太陽光発電に多くの人はどのようなイメージを抱いているだろうか。個人宅に設置している場合は、とくに意識されないのではないか。ただ問題は大規模発電所(メガソーラー)だ。景観の破壊や土砂災害を巻き起こす迷惑設備として認識しているかもしれない。また太陽電池(PV)パネル上に降り積もる雪を見て自然変動電源は「これだから使い物にならない」と、あきれているかもしれない。
SNSでもネガティブな意見が数多く見受けられる。台風で故障した発電所の写真をアップしたり、建設による森林伐採を嘆いたりする声も少なくない。そして完全なリサイクルの技術と仕組みが確立されていないとあって最近、PVパネルの破棄問題も指摘され始めている。
しかしカーボンニュートラルの実現に、太陽光発電はなくてはならない存在だ。導入までリードタイムが短い太陽光発電は、温室効果ガスの削減に向けて誰もが手を出しやすい。世界的にSDGs(持続可能な開発目標)の達成が叫ばれるなか、企業も積極的に活用しない手はない。
ではネガティブなイメージの払しょくは可能か-。太陽光発電協会(JPEA)が今月行った京都大学との共催シンポジウムで、明確に「イエス」と回答している。
例えば土砂災害などの原因となり得る迷惑設備や「メガソーラーに適した設置場所がもうない」といった意見に対し「必ずしも専用の土地を必要としない」と説明する。具体策として水上や農地に導入するソーラーシェアリングなどを挙げ「場所に合わせた設置形態」をアピールする。
そして「コストが高い」とか「ビジネスとしては儲からない」といったネガティブイメージについても、JPEAは「『コスト競争力が高くビジネスとしても魅力的』に変える」と強調する。その土台となるのが燃料価格に依存しない点にあるという。卸売電力のスポット価格は21年10月以降、10円/キロワット時を大きく上回る日が続いている。この傾向が続けば小売価格の上昇につながりかねない。一方、輸入燃料に依存しない太陽光発電のコスト競争力は高まると予想されており「輸入燃料の高騰や供給途絶に対して国民にとってはリスクヘッジとなる」と分析する。
確かに、人々にマイナスのイメージを持たれるようなメガソーラー開発が行われていたことも事実としてある。ネガティブな考えをポジティブな見方に変えるためにも、業界の自浄作用とともに地道な啓もう活動が必要不可欠だ。そして循環型社会の実現のためにも、早期のリサイクル技術の確立を期待したい。
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