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隆助初陣 十一 隆助が安芸(あき)で抜き差しならぬ危機に陥ったその日、隆兼(たかかね)の許(もと)をさる商人がおとずれている。小柄で人の良さが額の広い顔からにじみ出た男であった。岩国に商用できたというこの安芸商人を、隆兼は東西条(とうさいじょう)代官をつとめていた頃から知っている。濡れ縁に…