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 クルマの路上トラブルで避けたいことの一つ「ガス欠」。給油がこまめにできれば避けられることですが、トラックドライバーの中には時間に追われ、必要に迫られてから給油するなんて人も多いかと思います。

 万が一トラックなどのディーゼル車でガス欠を起こした場合、仮にスグに給油できたとしても、エア抜きをしなければエンジンの始動はできません。

 では、どうしてトラックでガス欠をしたらエア抜きが必要になるのか? またこうしたトラブルに備えるためにはどうすればいいのでしょうか?

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部


ディーゼル車のガス欠=エア噛み

 トラックなどのディーゼル車多くは、ストローのように燃料タンクの外に備わっているポンプで軽油を吸い上げて燃料ラインに送っています。

 ストローでジュースを飲むと、最後のほうは吸ってもうまく飲めなくなりますが、これをディーゼル車でやってしまうと、空気が燃料ラインに混ざります。

 これはエア噛みなどと呼ばれ、燃料を吸い上げている燃料供給ポンプに空気が混入すると、圧力がかからずポンプが空回りしている状態となり、燃料が吸い上げられなくなります。

 こうなるとタンクにいくら燃料を注いだところで、ガス欠は解消できずエンジンが始動できません。そこで必要になってくるのが、燃料ラインに溜まった空気を抜く作業、すなわちエア抜きです。

 ちなみにガソリン車においては、現在の車種のほとんどがタンク内に燃料ポンプがありガソリンを直接送り出す構造なため、ガス欠を起こして空気を吸い込んでも燃料を足せば走れなくなることはありません。

軽油を高圧で噴射するディーゼルエンジン車は、圧力を上げられるアウトタンク式燃料ポンプが用いられる

もし燃料不足に陥ったらどうする?

 燃料ランプが点灯直後はまだけっこう走れたりしますが、アナログメーターでいうと燃料計のエンプティの目盛りを切るような残量なったら要注意。

 ディーゼル車のガス欠は、タンクがスッカラカンになっていなくても、空気を吸い込むことで起こります。

 燃料が少ない状態でタンク内の燃料が片寄るような運転をしたことで、空気を吸い込みガス欠となるケースも多くあるのです。

 最近のトラックでは少しくらい空気を吸い込んでもエンジンの始動ができるようになっているそうですが、残りの燃料が少なければ少ないほど、カーブ・坂道・凸凹道などの走行時には慎重に運転する必要があります。

 もちろん、ガス欠寸前であったら安全な場所にクルマを停め、燃料を継ぎ足す方法を講じるのがベストですけれど……。

燃料の減り具合はタンク容量によってまちまち。400Lタンクのトラックから200Lタンクのトラックに乗り換えたなんて場合は早めの給油を!

万が一のガス欠に備えるには?

 想像するだけでも怖い状況ですが、往来のど真ん中で大きなトラックがガス欠し立ち往生したらどうしますか?

 一般道と高速道路ではその対応は異なりますが、一般道では完全停止する前に可能な限り路肩に寄せて停め、ロードサービスなどに救助を求めたり、仲間に牽引してもらって整備工場に移動する……というのが模範解答ではあります。

 とはいえ孤独なドライバーはまずは自力でなんとかしようとする(しなければならない)ケースが多いハズです。

 ただ、エンジンがかからないからといってセルスターターを回し続けるのはNG。潤滑剤としての役割も担っている軽油燃料がない状態で空回しをすると、燃料系(燃料ポンプのシールやインジェクター)などにダメージを与えます。

 空回しでダメージを受けるのはガソリン車でも同じですが、特に燃料を高圧化し噴射しているコモンレール式ディーゼルエンジンの場合はダメージが深刻になると言われています。

 いっぽうMT車では追突事故を誘発しかねない場合の緊急措置として、セカンドなどにギアを入れセルを回し移動する方法があります。

 ギアを入れセルを回すと車体がチョットだけ進むので、これを利用して道路の端にクルマを寄せることはできます(リスクを念頭に自己責任でお願いします!)。

 エア抜きは、メーカー・車種によって違いがあるので、イザというときに備えクルマの取扱説明書などに記載されている手順を読んでおくことも大切(エア抜き方法の記載がない車種もあります)。

 一般的な手順は、キャブをチルトしてからエンジン周辺の燃料供給ポンプや燃料フィルターにある、プライミングポンプ(手動ポンプ)やエア抜きプラグを探さなければなりません。

日野プロフィアをキャブチルトした状態。すぐに燃料ポンプや燃料フィルターがかわかりますか?

 まずエア抜きプラグを緩め、格納されているプライミングポンプのヘッドを左に回して跳ね上げます(格納されいないものもある)。

 次にプライミングポンプを押してプラグから空気を抜きます。プライミングポンプを突いていくと、プラグから出てくるのが空気の混じった燃料から燃料だけになります。

 この状態になったら、プラグを締め、再度プライミングポンプを突いて燃料をエンジンまで送ります。燃料ラインに圧力がかかってプライミングポンプが重くなったら同ポンプをしまって完了です。

日野レンジャーのプライミングポンプ周り

 作業自体は慣れてしまえばそこまでむずかしいモノではありませんが、トラックの陸送(自走)屋さんのように燃料が限られ、日夜ガス欠と戦っているドライバーばかりではないハズです。

 万が一に備え、自車のエア抜きの手順はどうやるのか?  燃料ポンプなどはどこにあるのか?  エア抜きに必要な車載工具は揃っているか?  など、平時に確認しておくことも大切だと思います。

 また、古いトラックでは燃料計が故障していてガス欠にいたるケースもあるようです。特にトラックを頻繁に乗り換える業種では、目視でタンクの燃料残量を確認することも必要かもしれません。

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