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 ドイツで隔年開催される「IAAコマーシャルビークルズ」は、商用車ショー・展示会としては世界最大のものだ。2020年のIAAは新型コロナウイルスの影響で中止となったが、2022年は名称を変更した上で(バーチャルではなく)リアル開催する。

 名称は、従来の「IAAコマーシャルビークルズ」から「IAAトランスポーテーション」に変更された。主催者であるVDAはこの変更について「IAAのコンセプトの拡大に伴うもの」と説明している。

 そのコンセプトについては2022年2月に詳細が発表されたので、開催概要をお伝えします。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部


IAAが名称を変更

 商用車とロジスティクス、バスなど先進的な商用車のショー&展示会であった「IAAコマーシャルビークルズ」は昨年11月、2022年のIAAから「IAAトランスポーテーション」に名称を変更すると発表した。

世界最大の商用車ショーが名称変更&コンセプト拡大して今年リアル開催!!
IAAに合わせて数多くの新型車が登場する。写真はメルセデスベンツ・アクトロス

 併せてコンセプトを拡大し、2022年の9月20日から25日にかけてハノーバーのドイチェ・メッセAGで開催する。開催テーマは「ヒトとモノを運ぶ」(People and Goods on the Move)だ。

 コンセプトの拡大は、トラック、バス、ロジスティクス分野の人々が、最新のテクノロジーなどへネットワークを広げるのを助けるためとしている。また、その目標として、輸送業界において最初の、環境に優しい変革にフォーカスする国際プラットフォームになることを掲げる。

 「環境問題に対処し、モビリティを変革するため、私たちは技術的なパラダイムシフトを必要としています。ロジスティクスと輸送セクターのメーカーは、難しい挑戦をしています。新しい『IAAトランスポーテーション』で、彼らが創造的にシナジーを強化することを望んでいます。これがコンセプトを拡大した理由です。商用車、バス、トレーラなどの車両に加えて、鉄道、船舶、航空機、ラストマイル輸送のデリバリーロボットなど、あらゆるロジスティクスがコンセプトに含まれています」
(VDA代表のヒルデガルト・ミュラー氏)

4つのイベント

 IAAトランスポーテーションは4つのイベント要素から構成される。

  • IAA Exhibition
  • IAA Conference
  • IAA Experience
  • IAA Digital

 エキシビション(展示)は国際的な出展者が、国際的な出席者と出会う機会を提供する。カンファレンス(会議)はキーノートからパネルディスカッションまで、世界中のスピーカーが輸送の未来について話し合う。

 エクスペリエンス(経験)は一般の来場者に対して、ヒトとモノの移動が将来どうなるのか示す。そしてデジタルにより仮想世界を通じてこれまで届かなかった世界中の人々にIAAに出席する機会を提供する。

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すでに市販されている大型BEVトラックの「eアクトロス」もここでデビューした

 新コンセプトのもと、企業や政策決定者がハノーバーに集まることになる。インフラ、テクノロジー業界も含めて、環境の「ニュートラリティ」(環境に与える影響を中立にすること)実現に向けて、商用車にとどまらない輸送の発展に焦点をあてる。

IAAトランスポーテーションのコンセプト

 「IAAトランスポーテーション」のコンセプトとして、商用車の展示のほかに「ロジスティクス」「輸送」「デジタル」「環境のニュートラリティ」が追加された。

 このようにトピックが広がったため、従来のIAAコマーシャルビークルズから名称を変更した形だ。新コンセプトの目標として輸送業界全体を技術的に変革し、環境のニュートラリティを実現することを掲げている。

 IAAトランスポーテーションは、引き続き、商用車、輸送、ロジスティクス業界で最大のトレードショーとなる見込み。なお、乗用車ショーの「IAAモビリティ2021」はコロナ禍にも負けずに開催されている。

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地元のダイムラートラックグルーブは広大な展示場を丸々1館使用する

 コンセプトが広がったいっぽう、出展者やビジターにより良い機会を提供するため、4つの「テーマ・デイ」を設ける。テーマは次の通り。

  • 未来のロジスティクス : サプライチェーン、トラック、鉄道&船舶の一貫輸送、大型車におけるeモビリティと水素技術、ロジスティクスの革新など
  • トレードとロジスティクス : ラストマイル輸送、市内ロジスティクス、バン、カーゴバイク、デリバリーロボット、デジタル化、リテール&eコマースのソリューションなど
  • インフラストラクチャ : 電気や水素のチャージングインフラ、拡大するデータネットワーク、データマネジメント、長距離バス、鉄道のコネクションなど
  • 公共交通のイノベーション : バス、電動化、水素、ライドシェア、MaaS、既存サービスのデジタル化など

体験エリアと章典

 ラストマイル体験エリアでは新たなホールコンセプトを導入する。トレードフェアとしては史上初めて、室内に都市区画を再現した。

 これにより最新のラストマイルソリューションを実際に体験することができる。例えばドローン配送、デリバリーロボット、電動カーゴバイク、IoT機器、データとクラウド技術、SaaSプラットフォームなどだ。

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スカニアのL320プラグインハイブリッド

 また、モビリティ業界の様々な団体がIAAトランスポーテーションに合わせて章典の授与を予定している。「バス・オブ・ザ・イヤー」「コーチ・オブ・ザ・イヤー」は史上初めて行なわれるもの。また、「カーゴバイク・オブ・ザ・イヤー」も予定している。

 いっぽう、「トラック・オブ・ザ・イヤー」「トレーラ・イノベーション・アワード」「バン・オブ・ザ・イヤー」とは交渉中だが、主催者は「楽観している」とする。特にカーゴバイク・オブ・ザ・イヤーがIAAに来たことについては、「ポートフォリオが多層的になったことを示すもの」として歓迎しているそうだ。

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