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22日午前の東京外国為替市場で、円安が一層進行し、一時1ドル=120円台となった。1ドル=120円台となるのは、2016年2月以来、6年ぶり。

円安ドル高が進む背景には、日米の金利差があると考えられている。アメリカの中央銀行にあたる、連邦準備制度理事会(FRB)は今月16日、アメリカで急速に進むインフレへの対応策としてゼロ金利政策の解除と、政策金利を0.25%引き上げることを決定していた。

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さらに、FRBパウエル議長は21日の講演で、政策金利の引き上げ幅を0.25%から0.5%にする可能性を排除しなかった。アメリカは先行き、利上げのペースを加速させていくという見方が強い。

アメリカが政策金利を引き上げる一方で、日本では現在の金融政策を維持していくことが決まっている。日本でもアメリカ同様、食料品やガソリンなどの生活必需品の値上げが相次いでおりインフレの懸念が高まっているが、日銀黒田東彦総裁は「物価高は一時的」と述べ、従来のゼロ金利政策を維持していくことを決定した。

この日米の金利差のため、外国為替市場では金利の低い円が売られ、金利の高いドルが買われる展開になっている。円安になると輸入品の価格が高くなるため、日本での物価上昇のペースが速まる懸念がある。

アメリカは利上げのペースを加速していき、日本ではゼロ金利政策を維持していくとみられるなか、国民の関心事は、この円安がいつまで続くかということではないだろうか。

元衆議院議員の青山雅幸氏は「120円で止まれば良いけど止まるかな?」と疑問を示した上で、「黒田総裁は、円安によるコストプッシュで物価が2%上げても政策変更しないと記者会見で言ったらしいけど、緩和縮小にまで言及したFRBと違って『変更できない』から。一方で政治はどこ吹く風で馬鹿みたいな5千円バラマキ」と政府の危機感のなさを指摘した。

政策アナリストの石川和男氏は「円安は、化石燃料輸入コストを押し上げる。日本のエネルギー需給にとっては、今の局面だと更に痛い」とツイート、エネルギー需給がひっ迫する中での、円安ドル高の危険性を挙げた。

元衆議院議員の笹山登生氏は、「そもそも、ニッポンの日銀総裁自身が『いかなる円安も(良い円安も悪い円安も)ウエルカム』と記者会見で言っちまった時点で、これからどうなっても、財務省も、口先介入できないってことになっちまってるってわけだがな」との見方を示し、日銀の金融政策のあり方を批判していた。

経済評論家の藤巻健史氏はツイッターで、「円安と長期金利高はまだほんの入口」としたうえで、「米国の40年ぶりのすさまじいインフレと史上最大の金融緩和は両立しない。それなのにFRB は対応が出遅れている。米長期金利の上昇はまだほんの入口。一方、日銀は金利を上げる手段もジャブジャブにしたお金の回収方法も失っている。経常赤字の常態化とますます開く日米金利差拡大でドル高/円安もすさまじいものになるだろう」と今後の展開を予測した。