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 チェコ共和国のモストで予定されていた2022年シーズンのオープニングイベントがキャンセルされたことを受け、WTCR世界ツーリングカー・カップは新たな開幕戦をフランスのポー市街地とすることを決定。最新のFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)での協議により、8月に入っていたソチでのロシア・ラウンドのキャンセルも「正式承認」されている。

 今季4月9~10日の開幕戦スロットに組み込まれていたアウトドローモ・モストでのイベントだが、こちらもロシアによるウクライナ侵攻の余波を受け、3月4日に国内で宣言された非常事態に応じて開催を見送ることが決定した。

「このような急な通知により、チェコ共和国でのレースをキャンセルするという決定は、我々WTCRとしても明らかに残念なことであり、チームやその他の利害関係者だけでなく、ファンにとってもこれが引き起こす混乱と不便を充分に認識している」と語るのは、シリーズプロモーターのディスカバリー・スポーツ・イベントで、今季よりWTCRディレクターに就任したジャン-バティスト・レイ。

「しかし現在、世界にはスポーツよりも重要なことがあることを、我々は受け入れなければならない」と続けたレイ。

「非常事態宣言が延長された場合、土壇場でのイベントキャンセルを強要されないよう、今回はチェコ共和国でのWTCRイベント開催可否の判断に関して、できるだけ早く決定を下すことが重要だったんだ」

「我々は避難民を支援するためのより広範な資金調達の取り組みを支援するイニシアチブを最終決定しており、その詳細はまもなく発表される予定だ。当然のように、我々の想いは苦しんでいるすべての人々の側にあり、今このときに世界のすべての人々と同じように、我々もこの事態の迅速で平和的な解決を望んでいる」

 これにより、本来は第2戦として5月に組み込まれていたフランス・ポーの有名なストリートサーキットが、WTCRの新たな開幕戦に指定されることに。

 続いてニュルブルクリンクでは恒例となった“ノルドシュライフェ”の北コースで全長約21kmの勝負が繰り広げられ、ドライバーやチームにもゆかりの多いハンガロリンクを経て、2年前には最終戦の舞台となったスペインのモーターランド・アラゴンでシーズン折り返しを迎える。

 そして第7戦に予定されていたロシアのソチ・オートドローム戦は前述のとおり正式なキャンセルが決定したことで、後半戦突入の7月開催となるポルトガルのヴィラレアル市街地で、早くもヨーロッパ・ラウンドが終了する。

 海上輸送の都合上、約2カ月のインターバルを経て韓国のインジェ・スピーディウムで開始される“アジア・レグ”は、依然として「世界の感染状況と各国の防疫要件次第により開催可能性が変動」するという条件付きながら、中国・寧波のインターナショナル・スピードパークと待望のカムバックを果たすマカオへと上陸し、現状では2戦純減の全8戦16ヒートの勝負が予定されている。

 引き続きディスカバリー・スポーツ・イベントは、開催キャンセルとなったチェコとロシアの双方のイベントに対し、世界各地で代替可能なイベントを「検討する」としている。

2021年のフランス戦は、電動戦『Pure ETCR』との併載で、ポー-アルノーの常設トラックで争われた
WTCR世界ツーリングカー・カップは新たな開幕戦をフランスのポー市街地とすることを決定

■WTCR世界ツーリングカー・カップ2022年暫定カレンダー

Round Date Circuit
Rd.1 5月7~8日 ポー市街地(フランス)
Rd.2 5月26~28日 ニュルブルクリンク・北コース(ドイツ)
Rd.3 6月11~12日 ハンガロリンク(ハンガリー)
Rd.4 6月25~26日 モーターランド・アラゴン(スペイン)
Rd.5 7月2~3日 ヴィラレアル市街地(ポルトガル)
Rd.6 10月8~9日 インジェ・スピーディウム(韓国)
Rd.7 11月5~6日 寧波国際スピードパーク(中国)
Rd.8 11月18~20日 ギア・サーキット(マカオ)