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 角田裕毅(アルファタウリ)の2年目の開幕戦は、まさかの予選Q1脱落に終わった。

 予選後にミックスゾーンにやってきた角田は「しょうがないなという感じです」と肩を落とした。

 何が仕方がなかったのか? それは、この日、角田は予選前までに1周もしていなかったからだ。午後3時から開始されたフリー走行3回目は、予選に向けて燃料を軽めにしてソフトタイヤでタイムアタックの感触をつかむ時間となる。その貴重なフリー走行3回目が開始しようとしていたとき、角田が乗り込む22号車にハイドロ系のトラブルが発生。角田はコクピットを降り、メカニックによる修復作業が始まった。

【角田裕毅F1第1戦密着】
角田車にハイドロ系トラブルが発生し、メカニックは修復作業に取り掛かった

 広報が「なんとかセッションが終了する前に作業を終わらせ、ユウキをコースに復帰させたい」と語っていたように、マシンを降りた角田はしばらくガレージにとどまっていた。

【角田裕毅F1第1戦密着】
マシンの修復作業中も角田はガレージ内にとどまっていた

 しかし、約30分が経過しても、復旧の目処がたたないことがわかると、レースエンジニアの諭されるようにして、角田はいったんガレージを離れた。そして、メカニックの健闘も虚しく、その後角田は1時間のセッション内に戻ってくることはなかった。

【角田裕毅F1第1戦密着】
担当エンジニアのマッティア・スピニと話し込む角田
【角田裕毅F1第1戦密着】
修復のめどが立たないことがわかり、角田はガレージを離れた

 金曜日の夜に変更したセッティングを試すため、午後6時から開始された公式予選ではQ1から新品のソフトタイヤを3セット投入する予定で臨んだ。全車が1回目を終えた段階でQ2進出圏外に終わった角田は、2セット目でミスを犯して、タイムアタックを途中でやめてピットイン。Q1を突破するためのチャンスは、最後の3セットのタイヤだけとなった。

「僕のなかではそんなに悪くはなかったのですが、思うようなバランスで走ることができていなかったという感じです」と語った角田は、Q1で16番手に終わった。角田がQ1落ちするのは、昨年の第14戦イタリアGP(17番手)以来、9戦ぶりのこととなった。

 それでも、角田はチームの批判はしなかった。そして、日曜日の決勝レースに向けて、落ち着いた表情で次のように語った。

「何が起きるのかわからないので、自分ができることをしっかり最後までやりきって、レースを終えたいと思います」

 1年前は予選13番手から9位に入賞した角田。今年は16番手からどんな走りを披露してくれるか、楽しみにしたい。