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HV廃止…新型開発は未定…それでもいまスカイラインを買うのはアリだと断言する理由

 日産の高級セダン、「シーマ」および「フーガ」が、近々生産終了となるウワサがきこえてきた。スカイラインも、3.5L+モーターのハイブリッド車が廃止となり、3.0L V6ツインターボのガソリン車のみ(400R含む)になるという。

 この3.0L V6ツインターボは、騒音規制、CO2規制などを考えれば、今後生き残る可能性はほぼ「ゼロ」。買うなら今しかない。現行V37スカイラインの魅力を振り返りつつ、V37スカイラインのおすすめグレードについてご紹介しよう。

文:吉川賢一
写真:NISSAN、エムスリープロダクション

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せっかくならば「400R」を手に入れたいところ

 現行であるV37スカイラインは、2019年7月にマイナーチェンジを受けた後期型モデルだ。このマイナーチェンジでは、V37デビュー以来装着していたインフィニティバッヂから日産バッヂとなり、テールランプの形状も丸目4灯タイプの造形へと変更された。また、R35型GT-R顔にも似た「Vモーショングリル」が採用されたことで、当初は「日産のスカイラインが戻ってきた!」と大いに話題になった。

 同時に、パワートレインも大きく変更された。メルセデスとのアライアンスの関係で、それまでエントリーグレード向けとして採用していたメルセデス製の直4ガソリンターボを廃止し、日産製の3.0L V6ツインターボを搭載。同時に「400R」のネーミングを与えたスポーツグレードを設定した。ハイブリッドモデルには、「プロパイロット2.0」を搭載したことでも注目を集めた。

 さらにシャシーに関しては、それまで上位グレードのみ採用であったDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング:ステアバイワイヤのこと)が標準装備となり、インテリジェントダイナミックサスペンション(電子制御ショップアブソーバー)がV6ターボのタイプSPにメーカーオプション、400Rには標準装備された。

 車両価格は、3.0L V6ツインターボが税込435万~490万円、3.5Lハイブリッドが557万~616万円(※4WDはハイブリッドのみ設定で586万~644万円)、そして400Rが562万円だ。立派な価格だが、スカイラインファンならば、やはり400Rを手に入れたいところ。ただ、400Rにはプロパイロット2.0が設定されていないので、その点は注意が必要だ。

丸目4灯化したリアスタイル。丸目4灯は歴代スカイラインのアイデンティティとなっている

前期型の中古車も十分に「アリ」!!

 500万円なんて高すぎて手が出ない、という場合には、中古で手に入れる方法もおすすめしたい。V37スカイラインが国内デビューしたのは2014年6月、2014年製造車だと8年落ち(4度目の車検を迎える)5万キロ程度のモデルが、既に120万~160万円程度で販売されている。

 10年10万キロをほぼノートラブルで走る現代のクルマであっても、これくらいになると、さすがにあちこちにヨレや綻びが見受けられるようになるため、現車の念入りなチェックは必要だが、それでも2.0リッターターボ車や3.5Lハイブリッド車が、この価格で買えてしまうのは衝撃でしかない。

 ちなみに、インフィニティバッヂを付けた前期型モデルは、2017年12月にマイナーチェンジを行っており、フロントバンパーやテールランプの形状変更、19インチホイールのデザイン変更、ステアリングホイール、インパネ、シフトノブ(インフィニティのロゴ入りに変更)、メーターパネルのデザイン形状など、広く修正されている。このころのモデルとなる4年落ち(次に2度目の車検を迎える)中古車は、200万-250万円で販売されている。これでも十分にリーズナブルだ。

 ただし、前期型のメルセデス製2.0Lターボを搭載したモデルはあまりお勧めできない。アイドリングストップから復帰する際の振動、走行時のエンジンノイズ、加速時にふけの悪いエンジンなど、実用エンジンではあるが、運転する楽しみは見出しにくい。ちなみに燃費もJC08モードで13.0km/Lとさほど良くはない。

 狙うならば、350GTハイブリッドの方だ。日産製のV6(VQ35HR)は、エンジンのふけ上がりも良く、サウンドも上々。燃費もWLTCモードで12.4km/L(JC08では14.4km/L)。価格も200万円台と安くなっている。なかでも、ステリングシステムがDASとなっている上位モデルの350GTハイブリッドtype SPを積極的に選びたいところ。

 DASによる切れ味鋭い応答性によって、わずかなステアリングの操舵角で、連続するコーナーをすいすいと駆け抜け、高速走行では怒涛の直進性を発揮する。それでいて、キックバックや不快なステアリング振動がなく、とはいえ手応えもしっかりとあり、補舵力は軽く疲れにくい。旧来のスカイラインの面影を感じられるパワフルさと、先進性を感じ取れるハンドリングを両立した、極上セダンを堪能できるだろう。

 もし筆者が買うならば、中古で手に入れた350GTハイブリッドtype SPに、新品タイヤと油脂類のリフレッシュをしてナビの地図データを更新し、10万キロまで好きに乗りまわすだろう。

多少古くても大丈夫!! シャシー性能の高さは依然としてトップクラス

 筆者が考えるスカイラインの最大の魅力、それは「シャシー性能の高さ」だ。この高いシャシー性能によって、スカイラインは、動性能の仕上がりレベルが高い。サスペンション、ステアリング、車体(フロア側)、シート性能、空力性能といった、高いシャシー性能があるからこそ、エンジンの魅力を存分に引き出すことができている。

 スカイラインは長きにわたって多くのファンに愛されてきたモデルだけに、幅広い年代層にファンがいる。それだけに、欧米化したV37スカイラインに対しては厳しい声も多く、「認められない」という方も多いと聞く。だが国産スポーツセダンの世界を味わうにはもってこいの素材だ。乗ったことのない方は、ぜひ何かしらの機会を得て、乗ってみてほしい。乗ればその魅力に気づくはずだ。

 スカイラインの次期型プロジェクトは、何かしらのかたちで、動いているだろう。日産の星野副社長が「スカイラインは諦めない」と発言された言葉を信じたい。筆者は次期型スカイラインについて、「e-POWERもしくは電動AWDとなったスカイラインGT-Rの復活」が最善のシナリオ、と考えているが、はたしてどうなるか。いずれにせよ、ピュアガソリンエンジンのスカイラインは、いまを逃せば買うことはできなくなる可能性は非常に高い。買うなら今だ。

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