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メルセデス450SLケーニッヒ スペシャル: ワイドボディの450SLが高額で登場!ケーニッヒ スペシャルのコンバージョンは、愛好家たちからしばしば批判、揶揄されてはいたが、今ではコレクターズアイテムとなっている。アメリカでは、ワイドボディキットを装着したメルセデス450SLが販売されたばかりだ。以下に詳細をレポート。

このメルセデスSLは内向的な人には向かない! ドイツのカルトチューナー、ケーニッヒ スペシャルが改造した「メルセデス450SL」が最近アメリカで販売されたが、その姿はまさに – 失礼ながら -ポルノ的であった。その販売価格を聞いて、最初は高額に感じるかもしれないが、希少性を考えれば適正な価格だ。

ケーニッヒ スペシャルのワイドボディが最大限に揶揄された時期があった。そんな派手なメルセデスやBMW、ジャガー、あるいはフェラーリに乗るのは、主に赤線系のビジネスで活躍する怪しげな人たちであると・・・。しかし、近年、ケーニッヒ スペシャル改造モデルが、時には破格の値段で取引されるコレクターズアイテムとなったことで、その認識は変わってきた。

リアは紛れもなくSLのたたずまいだ。ただしこれ以上の幅はなかなかお目にかかれない。

ケーニッヒ スペシャルは1977年に設立された

ケーニッヒ スペシャルは、1977年、ウィリー ケーニッヒによって設立された。しかし、ケーニッヒは1974年には早くもチューニングを始めていた。理由は簡単で、新車の「フェラーリ365GT4 BB(ドイツに最初に納車されたモデル)」のパワーが弱すぎたからだ。さっそくケーニッヒは、スポーツエキゾーストシステムを装着したが、思うようにパワーが上がらないため、クラシックなエンジンチューニングに踏み切った。鍛造ピストン、シリンダーヘッドの改良、新しいキャブレターによって、450馬力までのパワーアップに成功し、さらにケーニッヒはウィングエクステンション、リアスポイラーなどを開発し装着して売ったり、パーツとして販売したりした。

こうして彼はケーニッヒ スペシャルの礎石を築いた。やがて、ミュンヘンを拠点とする同社は、ワイルドなツインターボコンバージョンや、今や伝説となったXXLサイズのワイドボディキットなど、そのラインアップを拡充していった。これらにより、ケーニッヒ スペシャルは世界的に有名になっただけでなく、80年代、90年代を代表するチューナーの1つとなった。

BBS製3ピースホイールとの組み合わせのみ実現

そんな80年代のカルトモデルの1台が、先日オークションプラットフォーム「bringatrailer.com」に出品された。ケーニッヒ スペシャルの衣装をまとった1980年式の「メルセデス450SL」だ。「R107」シリーズの「450SL」は、新しいスカート、ウィングエクステンション、ウィングに加工されたティアオフエッジからなるワイドボディキットに加え、225/45 (VA) と275/45 (HA)タイヤの3ピースのBBS製ホイールとボディカラーのハードトップが装着されている。

ケーニッヒ スペシャルでは、BBS製の3ピースホイールにペイントスターを装着している。リアタイアのサイズは275/45。

インテリアには真っ赤なレカロシートを採用

インテリアはさらにワイルドで、中でもそのハイライトは、電動調整機能付きの真っ赤なレカロCクラシックシートとヘッドレストのブラウプンクト製スピーカーであることは間違いない。シートはポルシェから持ってきたという。ダッシュボードやドアパネルは新調されたもので、リアシートと同じく黒を基調としている。3本スポークのレカロ製ステアリングホイールやゼブラーノ製ウッドトリムもオリジナルではなくなっている。

ボスの風格を漂わせながら、わずか160馬力のパワー

一方、走行距離は約10万5千kmとなっている。パワーユニットの4.5リッターV8(M117)に変更はないが、この「450SL」はカリフォルニア仕様で、160馬力と、EU仕様(217~225馬力)の出力よりかなり弱くなっている。

このインテリアは気の弱い人には向かない。残念なのは、ヘッドレストのスピーカーが今は機能しないとのことだ。

売主は2012年からこの特別な「SL」を所有し、1万km近くを走行してきたという。42歳のメルセデスがこれだけ写真に映えるのだから、彼が無事故歴を持つこの「SL」を入念に手入れしてきたことは明らかだ。また、定期的に整備を行い、直近では2021年に整備を行っている。

ケーニッヒ スペシャルのコンバージョンが65,000ユーロ(約845万円)以上で落札

今回、ケーニッヒ スペシャルSLは、約65,700ユーロ(72,000米ドル)相当で買い取られた。この価格はお買い得というわけではないが、近年、オリジナルのケーニッヒ スペシャルの価格はかなり上昇していることも事実である。また、現存する車種が少ないため、供給量も非常に少なくなっている。ドイツでは現在、ケーニッヒ スペシャルの「R107」こそ、販売されていないものの、2台の「SEC」があり、それぞれ6万ユーロ(約780万円)と7万ユーロ(約910万円)で販売されている。しかし、ウィリー ケーニッヒによるワイルドなフェラーリ コンバージョンに比べれば、大したことはない。最高出力1,000馬力(コンペティション エボリューション)を発揮する、そういった気の遠くなるようなマシンは気の遠くなるような価格で販売されている。それらの詳細は後日改めて。

【ABJのコメント】
ケーニッヒ、何とも懐かしく、そういえば高級自動車雑誌の広告欄でよくみかけたなぁ、バブルの頃、と思い出していた。当時のケーニッヒの主流?はフェラーリ テスタロッサのものすごいデコレーションが施されたモデルか、メルセデス・ベンツの「W126」の「SEL」か「SEC」をベースにしたモデルで、特に「SEC」をベースに改造したモデルの印象が強い。

そんな「SEC」で特に印象が強いのは、やはりリアフェンダーの異常な盛り上がりと、内装に使用されていた(おそらく)レカロベースのシートがホワイトとかレッドのてかてかの革でデコレーションされていた画像だろうか。

今回のように「R107」の「SL」ベースがあったことがちょっと意外だが、頼まれればなんでも、たとえ一品製作だって請け負う、当時はそういう事情だったのかもしれない。さすがに160馬力の派手派手「R107」を欲しいとは思わないが、この写真を見ていると、あの頃の街の風景を思い出すし、当時のイケイケの空気を思い出す。日本にも当時上陸した「R107」ベースのケーニッヒはあったのだろうか??(KO)

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: bringatrailer.com