2022年のF1開幕戦バーレーンGPが開催されたバーレーン・インターナショナル・サーキットに、アストンマーティンのサーキット専用車『ヴァルキリーAMR Pro』が登場。ディルク・ミューラーが“ノールール・ハイパーカー”のデモランを実施した。
アストンマーティン・ヴァルキリーAMR Proは、公道ルールやレースのレギュレーションなどに縛られることなく、ただ究極のパフォーマンスを探求するために設計されたトラック専用ハイパーカーだ。
最高回転数1万1000rpm、最高出力は1013PSを発揮するコスワース製6.5リットルV型12気筒自然吸気エンジンをコクピット後方に搭載するこのモデルは、エアロダイナミクスにおいてもWEC世界耐久選手権のLMHル・マン・ハイパーカー規則の数値を超える空力効率を備え、計画目標はサルト・サーキット(ル・マン24時間サーキット)を3分20秒でラップすることとしている。
そんな並外れたパフォーマンスを秘めるマシンを開発ドライバーのひとりであるミューラーがドライブ。グランプリの予選日と決勝日の午前中に1回ずつトラックに出ると、コースサイドのファンにV12エンジンの咆哮を届けるとともに、F1マシンに近いトラックパフォーマンスを披露している。
ダイナミックな“グローバルデビュー”のドライバーを任されたミューラーは、走行を終えて次のようにコメントした。
「信じられないよ! 誰もがこのクルマについてそう言うのは知っているが、真面目な話このクルマは本当に別物だ」
「僕がこれまでにドライブした他のどのクルマよりも性能的にはF1に近い。パワー、ハンドリング、グリップ、すべてが完璧なんだ」
アストンマーティンのトビアス・ムアースCEOは、「ヴァルキリーAMR Proはパフォーマンス・エンジニアリングの最高峰だ」と述べている。
「私たちのテストドライバーは、全員がレーシングドライバーとして大きな成功を収めている者たちだが、このクルマに畏敬の念を抱いている」
「その理由は簡単に理解できる。ヴァルキリーAMR ProはF1のパフォーマンスレベルに近づいており、私たちはこれまででもっとも過激なアストンマーティンをとても誇りに思っているんだ」
世界限定40台のみが生産されるアストンマーティン・ヴァルキリーAMR Proは、すでに最初のデリバリーが始まっている。すべてのオーナーを対象にしたアストンマーティン専用のサーキット体験プログラムの一部も今秋から開始される予定だ。
同プログラムはヤス・マリーナをはじめ、シルバーストン、ニュルブルクリンク、富士スピードウェイ、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)など世界各地のサーキットで行われ、F1や耐久レースで活躍する伝説的なドライバーたちによるコースサイド・サポートも含まれている。