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ファミリー層以外も注目!! 使える3列シートSUVはどれだ?

 3列目シートを持つSUVは以前からあるジャンルだったが、マツダが2017年に登場させたCX-8で、同時期にマツダがミニバン市場から撤退したこともあり、「ミニバン代わりにも使える」ということを主張し始めて以来、注目が高まっている。

 それ以降、ミドルクラス以上の日本車でも徐々に3列目シートを持つSUVが増え始めている。そういった背景もあり、ここでは3列目シートを持つ日本車SUVの実用性をチェックしてみた。

文/永田恵一
写真/ホンダ、レクサス、マツダ、日産、トヨタ

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■トヨタランドクルーザー300&レクサスLX

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トヨタランドクルーザー300と→
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レクサスLX。ともに各国で人気を博している

 登場したばかりのこの2台はランドクルーザーが510万円から、LXに至っては1250万円からという高額車ながら、特にランドクルーザーの納期は4年という空前の人気車となっている。

 2列目がふたり掛けとなる乗車定員7人の3列シート車は各々の3.5LガソリンV6ツインターボにランドクルーザーにはベーシックグレード以外、LXには2列目がキャプテンシートとなるトップグレードのエクスクルーシブ以外に設定される。

 その実用性はランドクルーザーとLXは本格SUVのためフロアの高さという不利により、体育座りのような着座姿勢になるため、以前からあまり居心地はよくなかった。

 また、現行モデルから3列目は収納が跳ね上げ式から床下収納になったためもあるのか、3人掛けからふたり掛けとなるなど全体的に幅も狭くなっており、「小山のようなボディサイズのわりには狭い」というのが率直なところだ。

 さらに7人乗りのランドクルーザーとLXでイザ出先で3列目シートを使おうとすると、ラゲッジスペースの奥ゆきが大きいこともあり、トノカバーの脱着にひと苦労するのに加え、その置き場にも困るという弱点もある。

 そのためランドクルーザーのガソリン車、ディーゼル車それぞれに2列シートと3列シートが設定されれば、それに越したことはない。が、3列目シートを使うことが滅多にないのであれば、ディーゼル車に3列シート車がないことも大きな弱点でもない。

 むしろランドクルーザーを買うなら実にクルマによく似合ったワイルドなエンジンフィールを持ち、燃費も良好なディーゼル車を選んだほうが、全体的にスッキリする感もある。

■ランドクルーザープラド

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写真の現行型は4月中にオーダーストップされるといわれているプラド。新型も楽しみだ

 ランドクルーザープラドはボディサイズや価格、燃料代を含めた維持費など、全体的に「ギリギリ何とかなる」という点も大きな魅力となっている本格SUVである。

 ランドクルーザープラドには最上級のTZ-Gが乗車定員7人となる3列シートのみ、TZ-G以外のグレードは5人乗り2列シートと7人乗り3列シートが設定される。

 3列目シートの広さはランドクルーザー同様体育座りのような着座姿勢になるものの、室内高があるためか30分程度なら大人でも我慢できる広さが確保されている。ボディサイズなどを考えればランドクルーザーよりも実用的に感じる。

 3列目シートにするために必要な差額は15万8000円と安くないが、年に数回以上3列目シートを使う可能性があるなら、3列シート仕様を選ぶほうがいいだろう。

■レクサスRX450hL

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ランクルやLXもそうだが、このRXも堂々たる体躯を持つSUVだ

 3.5LV6ハイブリッドを搭載するRX450hには、リアオーバーハングを延長しふたり掛けの3列目シートを加えたRX450hLも設定される。

 RX450hLの3列目シートは3列シートSUVのなかでも3列目シートへアクセスしにくいのに加え、横方向こそそれなりの広さがあるが、足元は狭く、頭上も間近にリアウィンドウがあるなど、エマージェンシー的なものとなる。

 といったことに加え、2列シートの標準ボディとの40万円の差額、ボディサイズを考えると使えない3列目シートと言わざるを得ず、「差額ほどの価値は感じない」というのが率直な印象だ。

