3月第3週に実施された最新のFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)を経て、2022年のWorlRX世界ラリークロス選手権のカレンダーが改訂。当初、ダブルヘッダー多数の全12戦をスケジュールしたものの、電動最高峰“RX1e”クラスの導入を予定する新シーズンは7月初旬にWorldRXを象徴するスウェーデンの“聖地”ホーリエスで開幕し、全7カ国で争われることとなった。
欧州選手権のEuroRXが5月のハンガリーで開幕したのち、新たな電動車両の時代は7月のスウェーデンで開幕。聖地での名物イベント“マジック・ウイークエンド”では、WorlRXに加え、EuroRX1、EuroRX3、さらに電動ワンメイクのFIA RX2eチャンピオンシップも併催される。
そして同月末には2021年タイトル決定戦の舞台となったドイツのニュルブルクリンクへと移動。8月中旬に開催されるノルウェーのヘル戦は、2019年、2020年と2年連続で新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の余波でキャンセルされており、かつてはスケジュールの定番だった伝統のイベントが2年ぶりに復活する。
さらにラトビア・リガの歴史的トラック、ビチェルニエク国際スポーツベースでのイベントを経て、2週間後にはポルトガルの風光明媚なモンタリグレでの1戦を実施。10月初旬にはこちらもWorldRXイベントとして定着しつつあるベルギーのスパ・フランコルシャンが続き、ここまでは昨年12月発表の暫定カレンダーどおりのスケジュールに。
3戦連続のダブルヘッダー戦を終えたシリーズは、暫定版にプロットされていた南アフリカ・ケープタウンに位置するキラーニー・インターナショナル・レースウェイでの最終戦が消滅し、現状、日付や開催地とも未定の最終戦でフィナーレを迎える計画だ。
そのラリークロス界で「将来のスター候補生」として期待される22歳のクララ・アンダーソンは、2022年シーズンに向け「私の目標は、女性として最初の世界ラリークロスチャンピオンになること」だと明かした。
スウェーデン出身で複数の地域カートタイトルを獲得したクララは、5年間のキャリアブレイクを経て2018年より本格的にモータースポーツ活動を再開。2020年のスウェーデン・ジュニア・ラリークロス選手権でランキング2位を獲得すると、その翌年にはBMW 120iをドライブして55人以上の男性ドライバー陣を打ち負かし、自身初のシリーズチャンピオンに輝いた。
■目標は「世界トップのドライバーたちに加わること」とクララ
そして昨季2021年の9月にはスパ・フランコルシャンでのFIA RX2eチャンピオンシップにゲスト参戦し、後の初代チャンピオンに輝くギヨーム・デ・リダーをQ2ヒートで撃破。ファイナルでは4位と惜しくも表彰台を逃したものの、続くニュルブルクリンク戦にもエントリーし、Q3でヒート初勝利も記録している。
「モータースポーツは私の人生の情熱そのものであり、できる限りそれを探求したいと思っている。私が気に入っていることのひとつは、男性と女性が平等に競うことができる数少ないスポーツだということね。つまり性別を問わず、最高のドライバーと戦えるということ。ステアリングを握る女性が、この素晴らしいスポーツを発見する瞬間をたくさん見届けたい!」
かつてのEuroRXツーリングカー部門で優勝経験もあるマグダ・アンダーソンの妹でもあるクララは、自身の次なる目標として「世界トップのドライバーたちに加わること」だと明かした。
「私の家族は3世代にわたってモータースポーツに出場してきた。父と母は、1992年のラリークロス会場で出会ったのよ。つまり、私が7歳のときにゴーカートに乗るのは当たり前のことで、すぐにそのスピード感に惚れ込んだわ」と続けたクララ。
「私はラリークロスの強烈で、予測不可能な性質が大好き。そのためドライバーとして速く、賢く、技術的で大胆不敵である必要がある。だから、22歳でスウェーデンのチャンピオンを獲得できたことも誇りに思っている」
「それに昨年のスパでの世界選手権デビューもとても印象的だった。現在モータースポーツでは、電動化や新しいチャンピオンシップの創設など、本当に多くの変化が起こっている。だからこそ、私は将来に向けとてもワクワクしているわ!」
■WorldRX世界ラリークロス選手権2022年暫定カレンダー
ラウンド | 開催日 | 開催地 |
---|---|---|
Rd.1 | 7月2~3日 | スウェーデン/ホーリエス |
Rd.2 | 7月30~31日 | ドイツ/ニュルブルクリンク |
Rd.3 | 8月13~14日 | ノルウェー/ヘル |
Rd.4-5 | 9月3~4日 | ラトビア/リガ* |
Rd.6-7 | 9月17~18日 | ポルトガル/モンタリグレ* |
Rd.8-9 | 10月8~9日 | ベルギー/スパ・フランコルシャン* |
Rd.10-11 | TBC | TBC* |
*ダブルヘッダー戦