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Porsche(ポルシェ)は、2023年より独自に世界的な専用充電ステーションのネットワークの構築を開始すると発表した。これは他社との提携に依存するとしていた当初の戦略から逸れることを意味する。

同社の年次総会で明らかにされたこの計画は、ポルシェが電気自動車のラインナップ拡大に向けて準備を進めていることを受けたものだ。同社は2025年までに、現在の「Taycan(タイカン)」以外に少なくとも2モデル「Macan(マカン)」と「718」の電気自動車を市場に投入する予定だ。

ポルシェブランド初の充電拠点は、来年よりまずはドイツ、スイス、オーストリアの需要の高い地域に建設される予定だと、同社幹部は述べている。

しかし、ポルシェのビジョンは単なる充電ポートに留まらない。プレスブリーフィングで詳細を語ったOliver Blume(オリバー・ブルーメ)CEOとLutz Meschke(ルッツ・メシュケ)取締役会副会長によると、充電ステーションにはラウンジのような施設が備わり、バッテリーを充電しながらコーヒーを飲んだり、仕事をしたりできるようになるという。

「充電だけでなく、お客様の利便性を高める方向に持っていきます」と、メシュケ氏はいう。「クルマの電動化に集中するだけではなく、クルマに留まらないカスタマージャーニーにも力を入れることが、私達にとって非常に重要なのです」。

ポルシェはまず欧州市場に注力する予定だが「特別なサービスを提供し、公共の充電インフラをサポートできる」中国や米国への拡大も検討していると、ブルーメ氏は述べている。

ポルシェは、欧州最大の急速充電ネットワークを擁する複数の自動車メーカーによる合弁事業、IONITY(アイオニティ)との提携も継続する。IONITYは、現在400カ所の充電ステーションを、2025年までに1000カ所まで拡大することを計画している。

「私たちは、パートナーと共同でプレミアム充電ステーションに、そして私たち自身の充電インフラに投資しています」と、ブルーメ氏は述べている。

ブルーメ氏は、ポルシェが建設を計画しているステーションの数、開設までのタイムライン、コストに関する数字を示すのは、時期尚早であるとした。しかし、同氏のコメントは、同社がこのプロジェクトへの投資に熱心であることを示唆している。

世界のEV市場が軌道に乗る準備を進める中「今後数年間は、このための迅速な増強が非常に重要であり、ゆえにポルシェは多額の投資を行っています」と、同氏は付け加えた。

ポルシェの取り組みは、この分野で先行するTesla(テスラ)に倣ったものだ。テスラは2500以上の拠点に約3万台のSupercharger(スーパーチャージャー)と呼ばれる急速充電器を備えた独自のグローバルネットワークを構築している。最近では、オランダをはじめとする欧州数カ国で、このネットワークを他メーカーの電気自動車にも開放し始めた。Rivian(リヴィアン)も独自の「アドベンチャー」ネットワークを構築しているが、同社はその充電システムに、近年欧州や米国で普及しているオープンな国際規格であるCCS(Combined Charging System、通称コンボ方式)直流コネクタを採用している。このため、CCS規格を持つ他の電気自動車も、ソフトウェアでブロックされる可能性はあるものの、理論上はRivianのネットワークを利用することができる。Rivianは2023年末までに、米国とカナダの600カ所以上に3500基の急速充電器を増設することを計画している。

ポルシェは今後もIONITYとの提携を支援しながら、米国では46州とワシントンD.C.に670基の充電ステーションを持つElectrify America(エレクトリファイ・アメリカ)ネットワークの利点をアピールしていく。しかし、ポルシェ独自のネットワークを持つことによって、顧客体験と充電ステーションの品質を、自社で直接コントロールすることが可能になる。同社の広報担当者によると、この戦略は既存の急速充電インフラの欠落部分を埋めるためのものであるという。

ポルシェと同じくVolkswagen(フォルクスワーゲン)グループ傘下のAudi(アウディ)もまた、2階建てのラウンジのようなコンセプトの試験運用を欧州で開始している。この充電ステーションでは、顧客は下でクルマを充電しながら、上階で寛ぐことができるようになっている。

画像クレジット:Porsche

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)