2022年も富士スピードウェイで開催されたエコカーカップに、声優レーシングチームVART(ヴォイスアクターズレーシングチーム)とベストカーWebがタッグを組んで出場!
今回はマシンがトヨタヤリスとVART所有のトヨタ86&スープラの3台体制で参戦した。
後編ではVART86とスープラの模様をお届けする。数々の人気アニメで活躍する音響監督の三間雅文さんや、大人気声優の三木眞一郎さん、石川界人さん、畠中祐さんがドライバーとして参加した!
文/武井寛史、写真/中島仁菜、協力/VART、BLITZ
■今年もVART&ベストカーウェブのコラボで出場
エコカーカップ2022参戦レポート第二弾は声優レーシングチーム・VARTの奮闘をお伝えしよう。第一弾のレポートでも少し触れたが、VARTは昨年、ベストカーウェブとコラボするかたちでエコカーカップに参加。今回が2度目のチャレンジになる。
ドライバーの布陣は、アニメ制作では重要な役割を担う音響監督の三間雅文、声優の三木眞一郎、石川界人、畠中祐の4名がマニュアル車のVART86をドライブする。
石川はエコカーカップ初参加で、富士スピードウェイをドライブするのも初めて。前年、レースに出場している三間や三木、畠中からアドバイスをもらう形でエコカーカップにチャレンジする。VART副主将・浪川大輔はスケジュールの調整が付かず残念ながら今回は欠席となった。
昨年はトヨタさんの協力のもとカローラツーリングHVでエントリーしたのだが、今回はサーキット走行用にカスタムされたVART86とBlack VARTスープラの2台で参戦。
マシンの製作はチューニングメーカーのBLITZが担当していて、公道も走行可能なナンバー付。
サーキットと一般道の両使いという難しい注文にも関わらず、見事に応えてれくれたBLITZのノウハウが詰まったマシンだ。エコカーカップは、ハイブリット車でなくてもこうした車両でもエントリーできるというのも面白さでもある。
■消費燃費を競うエコカーカップの面白さ
レースレポートに入る前にエコカーカップのことを少し触れておこう。このレースは、HV車を始め低燃費車を中心に速さじゃなく消費燃費を競う。自動車運転免許証を持っていれば誰でも参加OK。
レース中は必ず助手席にパッセンジャーが乗車するルールが設けられていて、2名以上8名以下のドライバーでつなぐ耐久方式で60分と180分の2カテゴリーが1日で開催される。両カテゴリーの参加も可能で我々のチームはダブルエントリーで出走させてもらった。
サーキットを走行するには、それなりの装備が必要だけど、ヘルメットとグローブさえ用意すれば普段着(長袖、長ズボン)でも走れる。
ここまで参加できるハードルが低い理由は、レースを主催するのが富士スピードウェイだから。しかもスーパーGTやスーパーフォーミュラなどのガチの公式レースをサポートするオフィシャルが大会を支えてくれるから安全性はバッチリだ。
通常のレースはチェッカーを受けた順番で順位が確定するけど、このレースは消費燃費レース。トップでチェッカーを受けても燃費が悪かったら順位は後退するルールだ。
さらにエコカーカップが面白いのは1周する走行時間が定められているところ。この制限タイムを0.1秒でも速く走るとペナルティが加算され最終結果で減点される。
ちなみに富士スピードウェイは1周4,563m。クローズドコースで世界一長い1.5kmのストレートがあり、軽く流して走っても3分くらいでは走れちゃうだけに自制心が求められるレースというわけ。
■完璧なペース配分チャートで挑むVART!
昨年、苦汁をなめたVARTは今年、戦略を練って挑んだ。富士スピードウェイを9カ所にポイント分けして通過タイムを緻密に計算。180分レースと60分レースのペース配分のチャート表を製作した。助手席のナビゲーターが指示を出し、ドライバーがそれを遂行すれば完璧だ!
