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ロシアのウクライナ侵略を巡る、橋下徹氏と鈴木宗男参院議員の言動に対する批判が強まっている。

橋下氏は政治的妥結による停戦への持論を振りかざすあまり、在日ウクライナ人有識者や国際政治学者らの専門家とも度々衝突。一方、鈴木氏は、ロシア寄りの発言を繰り返しており、両氏に対するネット上の批判が強まるばかりだ。

維新の悩みの種…鈴木氏と橋下氏(画像は参院ネット中継とアフロ)

松井一郎代表(大阪市長)は橋下氏や鈴木氏の発言の「火消し」に追われツイッターでのフォローを連日余儀なくされている。

9日には親交ある作家の百田尚樹氏に「私は松井さんが好きなので、維新に投票したい気持ちがあります。しかし懸念は維新がいまだ橋下徹氏の影響下にあるのかということです」などと水を向けられ、松井氏は「百田さん、僕個人としては橋下氏は大切な友人です。しかし、維新の会の意思決定に橋下氏は関与しません。彼は民間人であり我々と一体で見られるのは彼も迷惑しています。選挙は政策選択、政策本位で御判断下さい」と打ち返した。

さらに百田氏に「橋下徹氏のウクライナに対する発言に関して、何か一言ありませんか」と畳み掛けられると、松井氏は「党の見解は僕自身が発信している意見が全てです。僕と橋下さんも同様、全ての意見が一致している訳ではありません」と説明しつつ、「意見が違っても大切な友人である事に変わりありません」と苦しい胸中を覗かせた。

一方、13日夕方、鈴木氏が札幌での講演で、ロシアの侵略行為は断じて認められないとしながらも「原因をつくった側にも責任がある」などと述べ、これが「ウクライナにも責任」との見出しで時事通信が報道。配信先のヤフーニュースでは1日で7700を超えるコメントが書き込まれ、ネット民から「全く賛同できない」「市民が犠牲になっているのは、ウクライナ側だけで発言は不適切」など炎上する事態が勃発。

松井氏は同日夜、ツイッターを更新し、「鈴木議員は、永年、北方領土返還に尽力してきた当事者として忸怩たる思いでの発言だが、あくまでもウクライナ国民は被害者であり、プーチン大統領の暴挙は認められないとの認識です。僕が直接電話で発言趣旨は確認しています」とすかさずフォロー。

それでも松井氏に対して、維新支持者と見られるネット民からも「ロシア擁護論は維新のイメージダウンになります。考え方を変えないのならば離党して頂くのもアリ」といった厳しい声も出始めている。

また、3年前、当時所属議員だった丸山穂高氏(昨秋の衆院選不出馬)が北方領土の元島民に対し、領土回復について「戦争しないとどうしようもなくないか」と発言し、即座に除名したケースとの整合性を指摘する人も。「今となれば、丸山さんの酔って言った言葉の方が正しかった気がしますよね」と皮肉られまでしている。

年明けからの失速に拍車?

橋下氏は政界引退後も維新の創業者としてのイメージが強い。現職の所属議員である鈴木氏の言動はなおのこと党への批判に直結、参院選まで3か月余りとなった中で、党の支持率への影響も取り沙汰されている。

維新と長年対峙してきた自民党大阪府連の関係者はサキシルの取材に対し「正直なところ大阪ローカルでの維新の強さは参院選でもさほど変わらないだろう」と冷静に見ながらも、「外交・安全保障に疎いローカル政党の弱点がさらされた。これで全国への党勢拡大には歯止めがかかるのでは」とニンマリだ。

コロナとロシアの板挟みに…(写真:つのだよしお/アフロ)

昨年衆院選で議席を4倍近く増やした時の「破竹の勢い」はここにきて明らかになくなっている。年明けには音喜多駿・政調会長と足立康史・国会議員団政調会長との確執が表面化。そのきっかけとなった、ネットの減税派と足立氏の論争もまた大阪以外の非自民保守中道層に対する心象でマイナスはあってもプラスはなかった。

ウクライナ戦争開戦後の報道各社の政党別支持率調査はまだ出揃っていないが、3月に先陣を切ってTBSニュースなどJNN系列が行った調査では、維新は6.4%と前月比0.9%のダウン。衆院選後の過去4回は、野党トップの座を維持してきたが、今回は立民に5か月ぶりに首位を明け渡した。

さらにNHKが14日夜に発表した世論調査では、維新は4.5%で前月比から微減。ここでも2か月連続で立民の後塵を拝した(立民は5.9%)。自民は30%台後半を堅持し、全国規模では到底及ばない。

丸山氏の戦争発言に続き、またもロシア絡みの因縁。橋下氏、鈴木氏の発言で維新は失速してしまうのか。ネット民の中には「大阪から見て(鈴木氏の地元)北海道は北東にあるなら鬼門」と笑えないジョークを言う人もいるが、ロシア問題が「鬼門」になってるのは確かだ。

政界を見渡せばトリガー条項を巡る対応で国民民主は自公に接近。ここでも勢いを失った感は強い。首長としてコロナ対応にも追われる松井代表や吉村洋文副代表ら党首脳の苦悩は続きそうだ。

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