F1のスポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンによると、F1の新世代デザインのマシンが初レースに臨んだ先週末第1戦バーレーンGPでは、「マイナス面は何も」見あたらず、グランプリレースが以前の“ひどい”マシンから移行したことが証明されたという。
テクニカルレギュレーションの大幅な変更は、サクヒールで始まった新時代の到来を告げた。レースでは、フィールド全体でいくつか接戦が見られた。そのなかにはレース勝者のシャルル・ルクレール(フェラーリ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の間の壮絶なバトルもあり、F1の新レギュレーションのメリットが明らかになった。
「これはひとつのサンプルベースではあるが、マイナス面がまったく見られなかったのは素晴らしいことだ」とブラウンは日曜日のレース後にメディアに語った。
「ドライバーがデブリーフィングを行い、FIAがすべてのデータを調べ始めれば、我々がどれだけ進歩したかが分かるだろう」
「以前のマシンはひどかったが、我々は一歩を踏み出すことができた。今後はマシンのレース能力を強く考慮しなければならないことを、示したと思う」
新レギュレーションを考案したF1のワーキンググループは、現在FIAとその専門技術部門の傘下で活動している。専門技術部門では、F1の現デザインコンセプトの理解と発展を継続するために、すべての関連データにアクセスすることができる。
「我々はすべてのデータと情報を理解していき、チームとドライバーからフィードバックを得ることになるだろう」とブラウンは付け加えた。
「常に言っていることだが、これはプロセスであり、ワンストップソリューションではない。我々はプロセスを続けていく必要がある」
「このマシンをデザインしたチームは今ではFIAに移籍したので、チームは正当にすべてのマシンデータにアクセスできる。すべてのマシンデータを見て、何を改善する必要があるか、どのように前進しているか検討することができる」
「このプロセスを続けていき、将来も新マシンの優先事項にレース能力を加えていければ、非常に正しい動きになると思う」
■「初戦にしては良い兆候だ」とドメニカリCEOも手応えを感じる
バーレーンで散々な初戦に苦しんだマクラーレンを除き、サクヒールで先頭集団にいたのはいつもの面々だったが、F1の中団の形勢には変化があった。ハースとアルファロメオがトップ10圏内でレースをしていたのだ。
「新レギュレーションについて、私には明らかに2、3のチームがうまく対応できていないように見える」とブラウンはコメントした。「だがそれほど悪い状況ではない」
「これまでのように2、3のチームが先頭集団で激しいレースをし、強力な中団グループがあれば、我々は満足すべきだと考えている。そしてそれらのマシンが競い合えれば、それが重要なことになる」
「予算制限がもたらす影響について忘れることはできない。現時点では、あと1億ドル(約121億円)をプログラムに投入して問題を解決するということを誰もできないのだから」
「そのため開発ペースは均一になり、誰も引き離すことはないだろう。多くのことが良い方向に進んでいると思う。素晴らしい1年が期待できるだろう」
日曜日の記者会見でブラウンと同席したF1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリも、同様にバーレーンのコースで目にした見事な光景に励まされており、いかに戦略が戦いの場を左右しショーを盛り上げたかについて言及した。
「まず、ピレリによる素晴らしい仕事を過小評価することはできない」とドメニカリは語った。
「タイヤは常により注目を集めてきた。型の違いが、異なる要素と戦略をショーに加えるのを我々は目にした。あるチームは正しいことをし、あるチームは間違えた。これもゲームの一部だ!」
「またプロモーターの質の高さも見てきた。我々がもたらしたいと思うエネルギーがあったのだ。商業的な観点から見ると、多くの企業が我々に投資を行ってきた」
「F1に多くの新しいブランドが参入しており、ビジネスは非常に順調であることが分かる。目にしていることには励まされているし、F1は素晴らしい状態にある」
「コース上では素晴らしい戦いが繰り広げられた。すべてのドライバーが非常に的確だった。初戦にしては良い兆候だ」
「フェラーリが返り咲いて競争力を発揮しているのは、誰にとっても非常に良いことだろう。このことがプロモーターが販売するチケット売上数に影響すると確信している。イモラでは昔のような大観衆が集まると予想している」