前日、降った雪の影響もあり抽選で予選の順位を決めた。VART86は43番手、22列目というかなり後方からのスタート。180分レースの出走台数は50台なので、ここから上位を狙うのは中々難しい。
スタートドライバーは三間。VARTではチーム全体を統括する監督で最も速いのがこの男。パッセンジャーシートにはエコカーカップ初参加の石川界人が乗る。これは富士スピードウェイに馴れていない石川がコースを把握するには好都合。
午前11時、オンタイムで180分レースがスタート。三間&石川コンビは混乱の中、上手くすり抜け少しずつ順位を上げ30分後にピットイン。
今度は助手席に乗っていた石川がドライバーになりパッセンジャーには畠中祐が収まる。ここから30分は20代の若手コンビが上位を狙う。ピットではBLITZのスタッフがモニターを見ながら走りを見守り無線で指示を送る。
1時間を経過した頃、石川がドライブする86がピットイン。畠中がドライバーズシートに移り、三木がパッセンジャーを担当する。自動車免許を取得して2年弱の畠中のドライブで快調に走るVART86。MT車の86だが、時間を作ってたくさん練習した畠中は今では頼もしい存在だ。
レースも丁度、半分を過ぎたところ畠中から三木にドライバーチェンジ。助手席には三間が乗る。アニメ「頭文字D」で長年、切磋琢磨してきた仲だけにあって息はピッタリ。
抜きつ抜かれつでレースは大きなトラブルもなく最終スティントに突入。石川界人がドライバーで助手席には畠中祐が乗る。そして180分に及ぶレースが終了。39位でチェッカーを受けた。この後、超過通過ペナルティや消費燃費など、総合的なポイントで正式結果が出る。
■ダブルエントリーはスピード感のリセットがカギ
180分レースが終了してホッと一息つく間もなく60分レースがスタートする。VART86のスタートポジションは何と3番手! 優勝も狙える位置だ。ドライバーは三木眞一郎が担当。パッセンジャーは畠中祐が乗る。
60分レースの制限タイムは4分45秒と180分レースよりも1分30秒も遅くなっている。そのため3分15秒で走るスピードで慣れている感覚をいかに素早くリセットするかが課題。
三木はスタートを無難に熟しレースが始まった。60分くらいならピットインしなくても走れるじゃん! と思うよね?
しかし、エコカーカップのレギュレーションで180分レースは5回、60分レースは2回のピットインが義務付けられているのでそれはできない。20分ごとにピットインしてドライバーとパッセンジャーの交代を行う。
予定通りにピットインを熟し60分レースは17位でゴール! 順位が落ちてしまった理由はピットインのドライバー交代。
ノーマルシートなら素早く乗り換え3点式シートベルトを締めてスタートできるけど、VART86はロールケージやバケットシート、4点式シートベルトが備わっているためドライバー交代に時間がかかり、大きく順位を落とす結果になった。とはいえ大きなトラブルもなくレースが終了し最終結果を待つことになる。
さて正式結果は、60分レースは36位。180分レースは50位と沈んでしまった。その原因は超過通過ペナルティ。ほかのチームは多くて1~2回なのに我らがVART86は飛びぬけて多い。エコカーと比較すると消費燃費が悪いのは仕方ないが、ペナルティはいただけない。
これはドライビングコーチのオレ(プリウス武井)の責任が大きい。自責の念でいっぱいである。机上では完ぺきな作戦だと思っていたが、富士スピードウェイを走り慣れていないと一定のスピードで走らせるのは難しいという課題が残った。
今後、VARTメンバーの多忙なスケジュールを調整してもらって富士スピードウェイに練習走行に通う必要性を痛感した。
ここまでVART86のレポートをお届けしてきたが、気になるのはBlack VARTスープラの存在。いったい誰が乗っていたのか!?
ここで明らかになっているのは、Black VARTメンバーの関智一、神谷浩史、小野大輔が参加していないという事実。その答えは今年11月上旬に明らかになるかも……。VARTの今後の活動を含め乞うご期待!
協力/VART(https://vartproject.com/)、BLITZ(https://www.blitz.co.jp/)
【画像ギャラリー】VART&ベストカーWebが富士エコカーカップ2022参戦【後編】 富士スピードウェイにVART見参!!(18枚)画像ギャラリー投稿 今年もタッグ結成!! 声優レーシングチームVART&ベストカーWebが富士エコカーカップ2022参戦!!【後編】 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。