2016年からPSAグループに統合買収され、現在は「ステランティス」グループの一員となっているオペルは、2021年7月に6代目となる新型アストラを発表した。
日本市場への再上陸が公式に発表されている話題のオペルだが、新型アストラの導入は今のところ未定。しかしながら、新生オペルの中核モデルであるアストラの実力はとても気になるところだ。
新型ではプラグインハイブリッド(PHEV)車も設定され、より一層大きな注目を集めているアストラの実力はどれほどのものなのか? 今年に入ってポルトガルのリスボンで開催された国際試乗会に参加したモータージャーナリストの木村好宏氏が、新型アストラの走りを徹底チェックした。
※本稿は2022年2月のものです
文/木村好宏、写真/OPEL
初出:『ベストカー』2022年4月10日号
■親会社ステランティスグループ開発のプラットフォーム
昨年のドイツにおけるアストラの販売台数は3万台を超え、コンパクトセグメントではVWゴルフに次ぐ2位の座を確保した。実はこのポジションが問題で、アストラはゴルフの後塵を拝しての万年2番手であり、この状況から抜け出せないでいる。
そのアストラは7年振りにフルモデルチェンジを受け、親会社のステランティスグループが開発したプラットフォームが採用されている。シャープなエッジで構成されているデザインは非常に個性的だ。
ボディサイズは全長約4.37m、全幅1.86m、全高1.47m、と競合するゴルフをわずかに上回る。
試乗会に用意された車両は110ps/20.9kgmを発生する1.2L 3気筒ガソリンエンジン&6速MTを装備したエントリーモデルと、1.6L 4気筒ターボ(150ps)と110psのモーターが組み合わされ180psのシステム出力を発生するPHEVであった。
前者は日本への輸出はまったく考えられていないが、8速ATが組み合わされた後者は日本向けの可能性もあるので、こちらを主に試乗した。
PHEVのダイナミック性能は0-100km/hが7.6秒、最高速度は225km/h、EV走行距離は条件によって66~73km(WLTPモード)であり、その時の最高速度は135km/hと発表されている。
■シートの出来がよく快適で、ラゲッジも充分なスペース
アストラのキャビンに入るとまずは快適なシートが迎えてくれる。オペルはシートデザインに力を入れており、体に合った形状はもちろん、バックレストのクッションが厚く、背中を心地よくサポートしてくれる。
また、インテリアはドライバー正面に10インチのデジタルディスプレイが横に広がったインパネデザインも特徴。仕上げも上質で、ハードプラスティックは見当たらない。またスイッチ類は適度にアナログが残され、操作にまごつくことはなかった。
後席に座ってみると、ルーフが低く落ち込んでいるのと上に向かって絞り込まれたサイドパネルのためかヘッドルームがやや狭い感じがする。
一方、トランクルームもPHEVは床下に搭載されるバッテリーの影響でエンジン車よりも70Lが犠牲になっているが、それでもリアシートをたためば1268Lと通常使用では充分な容量が用意される。いずれも日常の使用に不便を感じるほど決定的なマイナスではない。
■PHEVの乗り味はスムースで快適
PHEVの走りは、1.6Lターボとモーターの出力に大きな差がないためか協調は非常にスムースで、キックダウンしてもターボエンジンの回転は控えめである。またEV走行中もエンジンに着火することは稀で、ポルトガルの高速道路を100km/hプラスの速度で快適にゼロエミッション巡行を遂行する。
シャシーの動きはやや固い印象を受けたがバネの収まりがよく、乗り心地はフラットだ。路面からのノイズやショックの進入も少ないので室内は静かで快適である。
また人工的な感触が顔を出す軽いステアフィールは明らかにコンフォート志向だが、ファミリーユースとしては必要にして充分なレベルである。
先進運転支援システムは360度カメラを装備したオペル独自の「インテリ・ドライブ1.0」を採用し、車線維持走行支援機能を含む自動追従システムでロングドライブの疲労を軽減する。
新型アストラのドイツでの価格は「エディション(ファーストモデル)」が約485万円で、すでに予約注文が始まっている。日本市場導入の可能性は、この時点では非公開だが、もし輸入されるのであればシステム出力を225psに引き上げたPHEVが有力だと示唆される。
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