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空前のアウトドア人気でブーム再来!? ポップアップルーフ車 最新AtoZ

 コロナウイルスが蔓延してから早2年。蔓延防止のため外出を控えろとはずっと言われているところだが、さすがに2年が経過しさらに当面この状況が続くとなると、外に出られないストレスが溜まらないわけがない。

 今年開催された東京オートサロンを見ると、そんな世の中の人たちの心を代弁しているかのようだった。何のことかというと、例年にもましてキャンピングカーの展示が多かったのだ。

 そのなかでもひと際目を引いたのがポップアップルーフ車。あまりの展示の多さに驚いたが、車中泊ブームの今、これはもう一度ブームが来るかも!? というわけで、この企画です。

※本稿は2022年2月のものです
文/諸星陽一、ベストカー編集部、写真提供/オートキャンパー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年3月10日号

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■そもそも「ポップアップルーフ」って何?

V220dマルコポーロホライゾンなら新車でポップアップルーフを装備! 価格は959万円から

 キャンプやアウトドアが好きな人ならよく知っているであろうポップアップルーフ車だが、路上であまり見かけないクルマゆえ「何のクルマ?」と思う人も多いハズ。

 それもそのはずで、のちほど解説するが現在日本国内でメーカーより新車で買えるポップアップルーフ車がほとんどないため、レアな存在ということは間違いない。

 ポップアップルーフ車について簡単に説明すると、クルマのルーフが大きくせり上がることで、上がった分の空間はテントと同じように使えるというもの。

 実際のアウトドアシーンではイチイチ外に出ずとも車内移動が可能で、さらに就寝スペースとして足を思いきり伸ばし、フルフラットの空間で休むこともできる。車内空間を効率よく使い、かつ快適に楽しくアウトドアを堪能できる装備。それがポップアップルーフの魅力なのだ!

(TEXT/ベストカー編集部)

■ポップアップルーフ車の歴史

写真はフォルクスワーゲン・タイプ2 T3(1979年登場)。ポップアップルーフ車の歴史は意外と古いのだ

 フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツをベースとしたキャンピングカーを架装するウエストファリアは、1960年代初頭にはすでにポップアップルーフを架装したモデルを発売していた。つまりポップアップルーフは少なくとも半世紀の歴史を持つ装備だということになる。

 日本でポップアップルーフに市民権を与えたのが1995年に登場したマツダ・ボンゴフレンディへの採用だった。

 5ナンバーキャブオーバー1ボックスのボディに、オートフリートップと呼ばれるポップアップルーフを装着したモデルは斬新で話題となった。なお、オートフリートップ付きのモデルは全高が高くなるため3ナンバー登録となる。

 1996年にホンダ・オデッセイにポップアップルーフ仕様のフィールドデッキを設定。1998年にはステップワゴンにも設定する。ボンゴフレンディ、フィールドデッキともにリアヒンジで前側がガバッと開くタイプの片開きポップアップルーフを採用した。

 一方スバルはドミンゴにアラジンキャンパーというポップアップルーフモデルを設定。こちらはルーフ全体が上方に持ち上がるタイプのポップアップルーフを装備する。

 日本には正規輸入が行われていないモデルだが、フォルクスワーゲンはカリフォルニアというポップアップルーフ付きキャンピングカーを製造している。このモデルは架装メーカーがボディを改造しているのではなく、フォルクスワーゲンがメーカーとして作っているのが特徴だ。

 現在、日本で購入できるメーカー製造モデルがメルセデス・ベンツV220dマルコポーロホライゾンだ。商用モデルのV220dに後ろヒンジ前片開きのポップアップルーフを備えたモデルで、ヒンジ部分も少し上方に持ち上がり、拡張時の広々スペースが特徴だ。

(TEXT/諸星陽一)

■「ルーフテント」とはどう違う?

