2022年F1第2戦サウジアラビアGPでは、週末を通してトラブルに悩まされた角田裕毅がスタート前にマシンを降りることになった。一方レースでは、キャリア初のポールポジションを獲得したセルジオ・ペレスが2番手シャルル・ルクレールの逆転を阻止しようとピットストップを行った直後にセーフティカーが導入され、ポジションを落とす展開に。サウジアラビアGP前半を無線とともに振り返る。
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予選でトラブルに見舞われ、最後尾スタートとなった角田裕毅(アルファタウリ)。しかしグリッドに向かう周回で、再び止まってしまう。
角田:エンジンがなくなった
マッティア・スピニ:終わりだ。すべて止めていい
開幕戦8位入賞と幸先の良い2年目のスタートを切ったが、2戦目は予選、レースで1周も走れない悔しい結果に終わった。
レース序盤はポールシッターのセルジオ・ペレス(レッドブル)が首位をキープし、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が追う展開となった。
(6周目)フェルスタッペン:ルクレールのリヤライトが点いてない!
ジャンピエロ・ランビアーゼ:機能してないということか?
フェルスタッペン:そうだよ!
普通ならデプロイが切れた際に点滅するはずが、していないようだ。後続車はこれで先行車の減速の可能性を察知するわけで、点灯しないと最悪の場合追突の恐れもある。
ルクレールの担当エンジニア、マルコス・パドロスが細かく指示を送る。
(4周目)マルコス・パドロス:ここからDRSが使える。ターン6、7、10、それから22でもタイヤをいたわるんだ。フェルスタッペンは1秒5後ろ、ペレスは1秒8前だ
(10周目)ルクレール:高速コーナーの時は、ちょっと黙っててくれ
パドロスはそれ以外にも、「タイヤはいい感じだ」と、数周おきにルクレールに伝えていた。ジェッダの高速区間は一瞬のミスも許されないだけに、さすがにウザく感じたのかもしれない。パドロスは、かまわず指示を送り続ける。
(10周目)パドロス:プランAで行く。レッドブルよりデグラデーションがいい
プランAは1回ストップでミディアムタイヤからハードタイヤに交換ということだろう。
それに対してペレスの担当エンジニア、ヒュー・バードは、「プランB」を提案した。
バード(→ペレス):いいペースだ。我々はプランBだ
この場合のプランBとは、結果的になんだったのか。フェラーリに聞かれることを前提に、ブラフを仕掛けた可能性もあった。
その頃、中団グループでは、6、7番手のアルピーヌのフェルナンド・アロンソとエステバン・オコンが激烈なチームメイトバトルを繰り広げていた。
カレル・ルース:エステバンはコンマ7秒後ろだ。タイヤはどうだ?
アロンソ:本当なら、もっと行けるんだけどね
オコンがプッシュして来なければ、もっとタイヤをセーブできると言いたいのだろう。ただしアロンソの口調には、オコンを非難する感じはない。
(12周目)アロンソ:ちょっとオーバーステアになってきたが、大丈夫だ。
しかしオコンのプッシュはさらに過激になり、アロンソもさすがに音を上げ始めた。
アロンソ:このまま行くのは、ちょっとクレイジーだよ
ルース:了解した
直後にオコンに対し、「ポジションキープ」の指示が飛び、オコンはまもなくバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)に抜かれていった。
14周目、ルクレールからこんな提案が出た。
ルクレール:ピットインして抜くのはどうだ
パドロス:了解した
ペレスより先にピットインして、アンダーカットしようというのだ。そして15周目、パドロスから指示が出た。
(15周目)パドロス:ピットインして、オーバーテイクだ
しかしすぐに、「ステイアウト」が指示された。ペレスがフェラーリの無線を聞いて、先にピットに飛び込んだのだ。
ところが直後にニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)がクラッシュ。バーチャルセーフティカー(VSC)、そしてセーフティカー(SC)が導入され、ルクレール、フェルスタッペン、カルロス・サインツ(フェラーリ)らが次々にピットイン。ペレスにとっては最悪のタイミングとなってしまった。それでもコースインしてきたサインツを辛くも抑えて、何とか3番手にとどまった。しかし抜かれたサインツから文句が出た。
サインツ:押し出してきた。FIAがジャッジすべきだ。僕がSCラインの前だったんだから
映像を見直すと、確かに1mほどサインツが先行している。それにしてもバトルしながら、よく見ていたものだ。ペレスはレース再開直後に順位を譲り、4番手に後退。初ポールからの勝利の目論見は、泡と消えてしまった。
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(2)に続く