとえばレッドブル・パワートレインズを基準にすると、フェラーリが見方によっては若干上かもしれない。メルセデスはもしかするとちょっと下にいて、ルノーはメルセデスとほぼ一緒かなあという感じです。メルセデスはアストンマーティンやウイリアムズの走りを見ていると、ちょっと厳しいかなという印象です。逆にフェラーリのパワーユニットを積んでるハースやアルファロメオはいいレースをしていましたね。
──フェルスタッペンがチャンピオンになってどんなレースをするかと思ったら、チャンピオンというより、今年も挑戦者みたいな感じで、何度も仕掛けていきました。あれはどういうふうに見ていましたか?
山本:マックスらしいと言えばマックスらしいし、前に行けるチャンスがあったら行くという感じじゃないですか。レッドブルのチームメンバーとすれば、やっぱりあのアグレッシブさを1年を通じてやりきれれば、またいい結果を生むんじゃないかなと思っています。
──グランプリの週末にフランツ・トスト代表(アルファタウリ)ともいろいろ話をしたとか。
山本:私はこの春からTEAM GOHの監督になったわけですが、フランツは90年代に日本でラルフ(・シューマッハー)のマネージャーとして過ごしていたときに、郷(和道)さんの別荘に住んでいたという関係があって、いまでも連絡を取り合うほど仲がいい。それで、話が盛り上がったわけです。最後にはフランツから郷さんに「新たにTEAM GOHが復活したことを僕もうれしく思う。TEAM GOHから若いF1ドライバーが誕生することを期待しているよ」とメッセージをもらいました。
──フェラーリの1-2フィニッシュは2019年シンガポールGP以来です。今回のフェラーリの復活をどうとらえていますか。
山本:まったく危なげない。余裕を持って1-2フィニッシュを見せつけられました。今シーズンはフェラーリと真っ向勝負になるのかなと思ったレースでした。そういう意味では2位と4位を落としたのは痛い。ただ、F1界を盛り上げるという意味ではフェラーリの1-2フィニッシュは喜ばしいことです。これから巻き返しますよ。
──そんななか、唯一ホンダ系で完走したのが角田裕毅(アルファタウリ)でした。
山本:マックスとチェコ、そして(ピエール・)ガスリーがリタイアしたために転がり込んできた8位ですが、その8位で初戦を終えたっていうのはよく頑張ったと思います。金曜日からの流れを考えれば、レースペースが中団グループのほかのライバルたちと遜色なかった。そのうえでポイントをゲットしてよく頑張ったと思います。金曜日からの流れからすれば十分です。