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 昨今の日本は、クルマを含め物価上昇しているにも関わらず、収入はなかなか増えない、という背景がある。

 それにより、東南アジア向けで比較的コンパクトながら充分使える3列目シートを持ち、それでいて安価なホンダBR-V、三菱エキスパンダー、スズキエルティガといったクロスオーバー寄りミニバンの日本導入を望む声が、ここ数年自動車メディアを中心に高まっている。

 この種類のクルマは、ダイハツも、インドネシアで生産されるセニアというモデルを持っている。ここでは2021年11月、3代目モデルにフルモデルチェンジされたセニアを紹介していく。

文/永田恵一、写真/DAIHATSU

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セニアは日本でも販売されていた!

2004年の発売以来、コンパクトなボディサイズながら大人7人が快適に乗車できるパッケージングで人気を集めたセニア。写真は2代目モデル

 2004年、初代モデルが登場したセニアは、まさに比較的コンパクトなクロスオーバー寄りのミニバンで、現行型3代目モデルを含め、トヨタでもアバンサの車名で販売されている。

 セニア&アバンサは2011年登場の2代目モデルまで、FR構造でモノコックボディに梯子型フレームを組み合わせたプラットホームを採用していた。日本で、2006年から2016年まで販売された、現在のスズキクロスビーに近いコンパクトSUVのダイハツビーゴ&トヨタラッシュにも使われていた。

 なお、初代と2代目セニアはインドネシアで販売されたダイハツ車としては最多となる合計約68万台を販売している。

新型セニアってどんなクルマ?

10年ぶりにフルモデルチェンジした7人乗りコンパクトMPV「セニア」。価格は日本円で約153万円~約194万円

 新型セニアは、基本構造に日本のダイハツ ロッキー&トヨタ ライズのものをストレッチ(延長)したと思われる、ダイハツ新世代のDNGAコンセプトで開発されたプラットホームを採用。本格SUVに近いFR構造だった先代セニアとはまったく別のクルマとなった。

 ボディサイズは全長4395×全幅1730×全高1700mm、ホイールベース2750mmと日本でも使いやすい大きさで、エクステリアは全体的にスポーティな印象だ。

 なお、アバンサの方はカローラクロスの日本仕様のようなグリルが付くなど、セニア以上の高い車格感を持つ。さらにアバンサにはカローラクロスの海外仕様のような押し出しの強いグリルで、グレードによってはインテリアに白と青のパネルを使うなど、若干ゴージャスな雰囲気を感じる上級車となるヴェロッツも設定される。

 インテリアはロッキー&ライズを手直しした印象で、1列目と2列目、2列目と3列目のフルフラット機能といった豊富なシートアレンジに加え、3列目シートも短時間なら充分使える広さを確保しているようだ。そのため3列目シートを使わないときにはステーションワゴン的に広いラゲッジスペースを備えるクロスオーバーという使い方にも対応してくれるだろう。

 機能面は前述したようにコンパクトカー用DNGAプラットホームに、エンジンはトヨタの直4の1.3L(98馬力&12.4kgm)と1.5L(106馬力&14.0kgm)を搭載し、トランスミッションはそれぞれにレシオカバッジといわれる変速幅の広いダイハツのD-CVTと5速MTが組み合わされる。駆動方式はFFのみで、予防安全パッケージのスマートアシスト(自動ブレーキ機能はないもよう)は設定されるが、全体的に目新しいところはない。

 そして新型セニアのインドネシアでの価格は1億9090万ルピア(約153万円)から2億2470万ルピア(約194万円)と、3列シート7人乗りで普段は広いラゲッジスペースを持つクロスオーバーという使い出を考えたら非常にリーズナブルである。

新型セニアの日本導入の可能性は?

 このジャンルは冒頭に書いたようになかなか日本に導入されないが、ダイハツ&トヨタはインドネシア製の小型トラックと1BOXバンのグランマックスとタウンエースを自動ブレーキ付で日本に導入しているのもあり、セニアの日本導入は充分考えられる。

 もしセニアの日本導入があるなら自動ブレーキ&運転支援システムの搭載に加え、できればエンジンも1.5L NA並みの動力性能を持つ、評判のいい現在ロッキー&ライズの4WDが使う1L 3気筒ターボに替え、4WDも設定してほしい。この内容で価格は上級グレードでロッキー&ライズ+20万円となるFF/235万円、4WD/250万円程度で、トヨタでもアバンサを売れば、それなりの人気車となるのではないだろうか。

 いずれにしても、このジャンルの日本導入は他社が進んでおらず、早い者勝ちなところもあるだけにセニア&アバンサの日本導入はやってみる価値のあるチャレンジだと思う。

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