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 みなさん、こんにちは。オートスポーツwebで編集長を務めさせて頂いています水野です。このたび、プレミアム会員のみなさまに、ワタクシがレースを見て、そして取材を通して感じた記事になるようなならないような、でも知っておくと見方が増えるような、そんな些細な情報や考えをワタクシ視点でお届けできればと思い、この場をお借りしてそっと呟きたいと思います。あくまで、ひとり言ですのでご容赦ください。

 今回は『強いチームのチーム力って結局、何なのか』について、先日考えさせられる機会がありましたので、そのつぶやきを。

 その舞台は3月22日から2日間行われたスーパフォーミュラの富士合同テスト。2日目午前のセッション3で佐藤連選手がトップタイムをマークして終わったところで、ふと、考えさせられました。

 佐藤選手のタイムは関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)選手とまったくの同タイムだったわけですが(関口選手が先にタイムを出したため佐藤選手は2番手)、佐藤選手はご存知、今季のルーキードライバーです。そして、失礼ながら所属チームは今季から初参戦のTEAM GOHなわけです。今回のテストを取材していたメディアは片手で数えるほど少なかったのですが、長らくスーパーフォーミュラを見てきた者としては、ちょっとした驚きでした。

 思い返せば、近年でスーパーフォーミュラに新しく参戦したチームとしてはKCMG(2010年)、Drago CORSE(2014年)、B-MAX Racing(2017年)、ROOKIE Racing(2020年)などが頭を過ぎりますが、その初年度の成績はどれも厳しく、そして現在でも中位以下のポジションを抜け出せていません。

 細かなセットアップの是非やパーツの善し悪しを繰り返して評価し続けてクルマを速くしていく現在のスーパーフォーミュラでは、ドライバーの速さだけでなく、データ量やエンジニアの経験やノウハウなどさまざまな要素が同時に同じベクトルを向かなければ結果は出しづらいカテゴリーです。

 しかも、昨年から今年に掛けてシャシー、エンジンもまったく同じで、今年はリヤタイヤの形状がわずかに変更されただけ。その状況でTEAM GOHは新チーム特有の『トラブルで走れない』『周回数が足りない』『新人ドライバーがアウトラップでスピン、クラッシュ』『走り始めのブレーキングでフラットスポットを作ってタイヤを壊した』などといったアクシデントがほぼ皆無な状態で(チーム関係者に聞けば、いくつか小さなアクシデントはあったようですが)、セッション2のトップタイムという事実だけでなく、富士テスト全体を鑑みても、普通に他チームと肩を並べて戦えているのが、驚きでもあるわけです。

 当然、まだテストの段階なので、開幕戦の富士で大コケしてしまうかもしれません。でも、チームの雰囲気を見ていても、元ホンダF1の山本雅史さんが監督だからか、岡田秀樹氏、伊沢拓也氏の両アドバイザーの存在感の強さからか、どっしりとした落ち着きを感じます。

 そのなかでやはりというべきか、一番大きな要因はメンテナンスを担うセルブスジャパンのメカニック、そして現場をまとめる星学文エンジニアの力量によるところが大きいような気がしています。

 セルブスジャパンと星エンジニアは、昨年までTEAM MUGENに加わり、チャンピオン争いを経験してきました。今年はそれぞれ袂を分かつ形になりましたが、ワンメイクのダラーラSF19シャシーだからこそ、そのわずかな組み立て方の違い、扱い方のノウハウ、メカニックの妙がパフォーマンスに影響しているのではと勘ぐってしまいます。

 レースで結果を出すには3年かかる、というのはこれまでかれこれ15年近く現場で取材を続けてきたワタクシも実感としてあります。1年目は種まき、2年目に成長して3年目にトップに辿り着くというこれまでの定説をTEAM GOHがどう崩してくれるのか。

 あまり普段は陽の目を見ないメカニックさんたちですが、強いチームの背景には必ずレベルの高いメカニックが揃っています。チーム力とはなんぞや、と問われるとすぐに返答はできませんが、そのひとつの要素にはやはりメカニックの存在が欠かせません。

 こういった背景を頭の片隅に置きながら、新チーム、そして新人ドライバーふたりのパフォーマンスに目を向けて見ると、今年のスーパーフォーミュラを見る楽しみも増えてきます。まずは開幕戦の富士、こっそりとTEAM GOHに注目してみたいなと思わせる、このオフのテストでした。

 同時にJRPから発表されました、レイザーラモンのピットレポーター就任などについては、いつかまた話す機会がありましたら。。。。

 また次回、どのカテゴリーになるのか、どのドライバーになるのかまったく決めていませんが、周囲のご迷惑、そして自分への大きなストレスにならない程度に(苦笑)、完全不定期でお届けできればと思います。

 ご拝読、ありがとうございました。