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2022年3月吉日
iCraft レースレポート
ENEOSスーパー耐久シリーズ 2022 Powered by Hankook 第1戦
『SUZUKA 5 時間耐久レース』
3月19〜20日
鈴鹿サーキット(三重県)
予選:曇り一時小雨/ドライ 入場者数:1,600人
決勝:晴れ/ドライ 入場者数:3.400人
OHLINS Roadster NATS(マツダロードスターND5RC)山野哲也/金井亮忠/野島俊哉
山野哲也レギュラー加入効果、いきなり炸裂!
開幕戦で待望の初勝利を達成!
2020年からスーパー耐久シリーズに参戦しているiCraft(猪爪俊之:監督)は、3シーズン目を迎えるにあたり、Aドライバーに山野哲也を起用。大幅な戦力アップがはかられたことにより、目標も上方に修正することとなった。もちろん、引き続きST-5クラスにマツダロードスター『OHLINS Roadster NATS』で、日本自動車大学校(NATS)の支援を受けての参戦となり、学生たちがマシンを製作し、メカニックを務めるのは従来どおりである。
今年はシリ―ズが1戦増の全7戦で争われる一方で、全クラス参加可能なのは第2戦富士と最終戦鈴鹿だけ。ST-1〜5クラスは、1戦ずつお休みのレースがあるのが、今年最大の変更点。ST-5クラスは第5戦オートポリスが該当し、九州の熱心なファンの前で走れないのは、やむを得ないとはいえ、残念ではある。ドライバーには新たに山野をレギュラーとして起用し、NATS講師も務める金井亮忠とのWエース体制を構築しただけでなく、ロードスターパーティレースIIIで実績を残してきた、若手を多用。今回は昨年の北日本シリーズチャンピオン、野島俊哉との3人体制での参戦となる。
公式予選
鈴鹿サーキットが開幕戦の舞台として選ばれるのは、2019年以来3年ぶり。ということはチームにとっては初めての経験であり、新鮮な気持ちで臨むことともなった。それでも山野、金井の豊富な経験により、セットアップが着実に進められていくとともに、鈴鹿初レースの野島にコース習熟の時間も欠かさず。順調な仕上がり具合は、計測が開始される金曜日の専有走行になって、より明らかになった。生憎の雨模様とあって、午後からの専有走行は出走を取りやめたものの、午前は積極的に周回を重ね、山野がクラストップタイムを記録していたからだ。土曜日には一転して天候に恵まれるようになり、午前のフリー走行からドライタイヤで走れるように。ここでは金井が2分31秒348をマークして3番手につけ、後半を走った山野はあえてピットアウト、ピットインを繰り返して、セットアップに専念していた。
そして、真価が問われることとなった公式予選。まずはAドライバー予選に山野が挑み、しっかりクリアラップが取れるよう、少し遅れてコースイン。この作戦が功を奏し、計測2周目に2分29秒654を記録してトップに立つと、次の周には2分29秒189にまで短縮を果たし、早々にピットに戻ってくる。2番手にすら、コンマ7秒の差をつけていた。
続いて行われたBドライバー予選は、西コースに小雨がぱらつき始める微妙な状況ではあったが、それでも金井はコースを果敢に攻め立てた。計測2周目の2分30秒036から、3周目には2分29秒787にまで縮めて3番手に。その結果、タイム合算においては、『OHLINS Roadster NATS』が昨年の最終戦岡山大会に続く、そして今季初のポールポジションを獲得した!