 そのためRX450hLを選ぶなら「エマージェンシー的な3列目シートと、全長が長い分で広いラゲッジスペースを買った」と考えるほうがいいだろう。

■日産エクストレイル

日本市場では2013年から頑張っているエクストレイル。次期型はアウトランダーPHEVとシャーシを共有するとのことだが、新型アウトランダーの評判がいいため、こちらも期待だ

 すでにモデル末期となっているミドルSUVのエクストレイルには、2Lガソリン車に乗車定員7人となる3列シート車が設定される。

 エクストレイルの3列目シートは着座姿勢が体育座りのようなだけでなく、全方向に狭く、子供用かエマージェンシー的な用途にしか使えない。ただ、価格差が2列シート車との価格差は7万3000円と比較的小さいので、「年に何回か短距離で使えればいい」と割り切った考えをするなら、3列シート仕様を選ぶ意味もある。

■ホンダCR-V

現行型で再び日本市場から撤退し、ひとクラスコンパクトなSUVにバトンタッチすると言われているCR-V

 世界的にはホンダの基幹車種の1台ながら、日本では人気のミドルSUVというジャンルながら存在感が薄れているCR-Vには、1.5Lガソリンターボに乗車定員7人となる3列シート車が設定される。

 CR-Vの3列目シートは室内高の高さのおかげで30分程度なら大人でも座れる広さが確保されており、まずまずの実用性を備える。ただ、2列シート車との差額は20万円ほどと意外に大きく、差額に対する価値は微妙に感じる人も多いかもしれない。

■マツダCX-8

 3列目シートSUVに対する注目を高めた火付け役となったCX-8には全グレードに3列目がふたり掛けで2列目が3人掛けベンチシートとなる乗車定員7人と、2列目がキャプテンシートとなる乗車定員6人という仕様が設定される。

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3列目シートの実用性は日本車SUVではブッチギリのナンバーワンと断言されるほどのCX-8

 CX-8の3列目シートはボディサイズが大きいこともあり、コンパクトミニバンのシエンタやフリード程度、つまり大人でも2時間程度なら移動できる広さを確保している。

 それに加え、3列目シートへの乗降性も2列目がベンチシート、キャプテンシート仕様ともに良好と、文句ない実用性を確保している。そのため、3列目シートの実用性は日本車SUVではブッチギリのナンバーワンと断言できる。

■三菱アウトランダーPHEV

 フルモデルチェンジされたばかりのアウトランダーは、先代モデルまでガソリン車のみ3列シートだったが、現行モデルから日本仕様はプラグインハイブリッド専用車となりながら3列シート車が中心となった。

 だが、アウトランダーの3列目シートは床下に大量の走行用バッテリーを積むプラグインハイブリッドということもあり、2列目シートの乗員の足元スペースを若干我慢してもらう感じ。短時間ならようやく大人が座れる、言うなれば補助席というのが率直な印象だ。

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3列目は補助席といった印象だが、7人乗りグレードを選ぶのが無難だという

 ただ、アウトランダーは500万円超えの価格も納得できる魅力があるクルマなのに加え、販売の中心は最上級グレードで7人乗り3列目シートのみとなるPとなっており、5人乗りと7人乗りが選べるのは上級のGだけである。

 さらに、アウトランダーは3列目シートを収納すればラゲッジスペースの使い勝手への影響もほとんどないということを総合すると、アウトランダーを買う際には7人乗り3列目シートを選ぶのが無難に感じる。

■まとめ

 こうして見ると日本車の3列目シートSUVで、3列目シートがミニバン代わりに使えるのはCX-8だけで、それ以外は長時間の使用には適さないというのが結論だ。

 だが、それでも使用頻度などによっては3列目シートがあるのはありがたいものでもあるので、3列目シートSUVを選ぶ際にはその有無も含め自分の使い方に合ったものを選んでほしい。


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