嵐のような展望。
マセラティ グレカーレ トロフェオはこうして熱くなる。グレカーレという名は、地中海の力強い風に由来しており、まさに新型マセラティがそうでありたいと願っている – 少なくともトロフェオトリムでは。マセラティからの新型パワーSUV登場。その車両データを含む全情報。
ライトや立体的なグリルは、明らかに「マセラティMC20」からインスピレーションを受けているが、それ以外のデザインは、新型「マセラティ グレカーレ」の機能に明確に適応していなければならない。マセラティのSUVは、スポーツカーのようにダイナミックであってはならず、そうでなければSUVとは言えないからだ。
そのため、チーフデザイナーである、クラウス ブッセのジレンマは明確だった。「グレカーレ」は、実用的でありながら洗練されたデザインでなければならないのです」。そして、彼は成功した。嘲笑する人は言うかもしれない。フロントは「フォード プーマ」、リアはジャガーだと。しかし、「グレカーレ」がステランティスグループの「ジョルジオ」プラットフォーム(アルファロメオ ステルヴィオもこの上に乗っている)をベースにしていることを考えれば、その外観は非常に特徴的である。
リアでは、象徴的な「3200GT」を彷彿とさせるようなライトデザインが採用されている。そのことは、プレスリリースに書かれていなければ、想像もつかなかっただろう。カーボンディフューザーと4本出しパイプが、さらなるスポーツスピリットを広げ、ボンネットはSUVらしくスポーティに下向きに傾斜している。ボンネットの下には、「グレカーレ トロフェオ」のハイライトでもある、3リッターV6が搭載され、ツインターボとF1由来の革新的なプレチェンバーイグニッションを備えているのだ。
【車両データ】
モデル | マセラティ グレカーレ トロフェオ |
エンジン | V6ツインターボ、フロント縦置き |
排気量 | 3,000cc |
最高出力 | 530PS@6500rpm |
最大トルク | 620Nm@3000~5500rpm |
駆動方式 | 全輪駆動、8速オートマチック |
全長/全幅/全高 | 4859/1979/1659mm |
平均燃費 | 8.9km/ℓ |
CO2排出量 | 254g/km |
0-100km/h加速 | 3.8秒 |
0-200km/h加速 | 13.8秒 |
最高速度 | 285km/h |
価格 | 未定 |
「MC20」の報道を追っている人なら、既に知っているはずだろうが、「グレカーレ トロフェオ」には、新開発された「ネットゥーノ(Nettuno)V6」の530馬力バージョンが搭載され、8速ATによって全輪にパワーがデリバリーされる。「グレカーレ」のエンジンは、ボアやストロークなど細部に至るまで上級モデルと同じものが使われているが、モータースポーツのようなドライサンプ潤滑はなく、部分負荷領域で右バンクを停止させることができる気筒休止機能が搭載されている。もちろんネットゥーノに搭載されている基本的な成分は含まれている。
4秒以内に100km/hに到達する
「トロフェオ」の0-100km/h加速タイムは3.8秒、最高速度は285km/hである。シャシー面では、「トロフェオ」には、ロールスタビライザー付き可変エアサスペンションが標準装備されている一方、小型モデルの「GT(300馬力、R4マイルドハイブリッド)」、「モデナ(330馬力、R4マイルドハイブリッド)」にはオプション設定されている。オフロードモードでは通常よりプラス60mm、コルサモードではマイナス40mmと、走行モードに応じて最大10cmの地上高を変化させることができるようになっている。
トロフェオの出来栄えは、驚くほどしっかりしている
トロフェオのインテリアは、シンプルなエレガンスと驚くほど強固なワークマンシップで我々を魅了する。センターディスプレイは対角12.3インチで、その下に8.8インチのセカンドスクリーンがある。タッチ操作だけでなく、音声による操作も重要な要素だ。そこでは、デジタル化されたセントラルクロックが活躍し、ボタンひとつでパーソナルアシスタントになる。マセラティは、本稿執筆時点ではまだ価格を発表していない。
結論:
「レヴァンテ」より小さいが、「グレカーレ」はより魅力的なマセラティSUVである。よりシックで、より価値のある、そして何より、はるかにモダンなこのモデル製品は、きっと多くのファンを獲得することだろう。特に神々しいツインターボV6を搭載した「トロフェオ」は、よりマセラティらしい。
【ABJのコメント】
「レヴァンテ」に続くマセラティのSUV第2弾がこの「グレカーレ」である。サイズは「レヴァンテ」よりも下、といっても全幅は1950mm近くあるし、全長もだいたい4850mmと決して小さくはない。現段階では「GT」と「モデナ」と「トロフィオ」という、3グレード展開だが、一年後にはBEVモデルも登場するという、これからのマセラティを背負って立つモデルなのである。最初は、もうこういうSUVはなんだかおなかいっぱいな感じもしたが、内容やこの車の登場の意義を考えると興味深いことがわかってくる。
生産もイタリア国内でおこなうというし、これからのマセラティを考えた上では絶対に必要なSUVモデルなのであろう。なお「グレカーレ」とは、「地中海に吹く北東風」のことだという。日本にも(おそらく来年までには)導入されるはずの「グレカーレ」、ぜひ日本の路上で実際に乗ってみたいものである。(KO)
Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: Maserati S.p.A.