フォルクスワーゲングループは今週、モータースポーツの将来について重要な決定を下す予定であるとみられている。以前から報道されているように、彼らは、新しいエンジンレギュレーションが導入される2026年にF1に参入することを検討している。最も可能性が高いシナリオは、アウディがマクラーレンと何らかの形での提携を結び、ポルシェがレッドブルのエンジンパートナーになることだ。
マクラーレン・レーシングのチーフエグゼクティブ、ザク・ブラウンは、アウディとの交渉について、「会話をしている」と最近認めた。マクラーレンの取締役会を見ても、アウディとの将来の提携を示す兆候がある。2カ月前にマクラーレンは、ミハエル・マッハとシュテファン・ヤコビーを新たに役員として任命した。
ふたりともドイツ出身で、過去に長期間にわたりフォルクスワーゲンで働いた経験を持つ人物だ。偶然にすぎない可能性もあるが、マクラーレンが将来アウディとパートナーシップを結ぶ準備をしているという見方もできる。
興味深いのは、そのパートナーシップがどのような形を取るかということだ。アウディがマクラーレングループ全体(ロードカー部門を含む)を買収する可能性から、F1でのエンジン契約のみの可能性まで、さまざまな選択肢が考えられる。
アウディにとって、F1は新たな冒険となる。前身のアウトウニオンは1930年代にグランプリレースで好成績を収めたが、F1世界選手権に参加したことは一度もない。一方で、アウディはラリーやスポーツカーレースで成功を上げており、ル・マン24時間レースでは2000年以降13回の優勝を飾っている。
フォルクスワーゲングループのポルシェに関しては、レッドブルとエンジン契約を結ぶのではないかとうわさされている。レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、数日前に「彼らが我々と組むことに興味を持つのは理にかなっている」と発言した。
ホンダは2021年シーズンでF1プログラムを正式に終了、これを受けて、レッドブルは2026年から自社エンジンを製造するための準備を進めている。ミルトン・キーンズにパワートレイン部門が新設されたが、これがポルシェとのパートナーシップで使用される可能性がある。
ポルシェは何度かF1活動を行った経験がある。1961年から1963年にかけて自社F1チームを運営し、1961年のコンストラクターズ世界選手権で3位を獲得、1962年のフランスGPではダン・ガーニーがポルシェにとって唯一のグランプリ勝利を上げた。
1980年代初頭には、TAGブランドのエンジンをマクラーレンに供給。1983年から1987年の間に25回のグランプリ優勝と、2回のコンストラクターズタイトル獲得(1984年、1985年)を果たした。
ポルシェのF1への最後の進出は1991年。この時はフットワークチームのために開発したエンジンが大失敗に終わり、シーズン途中でプログラムは中止された。
過去に、フォルクスワーゲン自体の名前がF1に登場したこともある。アメリカのプライベーター、ピート・ラブリーのロータス・フォードは、1969年から1971年にかけて「ピート・ラブリー・フォルクスワーゲン」の名で数戦にエントリーしている。事情を説明すると、ラブリーは、1954年からワシントン州ファイフでフォルクスワーゲンのディーラーを経営していた。エントリーする際に、エントラントとして自分の会社を登録したわけだ。