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 内閣府が地方公共団体を対象に公募していたスーパーシティ構想について、大阪府と大阪市が共同策定した提案が選ばれ、実証拠点がある大阪市がスーパーシティ型国家戦略特別区域に指定された。掲げるテーマは「データで拡げる“健康といのち”」。2025年大阪・関西万博の開催地である人工島「夢洲」(大阪市此花区)と、商業の中心地である梅田で開発中の「うめきた2期地区」を舞台に、デジタル技術などを駆使しながらヘルスケア並びにモビリティに関する取り組みが進められることになる。

 今回のスーパーシティ構想では、AI(人工知能)やビッグデータをはじめとした最先端技術を活用して、第4次産業革命後に国民が住みたいと思う、より良い未来社会を包括的に先行して実現するショーケースを作り上げることを目指す。大阪府・市は、2カ所のグリーンフィールドでヘルスケアとモビリティにかかわるプロジェクトを推進。将来は大阪全体、さらには全国に波及させる。

 スーパーシティは3段階に分けて実現を図る。万博が開かれるまでのフェーズⅠは、夢洲で複数のプロジェクトを実施する。一つが万博の建設に従事する作業員の安全・健康管理に関するもの。生体情報に加え、位置情報、気象情報などをAIで解析し、熱中症になる恐れなどを事前に通知する。また自動運転車による作業員と工事資材などの混載輸送や、ドローンを活用した高所への資材の運搬、建設現場の見守りなどを行う。

 うめきた2期地区では、設置予定の温泉利用型健康増進施設において、人体情報とAI分析などによるエビデンス(科学的根拠)に基づく健康増進プログラムを提供する。効果を数値化してデータに還元し、循環型健康サイクルの形成につなげる。

 フェーズⅡは、万博開催期間に「大阪パビリオン」で未来の診断や未来の医療を体験したり、空飛ぶクルマで会場を訪れるなど、来場者にスーパーシティの一端に触れてもらう。万博後のフェーズⅢでは遠隔医療、再生医療といった先端医療サービスを、国籍や場所を問わず日常的に提供できる体制を整えるほか、多様なサービスを選択できる都市型MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の社会実装に努める。

 大阪が世界に先駆けてスーパーシティへと発展を遂げるためには、民間企業とアカデミアの存在が不可欠。大阪、関西には豊富な知見、特異な技術を持つ化学会社や大学が集積しており、スーパーシティの実現で果たす役割は大きい。ぜひとも存在感を発揮してほしい。

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The post 【社説】期待高まる大阪スーパーシティ構想 first appeared on 化学工業日報.