現状、世界を敵に回している国、ロシア。以前ロシアを訪れたモータージャーナリスト・小林敦志によれば、首都モスクワでは“西側諸国”の新車が走るいっぽうで、ソビエト時代に製造されたロシア車や、中国車も見かけたという。
全世界から流入する中古車も加わり、その様子は“カオス”。そして、話をすればクルマ好きがすぐに伝わってくるロシア人。
いつかまた、平和のもとで楽しくクルマ談議できる日々が訪れることを心から願って、3月25日発売の『ベストカー』本誌より小林氏がモスクワで見聞きしたトピックを3回に分けて緊急配信! 最後となる第3回は「ロシアでみた日本のクルマたち」だ!
■配信予定とトピックラインナップ
●Vol01. 政治と生活とクルマ編(2022年3月26日配信)→こちら!
●Vol02.ロシアのクルマたち編(2022年3月27日配信)→こちら!!
●Vol03.ロシアでみた日本のクルマたち編(本稿)
・マークX、ではなくマークII
・新車販売脅かす輸入中古車たち
・日本発の働くクルマたち
・ミニバン大好き! 日本車の旧型ミニバンをよく見かけます
※本稿は2022年3月のものです
文・写真/小林敦志、AdobeStock
初出:『ベストカー』2022年4月26日号
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■マークX、ではなくマークII
筆者がソ連時代のモデルが多く展示されているレトロミュージアムで展示車両を見ていると、ロシア人男性が声をかけてきた。「マークIIはいいクルマだよね」と言ってきたので、「いまはマークX(当時)だよ」と返すと、「マークX?」と首をかしげていた。
モスクワ市内ではマークIIだけでなく、チェイサーやクレスタをローダウンにしたチューニングカーに乗っている人を多く見かけた。
「VIPセダンを見に日本に行きたい」と話をした地元の人もいるほど、FRの日本のセダンは人気が高いが、中古車レベルの話なので、当時マークXはまだ“ノーマーク”だったようである。
■新車販売を脅かす輸入中古車たち
日本に近いシベリアのウラジオストクが日本からの中古車で溢れているのは有名だが、そのウラジオストクから約1万km離れたモスクワでも右ハンドルの日本の中古車をよく見かける。で、中古車は日本からだけでなく、西ヨーロッパ、アメリカ、中国などからも活発に流入している。
そのため例えば、日本、欧州、北米各地仕様のプリウスやパッソなどの各地域専売車など、ほぼ全世界のトヨタ車がモスクワ市内を走っている珍現象も。
あまりの中古車の多さに新車販売を圧迫しているともいわれ、輸入規制の検討などもされるようだが、モスクワで「プーチンでも闇の勢力は抑えられない」と意味深な話を聞いたことがある。
またモスクワの一等地でトヨタのWiLLブランドのサイファやViをオシャレなお姉さまが運転していたのを目撃したこともある(パイクカーは好まれそう)。
ここ数年は、モスクワ市内でも日本での現行型の中古車を見かけることが多くなってきた。
■ミニバン大好き! 日本車の旧型ミニバンをよく見かけます
幹線道路を走るクルマのなかに日本車の旧型ミニバンをよく見かける。セレナ、ノア&ヴォクシー、ステップワゴン、エスティマなど。
コロナ禍もあり、2018年が最後の訪問となった私だが、今はアルファードも多いかもしれない。またアメリカから来たと思われる、トヨタの北米専売ミニバン的存在のシエナもよく見かけるが、ほとんどは中古車である。
ミニバンは日本車のお家芸だが、世界展開されているモデルは少ない(特に欧州向け)。
そのため、中古車でしか手に入れられないので、自然と日本から入る中古車が目立っているようである。
■ハイエースやプロボックス、見かけます 日本発の「はたらくクルマ」たち
モスクワ市内の交通量が多いところで観察すると、日本から輸出されたタウンエースバンや、ボンゴバン、プロボックス&サクシード、ADバンの中古車を多く見かける。
しかも、日本同様に営業用としてモスクワでも働くクルマとして大活躍している。もちろん、ロシア以外でも中古車として人気の高いハイエースも当たり前のように走っている。
しかもライトバンだけでなく、日本車の中型トラックやクレーン車の中古車も走っているので驚かされる。
欧米の商用バンはサイズの大きいモデルがメインなので、サイズが手頃なところもウケているようである。また、自国の乗用車以上に耐久性の高い設計となっている日本車として、定評があるのかもしれない。
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