アメリカのトランプ前大統領がNFT(非代替性トークン)を発行したことが分かった。「POTUS TRUMP NFTコレクション」と名付けられたトランプ氏のNFTは、メラニア夫人が昨年12月に開設したNFTプラットフォーム「melaniatrump.com」で販売されている。
2020年のアメリカ独立記念日(7月4日)にラシュモア山をトランプ氏が訪れた際の写真や、エアフォースワン(アメリカ大統領専用機)に乗り込むトランプ夫妻の写真、ホワイトハウスで演説するとトランプ氏の写真など、大統領在任中の象徴的なシーンを切り取ってNFTアート化。
「POTUS TRUMP NFTコレクション」は、ゴールドとプラチナの2つのシリーズを展開しており、それぞれのシリーズで5種類ずつ販売されている。価格は1点50ドル(約5700円)で、販売しているメラニア夫人のNFTプラットフォームでは、全10種類をそろえることを推奨している。
まだまだ共和党への強い影響力を残しており、米国民の「トランプ人気は健在」と報道され、2024年のアメリカ大統領選挙の出馬も取りざたされる中、注目されるのはその売れ行きだ。「POTUS TRUMP NFTコレクション」は、初代アメリカ大統領のジョージ・ワシントンと第16代大統領のエイブラハム・リンカーンの誕生を祝うアメリカの祝日「大統領の日(2月の第3月曜)」である2月21日に発売された。
「45 Mount Rushmore(プラチナ)」というタイトルのNFTアートは1000点用意されているが、595点の在庫がある(22日12時時点)。「45 Liberty(ゴールド)」は、1750点のうち992点が在庫だ。ほかも同様で、いずれのNFTアートも、22日時点では半数以上の在庫を抱えている状況だ。
発売から数日で400個以上を売り上げていることから「トランプ人気は健在」と見るか、それとも、50ドルという低価格であるにもかかわらず、たった400個ほどしか売り上げられていないと見るか。いずれにしても、NFTアートの売り上げをもってトランプ人気を評価するのは時期尚早だろう。
なお、トランプ氏のNFTアートが仮にすべて売り切れた場合、収益は50万ドル(約5700万円)に上る。オフィスビル開発やホテル事業、カジノ事業を手広く展開し「不動産王」の異名を取るトランプ氏。新型コロナウイルスの影響で不動産業での巨額の負債が明らかになっている中、あらたな資金調達方法に活路を見出すことができるか。数々の事業を成功させてきたトランプ氏のマーケティング手腕にも注目が集まるだろう。
ちなみに、メラニア夫人はこれに先駆けて今年1月に、自身の目を描いたデジタルアートをNFT化し1点150ドル(約1万7000円)で販売しているが、こちらはあえなく失敗に終わっている。