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政府は23日午前、東京電力管内に出していた「電力需給逼迫警報」を解除した。21日夜に初めて発令され、広く国民に節電を求めていた。22日夜には、東京タワーやスカイツリーのライトアップが節電モードに切り替えられたほか、各テレビ局のニュース番組も、スタジオのライトを落とした状態で放送した。

何とか乗り越えることができた電力危機だが、今後はどのように備えたら良いのか。防災士の田頭孝志(たがしら・たかし)氏に、話を聞いた。

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電力需給逼迫警報は史上初めてで、電力不足で節電を呼びかける事態は、近年では例がないのではなかろうか。田頭氏も、こうした事態にまず驚いたという。

「現代の日本でこんなことになるなんてと、驚きました。22日は首都圏はみぞれ混じりの天候で、気温も非常に低く電力需要がまだまだ高い時期でした。多くの原発を止めている以上やむを得ないことですが、これほど電力の余裕がないとは想定外でした

愛媛県在住の田頭氏は、数年前に起きた雷による停電を機に、自家発電機を常備しているという。

「10万円ぐらいしましたが、カセットコンロで発電できるので使いやすい。カセットコンロは多めに常備しておけば煮炊きにも使えるので、汎用性が非常に高いと考えています。今回のような地震に限らず、暴風雨や雷などでも、一時的な停電が起きることはあります」

最低限、スマートフォンを充電できる程度のものは容易しておくと安心に違いない。

「1万円ぐらいの大きめのポータブルバッテリーも便利です。USBケーブルだけでなくコンセントにも対応しているタイプであれば、ノートパソコンなども充電できます」

日頃から、ガソリンやバッテリーの残量に気を配ることも重要だ。

自家用車のガソリンは4分の3ぐらいになったら給油して、できるだけ満タンに近い状態にしておくと安心です。車のバッテリーやシガーアダブターなどから電力を取ることもできます。スマートフォンも、寝る前には充電ケーブルを差すよう心がけたいものです。」

どのぐらいの備えが必要なのだろうか。

「よほどの大災害でない限り、長くても3日程度で復旧したり救助が来たりするものです。3日分程度の電力を目安に備えておくと良いでしょう。夏場は冷房による電力需要が高まるので、今回と同様の事態を想定しておくに越したことはありません」

今回は大停電(ブラックアウト)は無事回避できたが、教訓を得ることも必要かもしれない。

「政府の呼びかけに対して個人や企業が協力し、ある程度は乗り越えられることが分かった。今回の件を機に、日頃の電力の使い方や節電方法について見直すきっかけにしても良いのでは

エコのためにも、電気の無駄遣いには気をつけたいものである。