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 岡山県岡山市の山本水産輸送が、ボルボの長距離輸送用フラッグシップモデル「FH」の累積導入台数50台に到達。これを記念して、国内販売会社のボルボ・トラックセールス(VTS)、および現地販売店の「ボルボ・トラック中国」を運営するキャリオンが納車イベントを開催した。

 VTSが2021年11月に販売を開始した新型「FH」の2021年モデルは、内外装の一新や、先進装備/快適装備の充実がポイント。独自のステアリング制御技術の改良や、エンジン停止中でも使えるパーキングヒーター&クーラーの標準装備化など見所満載で、約10年ぶりに単車モデルも復活。

 これまで累積50台のFHを導入し、2021年モデルもいち早く導入した山本水産輸送は、来年の累積100台到達を目標に、今後もボルボ車を積極的に導入していく考え。一体どうしてそこまでボルボにこだわるのか? 山本新吾代表取締役に話を聞いた。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部


さらに先進性と快適性が進化したボルボFH

山本水産輸送が導入したFH2021年モデルの国内登録1号車。ドライウイングバントレーラを牽引する

 ボルボ・グループは2020年2月に欧州向けの主力車種「FH」「FH16」「FM」「FMX」の同時モデルチェンジを敢行。日本向けの2021年モデルは、これに沿った内容を持つ。日本向け販売車両は「FH」と「FMX」の2車種。このうちFMXは構内専用車だ。

 V字型LEDヘッドランプを採用して精悍な顔つきとなったFHの新型は、フロント周りの意匠を見直して空力を改善。インパネや操作系も含めて内装も一新し、先進装備/快適装備も改良。さらに約10年ぶりに単車系の設定も復活させるなど車型展開も意欲的に行なっている。

 先進装備の中で注目されるのは、ステアリング操作の省力化と操縦安定性の向上をもたらすボルボ独自の電子制御機構「ボルボ・ダイナミック・ステアリング(VDS)」にパーソナルセッティング機能が追加されたことだ。

 FHに2013年から導入されているVDSは、油圧式パワーステアリングギアボックスへの入力を1秒間に2000回の頻度で感知。各種センサー情報とともに車両状況を類推し、必要に応じてステアリングギアボックス入力部に装着された電動モーターでステアリングの動きを制御するもの。

 主な機能は、車庫入れなどを行なう低車速時にはモーターの助力によってステアリング操舵力を軽減する機能、路面不整によるハンドルへのキックバックを補正する機能など。その効果は、停車中の据え切りが片手で楽に行なえるレベルのものだ。

 2021年モデルで新たに追加されたパーソナルセッティング機能は、ステアリングのふらつきにくさ、セルフセンタリングの早さなどを個別に設定できるもの。このほか、車間距離保持機能付きのクルーズコントロールも全車速対応となっている。

 また、快適装備としては、エンジン停止中でも使うことができるベバスト社製パーキングヒーター、およびボルボ自社製ビルトイン式パーキングクーラー「iパーククール」を新たに標準装備。広々した室内空間も合わせて、極上の快適性を実現する。

人材登用の原動力となるボルボ・トラック

納車イベントでの各社代表者。左からVTSの関原紀男バイスプレジデント、山本水産輸送の山本新吾代表取締役、キャリオンの應本一樹代表取締役社長

 山本水産輸送は平成9年(1997年)創業。会社名の通り当初は鮮魚や水産加工品の輸送を主体としていたが、現在は肉加工品、乳製品、スイーツなどの食品輸送がメイン。このほか、パレット貨物やカゴ台車による宅配貨物輸送も行なっている。

 トラックの保有台数はグループ全体で350〜400台。このうち50台がセミトラクタで、そのうちの35〜40台がボルボ車という編成。2021年モデルの納車状況は、取材段階でセミトラクタ7台が納車済、セミトラクタ3台が登録中、単車10台が発注済という。

 同社がボルボ車を積極導入し始めたのは数年前からで、輸送効率を高めるためセミトレーラ連結車の積極導入を始めたのとほぼ同時。ボルボ車の導入理由は、VTS、キャリオンとともにボルボ本社工場を見学し、安全性への強いこだわりに感心したのがきっかけ。

 実際に導入してみると、「ボルボに乗ってみたい」というドライバーが岡山県内はもとより県外からも募集してくるようになったり、一度入社した社員が辞めないなど、ドライバー不足が言われる中で人材登用の原動力になっているという。

 代替え期間は3年で、早いサイクルで代替えを行なうことで「輸入車は故障する」というネガティブイメージを払拭。実際に3年の期間で故障はほとんどないそうで、輸送効率アップを実現しているほか、常に新車に乗れることからドライバーのモチベーションアップにも繋がっているという。

 なお、3年という期間は、純正メンテナンスパック「ボルボ・オプティマイズド・サービス・プラン」に付加可能な日本独自の車両保証延長サービス「ボルボ・ブルー・プレミア」の保証期間に合わせたもので、実際に車両を整備するキャリオンのおすすめプランでもある。

 ちなみに、ボルボ・トラックのサービス拠点は全国169カ所に存在。このうち137カ所はUDトラックスのディーラーだが、ボルボ車に精通した整備士が2名以上在籍していないとボルボ・トラックのサービスができないなどルールは厳格。

 山本水産輸送は、岡山エリアの車両をキャリオン、四国エリアの車両を現地のUDトラックスディーラーで整備しているそう。また、キャリオンではドライバー、整備士、運行管理者を対象に月1回のミーティングを実施。密なコミュニケーションが故障リスク低減に繋がっているという。

 さて、2021年モデルは約10年ぶりに単車モデルが復活。単車がメインの山本水産輸送では、さっそく10台をオーダーしており、今年度中を目処に順次納車予定というから注目だ。使ってみて良ければ、さらなる追加発注も検討したいとしており、山本社長は「保有台数日本一を目指したい」と意気込む。今後の動向に注目だ。

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