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 4月になるのを契機に、環境やライフスタイルが変化する人は多い。そしてそのなかでも、心機一転して、新鮮な気持ちになれるこの季節だからこそ、なにかを新しい趣味を始めてみようと考えている人も多いことだろう。

 そこで本稿では、趣味生活の相棒にふさわしいクルマとはどんなものか考えてみようではないか。

文/フォッケウルフ
写真/ フォルクスワーゲン グループ ジャパン、スバル、三菱、ホンダ、フォッケウルフ

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■「プラス愛車」で趣味は充実化する!

 4月3日は「趣味の日」だそうだ。「し(4)ゅみ(3)=趣味」という、少々強引な語呂合わせからきていることはさておき(笑)、仕事と同じくらい趣味に情熱を注ぐ人を応援することを目的に制定されたという。とはいえ、社会人になって日々を忙しく過ごすようになると趣味に没頭する時間が取れない。

 そんな時間があるなら、疲れを癒す休息の時間に充てたいとか、そもそも休日返上で仕事、という人もいるだろう。つまり趣味に情熱を注いでいる時間も金も、余裕もない! というのが無趣味を貫いている人の実情と言える。

 しかし、「趣味は人生を豊かにしてくれる」と言われている。そもそも趣味とは、自分が楽しめることを指すので、どんなことでもいい。ただ、そこに「クルマ」というツールを加えると、できることが増えるし、趣味をもっと深く楽しめることになるのは間違いない。

 クルマと趣味を結びつけたときに、クルマ自体が趣味なのか、クルマは趣味のツールなのかで、車種の選択はまるで違ってくる。前者の場合は、なにより所有するクルマに対する思い入れの強さが重要となるから、そのクルマを選んだ理由とか、所有する意義を明確にしておきたい。

何か新しい趣味を始めるにあたって、すでに「クルマ自体が趣味!」という人も多いに違いない

 少々マニア的だが、たとえば歴史的な背景とか、メカニズムやパフォーマンス、キャラクターなど、クルマを取り巻くさまざまな要素や事柄まで把握すれば、選ぶクルマは厳選されるし、購入後も愛車に対する思い入れはより強くなる。そして、その選択が他人からは「こだわっているな」と見られることになるはずだ。

 カスタムやチューニングをする場合も同じことが言える。なぜカスタムが必要であるかの説得力を持たせるには、「カッコよくしたい」とか、「速くしたい」といった端的な思いだけでなく、ベース車の素性を十分に理解しておく。それによってカスタムによる効果をより実感することができるようになる。

 クルマを手に入れる、あるいはカスタムする場合でも、クルマが単なる移動手段ではなく、自分にとって大切な相棒であることを強く認識することで、その魅力を存分に味わい尽くすための費用や時間を潤沢に、納得して注ぎ込めるというわけだ。

■アクティブな趣味には積載力が肝心

 クルマを趣味のツールとして考える場合は、「趣味をサポート」できることが重要だから、カーマニア的な思い入れやクルマにかける費用はさほど気にする必要はないだろう。今どきのクルマはおおむねどんな趣味にもそれなりに適応できるので、「この趣味にはこのクルマ!」という既成概念も無視していい。

 たとえば、荷物が多いとされるキャンプをはじめとした野外でのアクティビティにコンパクトカーや軽自動車といった小さなクルマが適当ではないように思われがちだが、決してそんなことはない。

 スライドドアを備えた背の高い軽自動車は積載性に優れているし、スズキ ハスラーやダイハツ タフトのようにアクティブな用途を想定した機能が採用されたクルマも存在する。むしろ、曲がりくねった林道やクルマでごった返しているオートキャンプ場などでは、狭い場所での機動性に優れている小さなクルマのほうが有利になることがある。

コンパクトカーでもSUV風のルックスを備えた仕様や、実際に期待値以上の収納力を備えたモデルは存在する

 日常のアシ的に扱われるコンパクトカーの実力も侮れない。後席をアレンジして荷室スペースにすれば、十分な積載力が確保できるから荷物が多くても困らないし、流行りのロードバイクだって前輪を外せば載せられるので、電車で輪行するよりも遥かに楽ちんだ。

 ただし、この軽自動車もコンパクトカーも積載力については、”ぼっち”での活動に限定される。また、小型車は概してエンジン排気量が小さく、非力なクルマが多い。ペットと一緒にドライブを楽しむとか、パートナーと温泉巡りをするときに高速道路を使ったり、峠道を走ったりすると走行性能にやや不満を感じることもある。

 趣味を一緒に楽しむ人が自分以外に複数人いたり、積載する物のサイズが大きくなったりすると、車種選択に検討の余地が生まれる。

 後席に人を乗せて、アウトドアレジャー用品を積むとなれば、ワゴンやミニバン、SUVといった実用性に秀でた能力を持つクルマが断然有利となる。ボディサイズが大きいので、後席をアレンジしなくても荷室スペースには十分な広さがあるし、アレンジすればサーフボードやスキーといった長尺物が余裕で積み込める。

 そのうえ車中泊が快適にできるミニバンや、山道や雪道も走破できるSUVなら、その万能性で野外活動を強力にサポートしてくれることだろう。

■日頃の使い勝手も考慮して選びたい

趣味としての使用シーンに加えて、日常での使用シーンも想像したうえで車種を選ぶことが重要だ

 趣味をサポートできるというのは、趣味的観点でのクルマ選びの基準となるが、一年中クルマを趣味に使っているわけではないはず。車種選択の際には、取りまわし性や経済性といった日々の生活を考慮しておくことも重要だ。

 たとえば趣味サポート能力最強だからSUVを選ぶ、という場合なら、街なかを走るときに持て余すことなく、燃費性能もまずまず納得できて、日常的なシーンでのマッチングがいいコンパクトなクロスオーバーモデルがベストな選択となるだろう。

 また、機能や性能に不満がなくても、趣味を楽しむ場所に似合うか否かも気になるところ。セダンやスポーツカーは、ロングドライブを楽しめるが、野外のアクティビティでは少々違和感を覚える。特にセダンの場合、ゴルフ場やフォーマルな場所なら似合うが、そもそも若々しさが皆無なのでアクティブなライフスタイルには適さない。

 スポーツカーは、それを所有すること自体が趣味と言えるし、カスタムするとか、サーキットを走るといった楽しみもできる。しかし、実用性がまったく加味されていないので、趣味をサポートする能力は極めて低く、趣味の相棒としては不向きと言わざるを得ない。

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自分の好きなもの、好きなことに夢中になって過ごす時間はじつに楽しいものだ。嫌なことを一瞬でも忘れて気分が晴れ晴れして、ストレス解消や気分転換につながる

 もちろん、クルマがなくても趣味は楽しめるが、クルマがあれば行動範囲が広がって、行きたい場所へ、行きたいときに、自由に行ける。人を乗せて、荷物を積んで、快適に移動できる。そのうえ、プライベートな空間は他人と接触する機会が減らせるから、コロナ禍においては感染リスクの低い移動手段としての有効性も注目された。

 クルマは趣味にもなるし、趣味をもっと楽しくする手段でもある。車種は問わないし、マイカーでもレンタカーでもいい。新年度のスタートを機になにかを始めるときには、クルマが移動だけではない価値を持っていることをあらためて考えてみてはいかがだろう。

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