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 大阪府寝屋川市の総合物流企業、マルニコーポレーションが導入した「大型精密機械運搬車」は、その名の通り重量物や精密機械などの特殊機械を運ぶためのトラック。栃木県足利市の架装メーカー、本所自動車工業が製作を担当した。

 両社の付き合いは長く、今回の車両は以前製作した車両の「使い勝手が良くなかったところ」を改良したもの。ドイツ製のアオリや脱着式の収納ボックスなど、フルオーダーメイドのトラックらしい徹底的な作り込みが光る同車両の特徴とは?

 車両の納入先であるマルニコーポレーションの東京営業所(東京都大田区)を取材した。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2019年12月10日発売「フルロード」第35号より


重量物運搬車とは?

マルニコーポレーションが導入した大型精密機械運搬車。フルオーダーメイドのトラックボディづくりで知られる本所自動車工業がボディ架装を行なった

 マルニコーポレーションは大阪府寝屋川市に本社を構える総合物流企業で、重量物や精密機械など特殊機械の運搬/搬入/据え付けをメインに、倉庫事業、運送事業などを国内外で幅広く展開。同社東京営業所では、関東を中心とする日本全国と一部海外で特殊機械の一貫輸送を行なっている。

 今回紹介する車両は、重量物や精密機械など特殊機械の運搬を行なう重量物運搬車の一種で、キャブバックに特殊機械の積み降ろしに用いる大型クレーンを搭載。背の高い積み荷を運ぶことも多いことから、通常の平ボディに比べ床面地上高も低く設計されている。

 同車両を製作した本所自動車工業は、創業100年近い歴史を持つ架装メーカー。フルオーダーメイドの平ボディをはじめ、航空貨物運搬車、重機運搬車など各種トラックボディの製作を得意としており、日本全国にリピートユーザーが存在する。

 今回のオーダーは、以前本所自動車工業で製作した車両の「使い勝手が良くなかったところ」の改良がテーマ。担当者同士で何度も打ち合わせを行ない、使い勝手はもちろん、強度、床面地上高、安全性をトータルでレベルアップさせているという。

ベース車両は日野プロフィアFW系

日野プロフィアFW系をベースとする大型精密機械運搬車。低床化をもたらす根太構造や、幅広い積み荷に対応する荷台寸法などこだわり満載だ

 ベース車両は日野プロフィアFW系4軸低床リアエアサスシャシー(8×4駆動)。背の高い積載物に対応するため、シャシーと荷台をつなぐ根太構造(サブフレーム)は横根太を縦根太に貫通させて低床化。横根太はC型チャンネル材とし、300mmのピッチで並べて堅牢性を高めている。

 荷台は9方開の平ボディで、幅広い積載物に対応するため側面に薄型アオリを採用。荷台スペックは全長8650×全幅2410mmを確保する。いっぽう、床板は定番のアピトン材を採用。上述の低床化により、床面地上高は約1030mmを実現する。

 なお、側面のアオリはドイツのティトゲマイヤー社製丁番を採用。脱着機構を備えているのが特徴で、アオリを使わない時はワンタッチで取り外し可能。取り外したアオリは、荷台前方に並べて収納することも可能だ。

 このほか、床にはオールセーフ社製「エアラインレール」を装備。同製品は、固縛用フックを任意の場所に装着できるもので、さまざまな形状の積載物に合わせてフックのレイアウトを素早く変更可能。作業スピードアップをもたらす。

全身に仕事道具を満載した超特殊平ボディ

キャブバッククレーンを取り囲むように配置さえる鳥居は前後分割式。豊富な収納スペースが自慢だ

 重量物運搬車の象徴というべきキャブバックのクレーンはタダノ製で、最大吊り上げ荷重4.9tの重量物用。使用時に展開するリアアウトリガーは、あえて格納時の向きが通常と逆方向になるよう搭載される。これにより格納時に間違えてアウトリガー展開ボタンを押しても、後ろの工具箱にぶつかることはない。

 キャブバッククレーンを取り囲むように配置される鳥居は前後分割式で、前側(キャブバック側)はショルダー部に大型収納ボックスを搭載。中には積載物を固縛する際に、ロープなどで傷が付くのを防ぐための毛布などを収納するという。

 いっぽう、後ろ側(荷台側)の鳥居は珍しい脱着式で、不使用時はクレーンで持ち上げて降ろすことも可能。背面と両側面に複数の収納スペースを備え、側面の収納スペースは大切な仕事道具を錆から守るこだわりの設計となっている。

 このほか右側ホイールベース間に、錆防止のため二重底を採用する本所自動車工業オリジナルの収納ボックスを搭載。左右リアオーバーハング部にも小型の収納ボックスを搭載。細部まで徹底的な作り込みとなっている。

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