ロシア外務省マリア・ザハロワ報道官が3日の記者会見で、日本側が北方領土の主権を主張することについて「永久に忘れることを勧めたい」などと発言したことが報じられ、日本のネット民が激怒。一部では、かつて北方領土の回復について「戦争しないとどうしようもなくないか」と発言し、議員辞職勧告決議まで受けた前衆院議員の丸山穂高氏について「言ったことは正しかった」との見方を示す人が相次いでいる。
ザハロワ報道官の問題の発言は、意外にも全国メディアで報じられておらず、北方領土の地元テレビ局、UHB北海道文化放送(フジテレビ系)が4日夕方に報道。その記事がヤフーニュースに配信される形で全国のネット民に知れ渡る形となった。記事によれば、日本外務省の宇山秀樹欧州局長が2月28日の国会で「ロシアが北方領土を占領した」との見解を示したことに対し、ザハロワ氏は
「日本の外交官の発言に秘められた”報復主義”を指摘したい。我々は(宇山局長の発言は)日本の政界で特定の勢力がロシアに領土を引き渡すよう求めていることを念頭に置いている証拠とみなしている。このやり方は永久に忘れることを勧めたい」
などと述べたという。
ヤフーニュースのコメント欄(ヤフコメ)は1日で3300を超える意見が書き込まれ、ツイッターでもインフルエンサーらが反応した。そうした中で少ない数のネット民が思い起こしたのが「丸山発言」だ。2019年5月、北方四島のビザなし交流に、当時衆院議員として参加した丸山氏は、元島民の男性に対し、「戦争でこの島を取り返すことに賛成か」「戦争しないとどうしようもなくないか」などと発言したとされる。
丸山氏が当時所属していた日本維新の会は除名処分とし、幹部がロシア大使館にお詫び行脚。この党の対応のあり方にも批判が出たが、結局、衆院では本人が欠席する中での“全会一致”で議員辞職勧告決議を可決。丸山氏は辞職を拒否して、NHKから国民を守る党(現NHK受信料を支払わない国民を守る党)に入党し、昨年秋の衆院解散まで議員を続けた。
その丸山氏本人は5日未明、ツイッターで今回のニュースに言及。「ロシアと親子特別交流を続けてきた議員や、返還夢物語を語ってきた政治家も多い中、状況知らされず騙され続けた国民も多いかと」と指摘。「『ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている』とかねぇ 汗」(原文ママ)と、首相時代の安倍晋三氏がプーチン大統領にかけた言葉を当て擦りつつ、「まぁ言いたいことは色々あるが、日本にとっても領土や防衛を今一度冷静に考える機会」との考えを示していた。
ロシアと親子特別交流を続けてきた議員や、返還夢物語を語ってきた政治家も多い中、状況知らされず騙され続けた国民も多いかと。「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」とかねぇ 汗 まぁ言いたいことは色々あるが、日本にとっても領土や防衛を今一度冷静に考える機会。https://t.co/4thSYoGzJR
— 丸山 穂高 (@maruyamahodaka) March 4, 2022
なお、日本政府は「憲法によって、国際紛争を解決する手段として戦争や武力の行使に訴えることは認められていません」との立場から、「領土問題解決に向けた首脳間始め様々なレベルでの粘り強い外交交渉」で対応することを基本方針としている(参照:内閣官房 領土主権対策企画調整室)。