3月25〜27日、サウジアラビアのジェッダ・ストリート・サーキットで開催されたFIA-F2第2ラウンド。チームを移籍してから2戦目となる佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)は、土曜のレース1で8位入賞。今季初のポイント獲得を果たした。
第1ラウンドのバーレーンから連戦となるサウジアラビア。万璃音にとっては2021年に初めて走った印象は「あまり好きではないタイプのコース」だというが、金曜フリー走行からマシンの感触は良く、セットアップの仕上がりも含めて、昨年より自信を持って予選に臨むことができた。
迎えた30分間の予選は気温22℃、路面温度26℃、湿度53%というコンディションの中、予選からクラッシュやトラブルに見舞われるマシンが続出し、タイムアタックもままならない形で赤旗が3度も出される荒れた予選セッションとなった。
万璃音はアタックするタイミングと赤旗が出されるタイミングが悪く、セクター2、3で自己ベストを出し、いざアタック突入というタイミングで赤旗が出たりしたせいで、燃料残量から計算すると予定されていたもう1周のアタックができないまま予選を終了。14番手タイムでセッションを終えた。
ただ予選終了後、5人のドライバーにペナルティが出され、土曜のレース1での万璃音のスターティンググリッドは12番手に。グリッドが汚れた側からのスタートとなった万璃音は、それでもまずまずのスタートを決める。
しかしレースは荒れ、2周目にクラッシュしたマシンのためにセーフティカーが出され、7周目にレース再開。そのリスタート直後に2台のマシンがホームストレート上でクラッシュし、早々に2回目のセーフティカーが導入された。その後も18周目にはスピン&ストップしたマシンのため、VSCが導入されている。
レースはファイナルラップとなる20周目にVSCが解除され、1周レースでチェッカーとなったが、予選12番手グリッドからスタートした万璃音は着実に荒れたレースを走り切り、10位でフィニッシュ。レース後、失格やタイムペナルティを課されたドライバーが出たため、万璃音は8位入賞と繰り上がり、今季初ポイントを獲得した。
日曜日のレース2は13番手グリッドからのスタート。気温26℃、路面温度36℃というコンディションの中、スタートやり直しによって当初の予定から1周減算の27周で争われた。万璃音はスタート直後から中位集団に飲み込まれ、数珠繋ぎの接近戦を展開。レース序盤からフロントタイヤのグリップ不足を訴えながら、オプションタイヤでのミニマム走行で交換という戦略に出た。ただプライムタイヤに交換した後も集団での戦いに巻き込まれ、自分のペースで追い上げることができず、無念の17位完走となった。
「マシンの感触は走り出しから悪くなくて、去年より自信を持って予選に挑むことができました。セクター1が遅いのはエンジニアとも話してわかっていましたが、セクター2、セクター3は十分速いので、セクター1でのタイムを稼ぐように周回を重ね、ラップごとにタイムは上がっていたのですが、3回も赤旗が出てしまい、さらにそのタイミングが自分にとって最悪で、燃料残量から計算すると予定されていたもう最後のアタックを諦めるしかありませんでした。逆にチームメイトはそのままアタックしてしまったことで燃料残量が足らず、ペナルティで最後尾スタートとなってしまいました」と予選から思うようなレース展開とならなかった万璃音はサウジアラビアラウンドを振り返った。
「レース1は、まずまずの好スタートが切れ、マシンのフィーリングも悪くなかったので前を追いかけて、チャレンジングな走りをしました。目の前のダルバラ選手さえ抜けていれば、その前を走る2台はオーバーテイクできたはずなので、ダルバラ選手を抜ききれなかったのが悔しいレースでした。でもレース1はセーフティカーばかりで実質6周のレースでしたが、結果的にはホテルで寝ている間に2台をパスしてポイントゲットできたレースでした(笑)」
「レース2は、前日のマシンのフィーリングが良かったので、燃費や気温、路面温度を計算して、やや攻めたセットアップでポイントを狙いました。しかしスタートしてみると、自分たちが思っていたセットアップの方向性は正しかったのですが、もっと攻めなければいけなかったことが分かりました。フロントタイヤのグリップ不足で、数珠繋ぎの中でペースが上げられず、早めのタイヤ交換をしたのにアウトラップが遅くて前に出られず、リヤタイヤのグリップが落ちてきて逆にバランスが取れてペースが戻ってきたという状況でした。集団での駆け引きができなかったのが辛かったです」
FIA-F2の次戦はイモラ。「これで中東の4レースを終えて、明日はモナコに帰ります」という万璃音は、「次のレースまでにマシンを煮詰め、イモラでは勝利を狙います」と意気込んだ。