「ルーフテント」装着のデリカD:5。コストを大幅に節約できる点が魅力的。ただし車内〜テント間のアクセスだけはどうしようもない

 ポップアップルーフを調べていると、同時に「ルーフテント」と呼ばれるものに遭遇する。ルーフ部にテントを展開するというもので、一見よく似ているものの、似て非なるものなのだ。

 ルーフテントの長所は屋根を切るといった加工がないため取り付けが容易にできること。そのためコストが大幅に抑えられるのも一つの魅力だ。

 一方で短所は車内〜テント間の移動は必ず車外に出る必要がある点や、ルーフに装備を載せて走るため、全高が高くなり、立体駐車場に入れなくなるという点。覚えておきたい。

(TEXT/ベストカー編集部)

■専門店で架装された軽自動車はいかが? 軽キャンパー、たくさんあります

ホワイトハウス・N-VAN POPhotパッケージ。N-VANが持つ積載性と利便性に加え、多彩なアウトドア装備でよりキャンプが楽しめる(写真提供/オートキャンパー編集部)

 現在日本で新車購入可能なポップアップルーフを装備したメーカー製造のクルマはベンツのみで国産車はほぼいないことがわかった。値段高いし諦めるしかないのか……? と、手を引くには早い。専門店の手で特別に架装された国産ポップアップルーフ車があるのですよ!

 そこで何がお薦めなのか、アウトドアを詳しく取り扱う専門誌「オートキャンパー」編集部の品田直人さんに直接お薦め車種などのお話をいくつか伺ってみた。

 一台目はホワイトハウス・N-VAN POPhotパッケージ。N-VANをベース車にしておりポップアップルーフを装備。プライバシーテント、エアヒーター、サイクルキャリアなども装備可能で、アウトドアをより充実したものにできる一台だ。価格は223万4100円からだ。

 そして二台目は日本で一番売れているというオートワン製給電くんポップアップルーフだ。ベース車はエブリイバンで、軽ながら4人乗り4人就寝が可能となっている。

(TEXT/ベストカー編集部)

■使用するならぜひとも知っておきたいポップアップルーフのあれこれ

写真で見ると快適そうなルーフ内だが、風や外気の影響を受けやすい空間でもあるのだ

 ここまで読んできた読者のなかで、今までポップアップルーフ車に興味がなかった人でも、「こんな一台が家にあったら楽しそうじゃない?」と思い始めた人も多いハズ。

 そこでポップアップルーフ車を検討する前に知っておきたい、いわば「買う前に覚悟しておきたい」点などについて、オートキャンパー編集部の品田直人さんに再びお話を聞いてみよう。

*   *   *

ベストカー:ポップアップルーフ車について調べたのですが、どうも冬場は寒くてキツイらしいと……これって本当ですか?

品田直人(以下品田):はい、確かに冬場はとても寒いです。防寒対策などをしっかりすればまた変わるかもしれません。また風が強いとクルマが揺れるため、寝心地が……。

ベストカー:なるほど。布の素材ゆえかもしれませんが、想像しているほどポカポカしているわけではないのですね。そういえば、このルーフの布もメンテが必要なのですか?

品田:必要になってきますね。テントと同じで、帆布やネオプレンが湿気を含むため使用後は乾燥させてあげる必要があります。また、紫外線に晒されるので、実は耐用年数もそんなに長くありません。3年か、よくて5年でしょう。

ベストカー:思っていた以上に短い! 帆布って交換できる物なのですか?

品田:交換作業では大変ではありますが可能です。また装着している帆布を長く使う秘訣として、こまめなメンテは必須です。また金具も雨に当たるため錆止めもしっかりしてあげるとよいでしょう。

ベストカー:ありがとうございました。買う時の参考にします!

■まとめ

 今のご時世にピッタリすぎるくらいウケそうなポップアップルーフ車。弱点はあるものの、それを勘定してもポップアップルーフ車は魅力的といえるだろう。今年、もしかしたら第二次ポップアップルーフブームが来るかも? 流行が来る前にブームを先取りしてみるのはいかが!?

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