Cドライバー予選では野島が、ユーズドタイヤを装着して7周を走破。その間に2分32秒369をマークして2番手につけたことも、決勝に向けての好材料となった。
山野哲也
「すごく車の動きが良くなりました。実は午前のフリー走行でピットに何度も入っていたのは、タイム計測よりもハンドリング改善に集中するためだったのです。それを親身に受け入れてくれたチームが施してくれたセッティング変更がすごくうまくいって、ニュートラルですごく曲がる車になったばかりか、ギヤの入りにくかったところもしっかり調整してくれて、パフォーマンスの高いマシンになりました」
「アタックラップ自体はパーフェクトではなかったけれど、あそこまでタイムが出たのは僕らの中でも想定外でした。すごくいい結果になって、さらに金井選手も頑張ってくれて予選トップを獲れたっていうのは、全員でいい仕事ができたからだと思います。初優勝、狙います!」
金井亮忠
「山野選手のものすごいアタックに、ちょっとびっくりしました! Bドラ予選の時には雨も降ってきて、スプーンでちょっと滑っちゃったりもしたので、満足いくアタックとはなりませんでした。もっと好タイムを出してトップを狙いたかったですが、攻め切ることができず少し悔しい予選となってしまいました。でも、山野選手の圧倒的な速さのおかげでポールポジションを獲得することができて良かったです」
■決勝レース
開幕戦の決勝レースは、前述のとおりST-4クラスを除く8クラス混走による5時間レースとして競われ、そのスタート進行は10時55分から開始された。予選に臨んだ50台を、1台も欠くことなく並べたスターティンググリッドに、『OHLINS Roadster NATS』が、ひときわ映えていたのは気のせいではあるまい。
今回のスタート担当は山野。オープニングラップのうちにひとつ順位を落としていたが、山野本人はおろか、チームにも動じる様子は一切なし。その後、5番手にまで後退するが、それは燃費とハイペースを両立させるための作戦でもあった。昨年のチャンピオンでもあるトップは、ひたすら逃げようとするも、山野の視界に収まったままだった。
12周目にはひとつ順位を戻したばかりか、ライバルが1時間経過から間もなく最初の給油を行うと、労せずして山野はトップに返り咲く。さらにライバルの度肝を抜いたのは、2時間近くまで金井への交代を遅らせ、実に40周も山野は走り抜いていたことだ。この間、いったんは3番手となるも、金井も燃費走行で53周まで給油を遅らせ、さらに2スティント連続走行も。
そして69周目からは、いよいよ野島の番となる。やはり、この間2番手にまで後退したが、これが初レースとは思えぬほどの安定感で、ポジションをキープしたばかりか、トップとの差も詰めてくれたほど。
86周目からの最終スティントも山野が担当、ポジションは2番手のまま。もちろん一時は20秒以上あった間隔を、徐々に詰めていく。が、あと一歩にまで迫ったラスト20分で、山野はピットに戻ってきたではないか! 万事休すかと思われたのとは裏腹に、メカニックたちは冷静に給油のみ行って、マシンをコースに戻す。実は作戦どおりだったのだ。これが102周目のこと。さらに次の周にはトップもスプラッシュ給油。これもまた想定内だった。
そこからはもうガチンコ勝負。だが、山野はわずか2周で決めてくれた。107周目の130Rで、トップ返り咲きを果たしたのはチェッカーまであと10分間の、まさに土壇場。そのまま逃げ切り、『OHLINS Roadster NATS』、そして『iCraft』と『NATS』が初優勝を飾ることとなった。
続くシリーズ第2戦は6月3〜5日に、富士スピードウェイを舞台とする大一番、24時間レースとして開催される。引き続きの大活躍を期待いただきたい!
山野哲也
「本当のことを言うと、もう無理かと思った時もありました。なかなか追いつくことができず、66号車はS字が速くて離されることもありました。でも、天は見放さなかった、僕たちのことを。抜いたのは130Rアウトから。長いこと鈴鹿でレースやってきましたが、130Rのアウトで抜いたのは初めて。特にレース終盤ということで、タイヤカスも多くリスキーでしたが、もう『決めるならここしかない!』という強い意思を持ちました。本当に嬉しい!」
金井亮忠
「ついに、ついに! 2年間、優勝はなかったし、今回が現体制での学生たちにとって卒業レースだったので、こういう形で締めくくれて本当に良かったです。だから、今は嬉しいより、感動している感じで(笑)。次の富士から新メンバーになります。引き続き頑張ります」
野島俊哉
「デビューウィン(笑)。もう最高以外にないですね。僕の前のスティントは金井先生だったんですけど、タイヤをうまく、本当にきれいに保ってくれたので、僕のスティントでは車両はすごくいい状態でした。昨日の予選でもう、レースペースをどう作っていこうか、自分の中でイメージできていたので、それを本番で再現して、さらにいいものにしていくことができたので、僕のスティントは、かなり初参加にしては上出来だったなと、自分の中では思っています」
猪爪俊之監督
「やっと勝てました。S耐参戦3年目にして初優勝は、早かったって言っていいんだと思います。ST5は参加台数も多くて僅差の接戦ですから。去年の後半戦はピット戦術で大負けしたから、同じことを繰り返さないように、木曜日は決勝ロングのデータ取りに徹したんです」
「決勝での最後のスプラッシュも予定どおり。ただ、66号車のほうが、うちより早く入ると思っていたのが逆だったのだけ予想外でした。ラスト30分位は本当にドキドキしましたよ、無線で『山野さん頼む〜、なんとかしてくれ〜』とお願いしてしまいました。次の富士ではウエイトが厳しくなりますが、過去2年の経験を活かし、しっかりセットアップしたいと思います。次戦の富士24時間レースも応援よろしくお願いします」