国土交通省は22日、土地の価格の動向を示す「地価公示」を発表した。それによると、全国で最も土地価格の下落率が高かったのは「大阪市中央区道頓堀1丁目」で、15.5%のマイナスだった。特徴的だったのは全国の下落率ランキングで、1位から6位までを大阪市・ミナミが占めていることだ。
インバウンド需要の落ち込み
関西テレビによると、この結果について大阪府の担当者は「新型コロナによるインバウンドの需要が落ち込んだところで、下落が続いている」と見ているという。
このニュースが報じられると、ツイッターは大阪府政、市政を担ってきた大阪維新の会への批判で溢れ返った。
大阪市の人口激減と同時に、ミナミが全国ワーストな結果になりました。維新拡大で崩壊の恐れさえありますよね。
大阪府、大阪市の失政でしょう。そりゃトップがペテン師にどチンピラだから必然です。
みんな分かってるか?これが維新の成果やで?
維新は、インバウンド頼みの万博とIRに2000億円投入して 大阪を潰そうとしている。コロナでの状況にアップデート出来ない維新
昨年に続き商業地の価格下落率は大阪のミナミ地域。維新の言う、府・市民の”身を切り”、成長は2マイナス成長”が増え続ける改悪の維新行政。
転出企業超過は39年連続
大阪府および大阪市がインバウンド政策に舵を切った理由は、大阪府・大阪市が抱える構造的問題がある。それは、企業の東京移転だ。
関西発祥の大企業は少なくないが、高度経済成長期の終わり頃からその多くが本社機能を東京に移している。サントリーは、1970年代半ばからビールやウイスキーといった主要事業を東京に移しているし、伊藤忠商事は大阪本社を残しているものの、本社機能の多くは東京本社に移した。帝国データバンクの最新の調査によると、2020年に大阪府へ転入した企業は154社、転出した企業は196社となり、転出超過は実に39年連続だ。
本社機能が移転すると、当然、自治体の税収は減る。この穴を埋める施策の一つが、インバウンドだった。大阪府観光局によると、2013年に262万人あまりだった大阪を訪れた外国人観光客は、コロナ前の2019年には1200万人あまりに膨れ上がった。観光庁の「訪日外国人消費動向調査 2019年年間値の推計」によると、大阪を訪れた外国人観光客の1人1回あたりの旅行消費単価は、約6万4,000円に上る。このインバウンド景気に特に沸いた街が、大阪市・ミナミだった。
インバウンド傾斜「地元の産業が破壊」
インバウンドは新型コロナなどの感染症や戦争、中国政府による特定の国への渡航制限など、影響を受ける外的要因が大きすぎる。そのため、インバウンドに傾斜しすぎることの危険性は、観光業の専門家からたびたび指摘されてきた。JALグローバル販売部観光政策担当部長の栗山俊久氏は、地方自治体向けの講演でインバウンドの意義や重要性は認めながらも、「何らかの事情で外国人観光客が激減した時に、地元の産業は破壊される」と指摘している。
さらに、キャノングローバル戦略研究所の山﨑周研究員は論文で、インバウンドの経済安全保障上の問題点を指摘する。
2010年代になると、自国の意向にそぐわない政策を実施する他国への自国民の渡航を躊躇させる雰囲気を国内で醸し出すことによって、インバウンド需要を欲する相手国を中国政府が罰するかのような出来事が起きるようになった。たとえば、日本、韓国、台湾、フィリピン、豪州との関係で不満を抱いた際、中国当局が旅行目的での渡航を実質的に制限する措置を国内でとると、それらの目的地への中国人観光客や航空会社の渡航便の数が減る傾向が際立つようになった。
大阪府や大阪市がインバウンドに舵を切ったことは、両者が抱える構造的問題もあり、あの時点では仕方がない側面があったのかもしれない。しかし、その結果、他の自治体よりコロナ禍からの回復が遅れてしまっているのは事実だ。
コロナ禍が明けた後には、観光業での成長を目指すにせよ、従来のようなインバウンド一辺倒ではなく、外国人観光客と国内観光客のバランスが取れた政策が必要ではないだろうか。