実用性が高く、アウトドアシーンでも機動力が抜群なSUV。昨今はさらに、スポーツカー(ともするとスーパーカー)に匹敵するパワフルなエンジンと運動性能を有するモデルも増えてきた。今回はそのなかから代表的なモデルを5つご紹介しよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:BMW、LAMBORGHINI、STELLANTIS、PORSCHE、MASERATI
ラグジュアリーなスポーツクーペSUV|BMW X6 M(税込1937万円)
ダイナミックでスポーティなクーペスタイルに、SUVの力強い存在感を融合させた美しいクーペSUV「X6」。そのパフォーマンスモデルであるMは、まさにスポーツカーそのものと呼んでいいだろう。
搭載されるのは4.4L V8ツインターボで、最高出力は460kW(625ps)/6,000rpm、最大トルクは750Nm(76.5kgm)/1,800-5,800rpmにもなる。これに8速スポーツAT、アダプティブMサスペンション、電子制御4WDシステムを搭載し、2.3tを超える重量級でありながら0-100km/h加速は3.8秒と、スーパーカー並のスペックである(Competitionの場合)。
美しいスタイリング、BMW Mモデルらしいパフォーマンスでありながら、ラゲッジ容量は標準で580Lと実用性も十分。ラグジュアリースポーツモデルとしての魅力にあふれるモデルだ。
スーパーカーの新たな選択肢|ランボルギーニ ウルス(税込3068万円)
ランボルギーニが「スーパースポーツユーティリティービークル」と呼ぶ「ウルス」。プラットフォームは、フォルクスワーゲングループのトゥアレグやカイエン、アウディQ7と同じものを採用しているが、デザインやメカニズムの面で、しっかりとランボルギーニの個性が発揮されている。
搭載されるエンジンは4.0L V8ツインターボ、最高出力は478kW(650ps)/6,000rpm、最大トルクは850Nm/2,250-4,500rpm。電子制御4WDを搭載し、最高速度は305km/h、0-100km/h加速は3.6秒だ。
近年のランボルギーニに共通する幾何学的なテーマを使用しつつ、SUVならではの塊感のあるフォルムと、存在感のあるボトムセクションで構成されている。サーキットでのパフォーマンスも含め、あらゆる路面での運動性能と実用性を追求し、スーパーカーの新たな境地を開いたモデルだ。
地鳴りがするような異次元のパワー|グランドチェロキー トラックホーク(税込1330万円)
伝統的な4WDブランドであるジープにも、異次元のパフォーマンスを持つモデルが存在する。それがグランドチェロキー トラックホークだ。この「トラック」とはレーストラック、つまりサーキットのことであり、そこでのパフォーマンスを意識したジープを示している。
搭載されるのは6.2L HEMI V8スーパーチャージャーエンジンで、最高出力は522kW(710ps)/6,200rpm、最大トルクは868Nm(88.5kgm)/4,700rpmという驚異的なスペックだ。大径ブレーキローター、ブレンボ製ブレーキキャリパー、ビルシュタイン製アダプティブダンピングサスペンションで武装する。
ハイオクガソリン仕様で燃料タンク容量は93Lと、昨今のガソリン高騰のニュースの中では恐ろしくなるような数字だが、電動化戦略なぞどこ吹く風。今だからこそ、最強モデルのトラックホークを選ぶというのも面白いだろう。
日本で乗るなら|ポルシェ マカンGTS(税込1188万円)
やや小ぶりのモデルだが、400psを超えているポルシェ マカン。かつてポルシェのSUVと言えばカイエンの方が有名であったが、今やマカンは大人気モデルに成長し、ポルシェにおける屋台骨となっている。911に近いパフォーマンスが欲しいなら、カイエンターボを選ぶことになるだろうが、マカンは日本で乗るのにバランスがいいモデルだ。
マカンの最上位モデル「GTS」には、排気量2.9L V6ツインターボが搭載されている。最高出力は324kW(440ps)/5,700-6,600rpm、最大トルクは550Nm/1,900-5,600rpm、最高速度は272km/h、0-100km/h加速は4.5秒というスペックである。
街乗りでも大きすぎないボディサイズで、ラゲッジ容量は458L、リアシートを折りたたむと1,503Lの容量を確保できる。普段使いの扱いやすさ、実用性の高さ、ゆとりのパワー、妥協のないハンドリング性能、ポルシェというステータス。総合的に判断して、あらゆる人にとって価値ある一台になるだろう。
伝統の中にも遊び心|マセラティ レヴァンテ トロフェオ (税込2129万円)
イタリアのスポーツサルーンメーカーであるマセラティにも、レヴァンテという魅力的なSUVがある。400psを超えるモデルは、3.0L V6ツインターボを搭載する「モデナ S」と、3.8L V8ツインターボを搭載する「トロフェオ」があり、モデナ Sの最高出力は430ps/5,750rpm、最大トルクは580Nm/2,000-4,750rpm、最高速度は264km/hで0-100km/h加速は5.2秒。最上級トロフェオの最高出力は580ps/6,750rpm、最大トルクは730Nm/2,500-5,000rpm、最高速度は302k/h、0-100km/h加速は4.1秒だ。
デザインは同社の高級セダン「ギブリ」にも通じる、スポーティで塊感のあるフォルムと彫刻のような美しい曲線美で、インテリアはマセラティの伝統と仕立ての良さを感じさせる上品な雰囲気。フォーマルでありながら、どこか遊び心も忘れない、イタリアの伊達男を気取るならレヴァンテがぴったりだ。
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重心が高いSUVであっても、シャシーやサスペンションシステムの性能が向上したことで、ハイパワーエンジンのパフォーマンスを受け止められるようになった。また、バッテリーEVの登場によって、今後はさらにレイアウトやデザインの自由度が上がってくるだろう。
SUVの実用性と、怒涛のパフォーマンスとを両立したスポーツSUVは、価格の高さや顧客が限られることから生産台数は少ないが、人気は高い。次はどんなパフォーマンスをもったスポーツSUVが登場してくるのか、非常に楽しみだ。
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