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ロシアがウクライナへ一方的に仕掛けた戦争を巡って、ロシアからのエネルギー供給がストップすることにより、エネルギー価格のさらなる高騰に世界中で懸念が生じている。

そんな中、今回の戦争で起こりうる、別の懸念を指摘しネット民の注目を浴びているのが、外相や防衛相などを歴任した自民党の河野太郎衆院議員だ。

河野太郎氏(写真:AFP/アフロ)

河野議員は23日、自身の公式ブログを更新。更新した記事は、「ウクライナと食糧危機」のタイトルで、「プーチンによるウクライナ侵略は、世界経済にもさまざまな影響を及ぼしています」と切り出したうえで、世界経済だけではなく「世界の食料にも大きな影響を及ぼしています」と指摘した。

続けて、河野議員は現在の世界の食糧事情を次のように分析している。

ロシアはウクライナからの食糧を制止し、また、経済制裁が進む中で、国際社会とロシアとの穀物取引が停止しています。この結果、1350万トンの小麦、この両国の輸出量の23%、と1600万トンのトウモロコシ、両国(※)の輸出の43%がこの両国に滞留している状況です(※ 編集部注・ロシアとウクライナ)

農林水産省によると、ロシアの小麦生産量は7600万トンでシェアは世界4位、ウクライナが2600万トンで世界7位を占めている。トウモロコシの生産量はウクライナが3300万トンで世界6位、ロシアが1300万トンで世界11位となっている。

ロシアもウクライナも世界の穀物貿易で主要輸出国だが、ロシアは経済制裁により主に西側諸国との取引が停止しており、ウクライナは穀物を輸出しているような状況ではない。そのため、大量の小麦やトウモロコシが両国に留まっているということだ。

ウクライナ独立記念日を小麦畑で祝う少女(資料画像:Anna Koberska /iStock)

直近の日本への影響は限定的だが…

日本の小麦輸入先はアメリカ(49.8%)、カナダ(33.4%)、オーストラリア(16.8%)と、この3カ国でほとんどを占めている。また、日本は世界最大のトウモロコシの輸入国だが、約9割をアメリカから輸入しており、ロシアやウクライナからの輸入量は微々たるものだ。そのため、日本への直接的な影響は今のところは限定的だと思われる。

しかし、河野議員が指摘しているのは、より広い視野で見た時の食料危機だ。ロシアやウクライナから小麦やトウモロコシを多く輸入しているのは、主に発展途上国だ。河野議員はブログで、「FAOの出す食糧価格インデックス2022年2月に史上最高値をつけました」と危機感をあらわにする。

FAOは、国際連合食糧農業機関のことで、飢餓の撲滅を世界の食糧生産と分配の改善などを目的とした組織だ。FAOの出す食料価格インデックスが2022年2月に史上最高値をつけたということは、貧しい国の一部は食料を輸入できなくなる恐れがあるのだ。

河野議員のブログによると、食糧とエネルギーをあわせて、難民や貧しい国々の人に食料やエネルギーを適切に分配するために必要な追加財政支援は、WFP(国連世界食糧計画)の試算では、毎月70億円を超えるとみられているという。

戦争が長引けば長引くほど、ウクライナ国民はもとより、発展途上国の人々や難民の人々の命も危険にさらすことになってしまう。