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沖縄・名護市長選の投開票が行われた1月23日、那覇市内で市民団体「改憲・戦争阻止!大行進 沖縄」による“アジビラ”が撒かれた。ビラは「沖縄をミサイル基地にするな! 辺野古新基地建設阻止!」の見出しとともに、「中国への侵略戦争阻止」と書かれた横断幕を持つデモ参加者の写真が掲載されていた。

23日夕県庁前で配布されていたビラのコピー。「中国への侵略戦争阻止」の横断幕を掲げるデモ写真や琉球新報報道本部長の講演登壇告知が

ビラの裏面には「対中国侵略戦争=改憲阻止の大運動を」、「岸田政権打倒の怒りの声と闘いを国会にたたきつけよう!」などとある。日本政府が中国に対する侵略戦争を決断しているので、それを阻止しなくてはいけない。こういう趣旨なのである。そして、この市民団体の依頼を受けて23日に行われた「講演集会」に講師として登壇したのが、沖縄の地元紙「琉球新報」の新垣毅・報道本部長だった。

政治的主張の強い団体からの招きで講師として参加することは、報道機関に携わる者として問題ないのだろうか。報道部長本人に聞いてみた。

確かに講演は行いましたが、団体の主張に必ずしも賛同しているわけではなく、依頼を受けた講演テーマについて情報提供するという考えで参加しているんです。公平性ということで依頼を断ってしまうと、むしろ片っ端から断ることになりかねないのです。

確かに完全に中立的な市民団体というのは稀であり、偏っている・偏っていないという線引きは、不可能に近い。

反社会勢力などでない限り、依頼があればできる限り受けるというのが会社としての姿勢でもあります。賛同できない部分があっても議論することはできますよ、というスタンスなので、民主主義的な議論に役に立つのであれば、依頼は受けています。過去には、右翼的と言われる団体で講演をしたこともありました。

かつて、民族主義団体「一水会」からの依頼で講演をしたこともあるという。

今回の講演テーマは「沖縄に迫る戦争の危機〜自衛隊南西シフトとミサイル配備音大〜」というもので、日本が中国を侵略するというより、むしろ中国の軍事的台頭に対してどう対処すべきかというものだったという。「日本が中国を侵略しようとしている」という主張については、賛同していないようだった。

それは僕もナンセンスだと思います。むしろ、中国の軍事的台頭によって国際情勢が緊迫しているので、中国も巻き込んだ核軍縮のテーブルが必要だという話をしました。感情的なバッシングではなく、冷静に事実を見ながら平和的な議論をしなくてはいけないという話をしたんです。ご理解いただければ助かります。

「日本が中国を侵略している」との主張には、さすがに首を傾げているようだった。