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<p>ジョージ・ナカシマの真髄を、吉村順三の建築で体感する。</p><p>アメリカ・ニューヨーク州に残るネルソン・ロックフェラー邸(73年竣工)で協業していた、ジョージ・ナカシマ、吉村順三、中村外二。 ⇒ この3者が響き合うロックフェラー邸の縮図のような展示が、今、鎌倉のギャラリーで行われています。</p><p>木匠、ナカシマの企画展が鎌倉の〈ink gallery〉で開催。手技を極めた家具と、吉村順三らが手がけた建築が響き合う。</p><p>〈ink gallery〉併設の茶室は中村外二工務店による貴重な建物。左から、友人のために作った幻のスツールを再現した《ブログレンスツール》。/素材を一新して製作した《ペーパーナイフ》。/アメリカのナカシマ工房の仕様を一部採用した《ミルクハウステーブル》。/代表作にインド産ローズウッドを用いた《コノイドラウンジ》。 ジョージ・ナカシマといえば、自らウッドワーカーと称した孤高の家具デザイナーだ。アメリカで生まれ育った彼は、1944年にペンシルベニア州ニューホープで自身の工房を設立するが、それまでの約10年間を様々な場所で過ごしていた。この時期に特に重要だったのが、日本で活動したアントニン・レーモンドの建築事務所で働いたこと。同僚で後に著名な建築家となる吉村順三と親交を深めたナカシマは、彼に案内されて日本各地を旅する。ナカシマの家具の簡潔にして日本的なニュアンスには、当時の体験が反映されていたのかもしれない。 ペーパーナイフは黒檀製。 『ジョージ・ナカシマ企画展@ink gallery』は、そんな2人の交流を背景とするエキシビション。アパレルブランド〈YAECA〉が運営する〈ink gallery〉は、吉村の設計により74年に完成した住宅の一部を改修したスペースであり、そこに高松の〈桜製作所〉によるナカシマの家具をディスプレイ。また住宅に併設された、数寄屋建築の名門である中村外二工務店による茶室も会場の一部となる。 実はナカシマ、吉村、中村外二の3者は、アメリカ・ニューヨーク州に残るネルソン・ロックフェラー邸(73年竣工)で協業していた。これは吉村が手がけた大邸宅であり、ナカシマはこの家のために220点以上の家具を製作。さらに併設された茶室は中村外二工務店が施工したものだった。 ウォルナットを蟻組でジョイントした《コーンブラットケース》と、木製のフレーム。 「この場所ならロックフェラー邸の縮図のような展示ができると思い、〈YAECA〉の服部哲弘さんに相談したのが約1年前。服部さんにナカシマの資料を見せて、企画展のための復刻や仕様変更を考えました」と、展示の発案者でショールーム〈ENKEL〉を主宰する水澗航さん。また服部さんは、こう話す。「ナカシマの家具は知っていたけど、アメリカと日本を行き来した生き方は最近になって本で知り、作風に納得しました。彼の場合、デザインより木という素材の扱い方に圧倒されます」 希少なメープルバールのアームを持つ《ラウンジアーム》。右アームと左アームの2脚が揃う。</p>